チキン調教師の朝は早い。

  • 小話どうぞ!

    こんにちは!
    ほそぼそ書いていた小話ができてきました!
    R18になります。
    おもちゃを使った話になります。
    よければご覧ください~!




    「ありがとうございました!」

    そう言って俺の目の前のドアが閉まった。
    俺の手にはUmazonで取り寄せた商品の段ボール箱が一つ。
    俺は意気揚々とその箱を持ってリビングへと戻った。
    1週間も前からこれを待っていたのだ。
    全ての準備は万端だ。
    来客の予定は無し。俺の予定もなし。
    同棲しているサイファーの任務は深夜までかかると確認済みだ。
    今が昼食った後だから、まだまだ時間はある。
    俺はごくりと一つ唾を飲み込んで、箱を破る勢いで段ボールを開けた。
    辺りにちょっと剥がしたガムテープとか散乱しちまったけど、後で片づければいいやと中を覗き込む。
    そこには、俺の注文したものが入っていた。

    アナルオナホール 1つ

    これが俺が待ちに待っていたものだ。
    別にすげえ溜まってるとかってわけじゃねえぞ!
    話は複雑なんだ。

    サイファーとはもうつき合って5年くらいになるかな。
    当然かなり前から身体の関係もある。
    なのにあいつが感じてるとこってほとんど見たことねーんだ俺。
    俺はすげえ気持ち良くなっちまって声とかでちゃうんだけど、アイツはいっつも眉間にしわ寄せてんだわ。
    しかも俺の中でイってる記憶もない。

    それで俺は思ったわけだ。
    俺の中って実は気持ち良くねーんじゃねえかって。
    つき合ってても身体の相性が良くないって事よくあるってアーヴァインが言ってたんだ。

    そもそも、男を抱くのがどういう感じなのか、気持ち良いのかも俺には分からなかった。
    そこで考えたのが『これ』だ。

    俺はダンボールの中からそれを取り出すと、ベッドルームへと足を運んだ。
    ふかふかのベッドの真ん中にドサリと座り込んで、パッケージを破る。

    そこには『本物完全再現!まるで本当にしているような体験!』と煽り文句が書いてある。
    これで実際はどんな感じなのか、ってのを調べようってわけ。
    本物で試せりゃ一番なんだろうけどサイファーが入れさせてくれるわけねーし。
    サイファーに「俺の中って気持ち良いの?」と直接聞いてみる勇気も俺にはないし。からかわれるのがオチだ。

    本格オナホを使う→中がどんなんか調査→
    気持ち良いか確認

    って計画だ。
    そもそも、俺オナホって使ったことねーからどんな感じなのか興味あったし(アナル用だけどまあ同じだろ)
    俺の中の物知りゼルも知りたがってたから一石二鳥って奴だ。

    というわけで、俺はその無駄に派手なパッケージをベッド脇のゴミ箱に投げ入れると、中のモノを取り出した。

    へ~けっこう柔らかいんだな。

    掴んだときの第一印象はそれだ。
    ピンクのシリコンでできたそれは、俺の握った手をやさしく跳ね返してくる。
    筒状のそれは筋張っていて、なんだかイヤラシい形をしていた。
    入れるところも本物の肛門の形そっくりに作られていて、パッケージの売り文句に間違いはなさそうだ。

    俺はナイトテーブルからいつもサイファーとする時に使っているローションを取り出す。
    ついでにカーテンも閉めて、ちょっと部屋を暗くして雰囲気作りをしておいた。
    なんかドキドキするぜ。
    俺は期待と興味に胸を躍らせながら、ズボンと下着を脱いだ。
    やべ、もう起ってんじゃん。
    俺のそこも、この実験にやる気満々のようだ。

    ローションを指にとると、試しに入り口につぷりと指を挿入してみる。

    あ、すげ。

    指を締め付ける刺激に、ごくりと唾を飲む。
    この感覚が局部に与えられると思うと、俺は早く試したくて仕方なくなってしまった。
    急いでローションを塗って、リアルな形の入り口へと自身を押し当てた。
    ぐぷっと音を立てて襞を押し広げつつ、先っぽを中へと押し込んだ。

    あぁぁ…きっもちいい…

    自分の竿の一番敏感な部分が、強い力で締め付けられている。
    俺の中もこんな締め付けがあるんだろうか。
    試しにローションのぬるつきに任せて先を出し入れすると、締め付けの中を通過する度に快感が押し寄せる。

    もうイきそうなんだけど…

    自分のヘタレ具合にガッカリするけど、こんなところで出してしまっては、俺の疑問は解決しない。
    サイファーなんて眉しかめたまんまピクリとも反応しないんだ。俺だってまだやれる!
    俺はこみ上げる射精感を堪えて、さらに奥へと竿を押し込んだ。

    ぬるりとした感覚があって、やわらかい内部がなんか心地良いかも。
    中はこういう感じなんだ…。
    俺は初めての触感にうち震えた。
    キツくはないけど吸いつくような内部に、じん…と先端が熱くなった。
    荒くなる自分の息が耳に残る。
    そうして、何度かスライドすると今までの刺激が波のように順に押し寄せてくる。

    ああ、めちゃくちゃイイ…

    サイファーがどうして反応せずいられるのか全く理解できない。
    スライドさせた手が、次第に早くなってしまう。
    ベッドへと背を預けて、俺は夢中でその感触を味わう。
    いつもサイファーがするみたいに、緩急をつけて扱くと、入れているのは俺なのに、なんだかあいつに入れられているような気がして余計に興奮した。
    いや、俺を抱いてるアイツを想像して、という方が正しいかもしれない。

    「あ、ぁ……ぁ!」

    中が気持ち良いのは十分に分かった。
    もう我慢できねえよ。
    俺は目を閉じて、ソコの感覚だけを追いかけだした。
    目の前にいんのはムスっとした顔をしたあいつで、でもこの気持ちよさを味わって次第に息が荒くなって表情が崩れて、そして…。
    俺は想像の中のサイファーとシンクロしながら、限界を迎えた。
    びくびくと震える下半身と共に、何度かに分けて中に自分を吐き出した。

    「はぁ、はぁ…」

    肩で息をしながら気を落ち着けると、意識が現実に戻っていく。
    変態っぽい想像に、ちょっとの恥ずかしさと、やりきった清々しさと、そして叶わぬ願望に少しの悲しさが残った。

    はぁ…と一つため息をついて自身を穴からゆっくりと抜きさる。
    結論を言うと、中に入れるのは気持ち良いって事だ。
    そしてそれは、一つの事実を示している。
    サイファーが感じてないっぽい=俺と寝るのはあんまり気持ち良くない、ってことだ。
    うすうす分かってたけど、ついに身体を持って実感した事実が突きつけられて呆然となった。
    ベッドに背を預けたまま天井を見上げようとした、その時。

    「もう十分楽しんだのか?」

    静かなベッドルームに凛とした声が響いた。
    聞き覚えのあるその声に、俺は驚いて急いでドアの方を振り返った。
    するとそこには、扉の柱に寄りかかりながら、不機嫌そうな顔をしたサイファーが腕を組んで立っていたのだ。



    つづく




    次でおしまいの予定です。
    やっぱり最後はサイファーに見つかる方がいいだろうと、お約束ですが登場させました!
    にしてもエッチなゼル最高か…。
    一人称でエロ難しいですがつづき頑張ります!





    ーーーーーーーーーーーーー

    拍手推して下さった方ありがとうございます!
    応援して下さる方がいると思うと心強いです!
    しばらくまったり更新ですが、お許しください~!
  • ご無沙汰しています

    こんにちは、ご無沙汰しております。
    睡眠時間を確保するのにやっとでなかなか創作まで手が回っておりません…。
    小話更新したいんですが空いた時間で少しずつ書くのがやっとなので、しばらくこんな感じが続くと思います。

    さて、以前も参加させて頂きましたしろくまのひよこパンツ第4回に、今回も参加させていただきました。
    今回もギャグ(ラブコメ?)っぽいかんじで、5Pの漫画になります。
    こんな感じのです。



    色々テストを兼ねて書いたものなので拙い漫画ですが、お楽しみくださいませ~!
    参加させていただきましたしろひよ企画はこちらです~!

    https://www.pixiv.net/artworks/81992770

    さて、最後にぼちぼちやっているオペオムですが、12月にサイファー、2月にゼルのLDが来る可能性があるという事でジェム貯めなければ!という感じでやっております。プレイしている方共にがんばりましょう~!!


    ______________


    拍手押してくださった方ありがとうございます!
    全然更新できていないのにすみません…!嬉しいです…!頑張ります~!



    7月18日にコメントくださった方ありがとうございます!
    シリアスな話なので面白くないかも…とおもっていましたので、そう言っていただけてとても嬉しいです!
    ゼル君に弱みは見せたくないサイファーいいと思います!
    コメントありがとうございました~!
  • 小話続きです~!

    こんばんは!
    自分が思っていたよりずっと更新する時間が無くてむずむずしております…。目算あまいですね…。
    漫画も新しいタブレットでしこうさくごしつつ描いていたら意外と時間が掛かってしまって、遅筆をなんとかせねばと頭をなやませております。
    tumblerぜんぜんこうしんできぬ…。


    さて、以下小話続きです。


    それからしばらくたったある日。
    ゼルがリビングでテレビを見ていると、任務を終わらせたサイファーがゆらりと帰ってきた。
    そうとうキツい任務だったようで、疲れのためかサイファーの足取りは怪しい。
    ゼルの腰掛けるソファにコートをドサリと投げると、ゼルの呼びかけも無視して自分の部屋へと入ってしまった。
    ソファーを立ち上がりかかったゼルは、サイファーがベッドに倒れ込む音を聞いて、再びソファーへと腰を下ろした。
    しばらく寝かしてやるか。
    ゼルはそう思って微笑むと、無造作に投げられたコートを片づけるため再び腰を上げた。
    でけえコート。
    コートをハンガーに掛けるために広げてみると、その大きさと重さに驚く。
    サイファーはこのコートをなかなか触らせてはくれないのだ。
    自分との体格の差を如実に感じて、なんだか悔しい気持ちがこみ上げた。
    以前このコートに触れたのは、半年近くも前のことだ。
    そういえば、とゼルはその時のことを思い出す。
    確かこの辺だったはず…。
    ゼルはコートの襟の内側の縫い目の辺りを探るように触った。
    すると、そこには本当に小さな、知らなければ見つけられない程に目立たないポケットがあった。
    隠しポケットという奴だ。

    「これだ」

    ゼルはそう呟くと、興味津々といった顔でそのポケットを見つめる。

    サイファーと共にこの部屋へ移ってきた際、ゼルはサイファーからこのコートには隠しポケットがあるということを聞いていた。
    それは部屋で二人でささやかなお祝いをして、二人ともアルコールが入った時のことだ。
    それまで上機嫌で飲んでいたサイファーが、しばらくの沈黙の後、しずかにそう口を開いたのだ。
    回らぬ頭で聞いていたゼルは、サイファーに見せてくれと懇願したが、サイファーは首を縦には振らなかった。
    その代わりにと、別の物をもらったのだ。

    ゼルは、ごくりをつばを飲み込んでそのポケットへと手を伸ばした。
    どれだけ頼んでも見せてもらえなかったのだ。よほど大切な物を入れているに違いない。
    ゼルはその指二本が入るかどうかという隙間に指を差し入れた。
    すると中には小さな固いものが入っていた。
    それを慎重に取り出すと、目の前にかざしてじっくりと観察する。
    それは、親指の爪程の小さな四角く黒い物体だった。
    角は丸みを帯びていて、カードのように薄い。
    しかし、端の方に赤いランプと電源スイッチがあり、現在もランプは点灯しているので、何かの機器なのだろうことはゼルにも分かった。
    だが、博識のゼルにもこれだけではこの物体が何かは分からなかった。
    もっとよく見ようと裏返すと、同じように真っ黒の面ではあったが、小さいマークのような物があるのを見つけた。
    白色で書かれた稲妻のマークがそこにはあった。
    どこかで見た覚えがある。
    ゼルは目を細めてじっとそのマークを見つめる。
    確かサイファーに…。
    そうだ、思い出した!
    ゼルは勢いよく顔を上げると、自分の部屋へと駆け込んでいった。
    確かこの辺にしまったはずと、デスクの引き出しを引っかき回す。
    すると、ようやくゼルは目的の物を見つけて手に取った。
    小型ディスプレイのついたカード大のサイズの電子機器だ。
    裏側を見ると、確かに同じマークがそこにはあった。
    これはあの祝いの晩、ポケットを見せる代わりにとサイファーがゼルにくれた物だった。
    真剣な顔で、本当に困ったときに使えと、そう言っていた。
    ゼルは当時のことをもっとよく思い出そうと目を閉じて思考を巡らせるが、それ以上は思い出すことができなかった。
    アルコールが入っていて、その晩はこれからの生活を思って浮かれていたのだ。
    これも貰ったまま、使い方も分からずほったらかしになっていた。

    ゼルはまだ電源が生きていることを願いつつ、ディスプレイのスイッチを押した。
    すると、そこには地図のような物が映し出された。
    そして、中央に赤く点滅する赤い光がある。
    ゼルはしばらく画面を見つめていたが、この赤い光があのポケットの中身ではないかと気付く。
    試しに電源スイッチを切ってみると、点っていた赤い光は消えていった。
    同時に、ディスプレイの赤い光もだ。
    ゼルはここにきてようやくコレが何なのかに気付いた。
    気付いてしまうと、ひやりと背中に汗が流れる。
    コレ、発信器だ。追跡用GPS発信器。
    同時に疑問もわいて出る。
    どうしてサイファーがこんな発信器を持っているのか?
    普通、発信器は追跡したい人物にこっそり持たせるものだ。
    自分で発信器を持つ意味はないはず…
    そう思いかけたその時、ゼルは恐ろしい事実に気付く。
    心臓が急速に音を立てて鳴り始める。
    違う。コレは、誰かを追跡する為のものじゃない。
    『自分の位置を知らせるため』に持ってるんだ。
    もし拉致や監禁にあったときに、自分の位置を知らせるために。
    この『俺』に知らせるために。

    ゼルは自分の部屋のベッドに力が抜けたようにドサリと腰掛ける。
    頭の中はすっかり混乱してしまった。
    本当に困ったときというのは、サイファーが行方不明になったときの事だったのか。
    何故サイファーがそんな事を気にするのか、SeeDの仕事は危険だって言っても俺だって同じの筈…だろ?

    そう思って、自分とサイファーの違いに気付いて愕然とする。
    サイファーは、前科のある身だ。
    ガルバディア、トラビア、バラム、エスタ…。多くの国が、あれだけの事をして軽い罪で終わったサイファーを恨んでいる。
    サイファーに復習したい奴はごまんといる。
    ガーデン内でも、サイファーを良く思わない奴らがいるのを、ゼルは知っていた。
    ゼルはサイファーが置かれている状況にふるりと震える。
    そうして、今までの疑問がゼルの中にぬるりと入り込んでくる。

    なぜサイファーはいつも手袋をしているのか。
    なぜ食器を拭うのか。
    なぜ行列を嫌がるのか。
    なぜ外食が嫌いなのか。
    なぜキャッシュで払うのか。
    なぜ窓際に座らないのか。


    唾液や指紋を採取されたら?
    見知らぬ人間に背後に立たれたら?
    食事に薬を盛られたら?
    カードの情報を抜かれたら?

    頭の中で全てが繋がる音がする。
    何故今まで気付かなかったのか。半年も一緒にいたはずなのに。
    ゼルはベッドの上で、悔しそうに拳を握った。

    窓際を避けるなんて、狙撃を警戒してるに決まってるじゃねえか…。

    ただ景観がいいからと、何も考えずサイファーを危険に晒していた自分を殴ってやりたい。

    サイファーは常に緊張感のある中で生活をしていたのだ。プライベートの時間も生死を背負っていたに違いない。

    そう思ったら、もういても立ってもいられずにゼルはベッドから駆けだしていた。
    リビングを駆け抜けて、そうしてサイファーの部屋のドアを勢いよく開ける。

    ベッドで休んでいたサイファーにお構いなしに飛び乗ると、その体を強く抱きしめた。
    眠りかかっていたサイファーはいきなりの襲撃に、つぶれた蛙のような声をあげてゼルの衝撃を受け止めた。

    「なんなんだテメエ…」

    腹部でゼルをうけとめたせいで咳込みながら、サイファーが抱きつくゼルを軽く叩く。
    ゼルはサイファーの胸に顔を押しつけながら、何かボソリと声を発した。

    「何だ、聞こえねえぞ」

    サイファーがゼルの顔をのぞき込もうとしたその時、ゼルはガバリと顔を上げて真剣な表情で口を開いた。

    「アンタの背中も俺がちゃんと守るから!だから俺といるときくらい、心も体も休めてくれよ!」

    そう言って、今にも雫がこぼれそうな瞳でサイファーを見つめていた。

    突然始まったゼルの話に、理解が追いつかず眉を顰めていたサイファーだったが、自分を心配するその様子にようやく何を言っているのかを理解したようだった。

    「これは俺が自分で背負い込んだもんだ。オマエには関係ない事だ」

    サイファーはそういって、先ほどとは違う真面目な顔でゼルに向き直った。
    ゼルは言葉足らずなその台詞が、サイファーが自分を心配して発したものだという事はすぐに分かった。
    だが、感情は追いつかない。

    「俺はあんたと暮らしだして凄く楽しかったし、癒されてた。でもアンタはそうじゃなかった。そんなの許せるかよ。俺だってアンタの力になりたいに決まってんだろ!バカにすんなよ!」

    最後は叫ぶようにそう言って、サイファーの胸ぐらを掴んだ。
    まるで喧嘩をしているようなそのやりとりだったが、先ほどからきらきらと光るゼルの瞳からついに一筋の光がこぼれ落ちるのを見て、サイファーは心の中にじんわりと広がる暖かいものを感じた。

    「ありがとよ」

    サイファーは静かにそう言うと、ゆっくりとゼルを抱きしめた。
    止まり木を見つけた小鳥のように、暖かなその体に寄りかかった。


    おわり




    短くするつもりが意外と長くなってしまってこちらも時間がかかりました。
    やっぱり目算甘いんだなあと実感です。
    でも次はゼル君が道具でエッチなことする話書きたいのでがんばります!!



    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    拍手押して下さった方ありがとうございます!!
    更新なかなかできないのにいつもありがとうございます~!



    7/1にコメント下さった方ありがとうございます!
    小話楽しみにして下さってとても嬉しいです!
    待っていて下さる方がいると思うと頑張れます!
    まだまだ色々書きたいので、またおつきあい下さいませ~!




    7/8にコメント下さった方ありがとうございます!
    ギャグ漫画はいつもちゃんと面白いかな…?とひやひやしながらアップするので楽しく読んでいただけたと聞いてホッとしました&描いた甲斐がありました!
    ゼルとサイファーのやりとりまできちんと見て下さってとても嬉しいです!
    ご感想ありがとうございました~!

  • ご無沙汰してます~!

    ご無沙汰してます~!
    新しいPCとソフトに慣れるためイラストに時間使っておりました。
    3枚ほど描いてようやく勝手が分かってきましたので、今度は漫画の練習に移りたいと思っています。
    こまこました時間を使って描いてるので、結構日数が掛かってしまうのが難点ですね。イラスト(というか人体の練習)もしたい、ギャグ漫画書きたい、小話もかきたいで、もどかしいです。
    あと、アマゾンキンドル(アプリは無料)で8のアルティマニア売ってるんですが、スマホで見れるようになるんで、資料見るのがめちゃくちゃ便利になりました。
    目次もあるんで一瞬で飛べる…!
    8好きな方にはおすすめです!!!
    注意すべきは、アマゾンのアプリ入れてると、検索はできるんですが購入は「キンドルで買って」と表示されてしまい出来ないんですよね。
    アプリ版ではなく、PC版(HP版?)からログインして購入すると出来たはずなんで、良かったら買って読み直してみてください!

    さて、以下小話です。今回は短いお話です。ちょっとシリアスです。



    ゼルとサイファーが、買い物から帰ってきて部屋のドアを開けた。
    そのマンション…という名のSeeD寮では、ゼルとサイファーが今年の春から共に暮らしていた。
    ガーデンに戻ったサイファーと風神、雷神を学園長は快く迎えてくれた。
    諸外国は殆ど罰らしい罰を受けなかったサイファーに対して否定的で、かなり揉めたようだが学園長が自分が全責任を持つと約束し、ガーデンの経営権まで担保にして、とりあえずの解決に至ったのだ。
    それからのサイファーは学園長の望むとおりSeeDとなり、再びガーデンで生活していく中で、ゼルと交際に至った。
    つき合い始めてしばらくのこと、サイファーはSeeDの定年が延びたことで寮の拡大をすべく新しく建てられた、第2SeeD寮の相部屋タイプの一室をしっかりと確保していた。
    引きずり込まれるように相部屋で同棲が始まったゼルはサイファーの強引さに文句を付けながらも、ゆったりとしたその生活を楽しんでいた。
    サイファーとつき合い始めてから知った彼の性格や癖に、ゼルは驚いていた。
    今もそうだ。買い物してきた食材を調理して、そうしてテーブルに並んだ美味しそうな料理の数々。
    サイファーは、それをナイフとフォークで美しく食べていく。
    どちらかといえば食後にテーブルが汚れるゼルとは真逆だ。
    そうして、食後は手元のナプキンで汚れたカトラリーを拭うのだ。
    口を付けたコップのフチを拭うことも忘れない。
    一連の流れが、慣れた手つきで行われる。
    初めて共に食事をしたとき、ゼルはその意外な行動に驚いて凝視してしまった。
    横暴なイメージのあるサイファーがそんな繊細なことにこだわるとは。
    人間、意外なこともあるもんだとゼルは今日も目の前で行われるそれをじっと見つめていた。
    だが意外というのはそれだけではない。
    目の前のサイファーは手袋を付けているのだ。いつも身につけている、例のやつだ。
    共に暮らしだして驚いた。
    サイファーコレをはずしているのを見たことがあるのは風呂にはいるときと、夜ベッドで致すときくらいなのだ。
    いくらなんでも付けすぎじゃねえ?とゼルは前々から疑問に思っていた。
    普段はグローブを付けているゼルも、家に帰ってくれば流石に外している。

    「なあ、なんでいっつも手袋つけてんだ?」

    ゼルは思い切ってサイファーに声をかけた。
    サイファーはゼルに顔を向けると、一瞬変な顔をして、そうしていつもの嫌みな顔をつくった。

    「オレは潔癖性なんだよ。文句あるか?」

    ふーんと、ゼルは軽い返事で答えた。
    意外と神経質だからなこいつは。と心の中で納得する。

    「まあ、オマエに触るときは素手の方がいいけどなぁ。もしかして手袋したまましたいのか?」

    からかう調子でそう言うと、手に持っていたスプーンを擦る真似をする。
    からかわれたゼルが怒りの声をあげて、話はそのまま終わってしまった。


    それから数日後、サイファーとゼルは久しぶりの休日を楽しむため、ドールへと遊びに来ていた。
    パブでポーカーやカードゲームを楽しんだ後、昼食を取るためにレストランへと向かった。
    だがこれは実に珍しいことだった。
    ゼルはレンガ敷きの道を歩きながら、隣を歩くサイファーをこっそり見上げた。
    サイファーは普段、外食を嫌がるのだ。
    理由を聞いても、店構えが気に入らないだとか店主の顔が気に入らない等、ゼルには考えられない理由が彼の口から飛び出してくる。
    新しいもの好きのゼルは、外食に、特に雑誌にのるような有名な店に行きたがり、度々サイファーと衝突していた。
    たいがいはサイファーが折れるのだが、並ぶのだけは嫌なようで、行列ができているとゼルの腕を引いてそのまま店の前を後にしてしまう。
    今回はカードに熱中していたせいで、昼時を大幅に越えてしまったため、無事ゼルの希望の店にはいることができた。
    店内に入ると、サイファーは勝手に歩を進めてテーブル席へと腰を下ろした。
    これもいつものパターンで、サイファーにはこだわりがあるらしく、奥の窓のない席にしか座らないのだ。
    食事をしながら景色も楽しみたいゼルにとって、非常に不満をもっている事だった。
    かといって既に外食嫌いのサイファーに妥協させている以上、今度は自分が折れるしかなかった。
    ドール近郊の海産物メインにした料理は美味で、入店時の不満はすっかり忘れて、ゼルは満腹になった腹をさすった。
    同じく食器を拭き終わったサイファーが、ウェイターにチェックの声をかける。
    すぐさま席に訪れたウェイターに会計を済ませるサイファーを、ゼルはぼんやりと見ていた。
    サイファーの妙なこだわりはもう一つあって、必ずキャッシュで支払うのだ。
    カードを持ってはいるようだが、使っているところはほとんど見たことがない。
    任務中は渡されたカードを使っているから、金の管理が苦手なタイプ。というのがゼルの見立てだ。

    「おい、行くぞ」

    会計が終わったサイファーが、未だ椅子に座ってぼんやりしているゼルに声をかけた。
    ゼルは、おう、と返事をすると、椅子から立ち上がってサイファーに続いた。


    つづく




    ーーーーーーーーーーーーーー

    拍手押してくださった方ありがとうございます!
    心強いです!描く方も書く方もがんばりますー!







    6/8にコメント下さった方ありがとうございます!
    こちらこそ、楽しんで頂けてとても嬉しいです!
    衝突もするけど甘いときもあって、結局一緒にいるサイゼル素敵ですよね。
    粗暴なのに優しいサイファーと、ヤンチャなのに慎重派のゼル組み合わせはほんと面白いです。
    ご丁寧にありがとうございました!
    まだまだ描きたいものがありますので、
    またどうぞ遊びにきてやって下さいませ!
  • サイトリニューアルいたしました!

    こんばんは!
    ようやくHPを新しくいたしました。
    確認いたしましたが、もしリンク切れてるところやおかしな部分がありましたらご連絡いただけますと助かります。

    このすばらしいテンプレートはdoのガタガタ様よりお借りしております。
    レスポンシブ対応で、PC、タブレット、スマホのほとんどに対応したデザインになっております。
    最近はサイトを持つ人が減って、テンプレ配布のサイトもほぼ無い状況なのですが、個人サイトを応援してくださる素敵な管理人様です。
    リンクさせていただきましたので、是非訪れてみてください。

    また、時間を見つけてイラストや漫画を描き出したいと思っておりまして、tumblerに登録もいたしましたので、また覗いてみてやってください。他ジャンルごちゃ混ぜになる予定です。(まだ空っぽです)
    時間捻出のためタブレットPC買ったんですがヤバイですねこれ。お絵かきマシンに最適ですね。もっと早く導入すれば良かった…。
  • サイゼル最高か…!

    こんばんは!
    遅くなってしまいましたが、以前ブログでご連絡しましたしろひよ3を拝見しまして、とっても萌えましたのでここで吐き出します~!
    それぞれに違ったサイゼルがあって、ほんとうに面白いですし、ギャグもたくさんあって笑えますし、盛りだくさんでございました…!次回4もあるようですので、未参加の方は是非参加されることをお勧めいたします!!

    私事ですが、ようやく退院できました!ので、また段々とペースを取り戻せると良いなと思っております。
    ご心配をおかけいたしました。

    さて、長々と続けてきた小話最後になります。一気に読んでいただく方がいいと思いまして長めになっております。
    どうぞお楽しみくださいませ~!





    サイファーはガーデンの廊下を早足で歩いていた。
    視線を巡らせて、何かを探しているようだ。
    保健室の前の廊下に差し掛かったとき、キスティスが向こうから歩いてくるのが見えて、サイファーは迷わずそちらに足を向けた。
    近づいてくるサイファーに気付いたキスティスが鈴の鳴るような声で明るく声をかけた。

    「あらサイファー、来週の試験の準備はOK?」

    「おい、チキン野郎はどこだ?」

    真顔でその質問を無視して、サイファーはキスティスに迫る。

    「さあ、知らないわ。何か用なの?会ったら伝えとくけど」

    だがキスティスは恐れることなく立ちふさがるサイファーに対峙した。

    「あいつはどこ行きやがったんだクソ!ずっと部屋にも居やがらねえ!スコールのやつも知らんふりだ!」

    サイファーはそう言って片足を踏みならした。
    ずいぶんと探していた様子に、キスティスは困った顔をしてため息をついた。

    「任務に出てるんでしょ。そのうち会えるわよ」

    そう生徒に諭すように言うと「あなたも演習が入ってるんじゃないの?準備してきたら?」と澄ました顔で促した。
    サイファーは舌打ちをすると、これ以上は聞けないとふんで踵を返した。

    部屋に戻る最中に、サイファーは廊下を小走りに駆ける少年達を見かけた。
    注意しようとそちらを見ると、ゼルと同じように顔にタトゥーのある少年が先頭を走っている。
    後ろに続く少年達も、それぞれ体の露出した場所にタトゥーが入っているのが見えた。
    「早くいかねーと遅刻だぞ!」「追加の単位なんてめんどくせえよなー」と文句を言いながらサイファーの前を通り過ぎていく。
    その少年の勝ち気な表情や仕草にゼルを思い出して、サイファーは尚一層もどかしさに拳を握りしめた。


    結局あれ以来ゼルに会えていないサイファーは、むしゃくしゃした気持ちを抱えたまま演習を迎えた。時間一杯まで暴れ回り、演習終わりにそのままティンバーへと向かった。
    この任務もこれで終わりになる。
    当初予定もしていなかった複雑な気持ちを抱えたまま、サイファーはアフローラの扉をくぐった。
    サイファーがこれまで散々店にちょっかいを掛けるガルバディア兵を痛めつけていたおかげで、最近ではパブに強い常連客がいるとの噂が流れて、ガ兵の嫌がらせはすっかり収まっていた。
    お決まりの席にドカリと座って、マスターから出されたドリンクを一気に飲み干した。
    時間が過ぎるのが嫌に長く感じる。
    サイファーは片足を揺すりながら何度も時計を確認する。
    彼を待っている、いや、ゼルの代わりを待っているのだ。
    噂のおかげで結局無事に閉店時間を迎えたアフローラに、マスターはサイファーへと感謝の言葉を伝えた。

    「またいつでも遊びに来てくれよ」

    マスターはそう言って怖い顔を綻ばせて笑った。
    その時、暗い裏口から人影が店内に入ってくるのが見えた。誰が来たかはもう分かっている。向こうもサイファーを視界に捉えたようで、扉を閉めたところで動きが止まった。
    サイファーとエクセルの視線がバチリと合った。
    サイファーがその覚えのある視線に焦がれて居ぬ男の名を呼びかけたその時、エクセルがサイファーに駆け寄ってきて声をあげた。

    「すげー!ガンブレードだろそれ!」

    そう言って、サイファーが直接演習から来たせいで所持していたガンブレードケースを見てはしゃぎだした。

    「な、サイファー。ガンブレード、見せてくれよ」

    サイファーは切羽詰まった気持ちを削がれて、その様子に苦笑する。

    「駄目だ」

    「ちぇっ。なあこれって切るときトリガー引くんだろ?手痛くねーの?」

    しゃがんでケースを凝視するエクセルが、サイファーを見上げる。

    「慣れだ」

    「ふーん。替えのマガジンっていつも持ち歩いてんの?」

    サイファーは一瞬眉を顰めると、ひときわ大きなため息を吐いた。
    そうしてじっとエクセルを見つめると、目を細めて口元を緩ませた。

    「当たり前のこと聞くんじゃねえよ」

    そう言うと、サイファーは未だケースに興味ありげなエクセルを、手を引いて立たせた。

    「世話になったな」

    やり取りを見守っていたマスターにそう声をかけると、そのままエクセルの手を引いて急いでアフローラを後にした。




    「あっ!ああっ!いい…サイファーっ!」

    エクセルがサイファーの責めに甘い声をあげる。切なそうなその声は、サイファーの胸を熱くさせた。

    「サイファー、サイファーっ!」

    切羽詰まった声が、サイファーが動く度に放たれる。ゼルと同じその声に、サイファーの理性がついに切れた。

    「ゼル」

    おもわずサイファーの口からその名前がこぼれた。
    息の乱れたエクセルが急に放たれたその名前に、目を大きくしてサイファーを見つめる。
    サイファーから堰を切ったようにその名前があふれ出す。

    「ゼル、ゼルっ」

    熱を帯びた声と律動がサイファーから放たれる。
    何度も噛みつくような勢いでキスを交わした。
    エクセルは驚きながらも与えられる快感に次第に流されていく。

    「ゼル、好きだ。ゼル!」

    「サイファー」

    エクセルがサイファーの情熱にあてられて極まったとき、サイファーはゼルと見まがうその体をきつく抱きしめ律動しながら、エクセルの耳元で荒れ狂う心の声を発した。
    そしてキツく目を瞑り、腰を打ち込むと同時に彼の中に熱を放った。





    事後、息を整えたエクセルが、未だ上に乗っていたサイファーを押しのけて、驚きの表情でサイファーを見つめた。

    「アンタ…ゼルが好きなのか…?」

    途切れ途切れに、動揺しつつ放たれたその問いに、サイファーは間髪入れずに返事を返す。

    「ああ」

    エクセルはごくりと唾を飲み込んだ。

    「あいつはあんたのこと何とも思ってないんだろ?」

    エクセルがサイファーから視線を逸らして目を伏せる。
    戸惑っているその様子に、サイファーははっきりとした口調で言い切った。

    「いや、俺に惚れてる」

    その言葉に視線を上げたエクセルは、サイファーを見上げながら拗ねたように口を尖らせた。

    「なんでそんなことわかるんだよ」


    「分かるぜ。だってお前、ゼル・ディン だろうが」


    サイファーは真っ直ぐに彼を見ながらそう答えた。
    ゼルと呼ばれた少年は一瞬固まって、急に視線を左右にやりだした。

    「な、何言ってんだよ?!オレはエクセルだ!ゼルじゃねえ!」

    急に焦りだした様子の少年に、サイファーはにやりと口の端を引き上げた。

    「ほう、そうか。ならなんで見たこともねえオレのガンブレードがマガジンを使うオートマチック型だって知ってやがったんだ?ん?」

    一息にそう言って、弁解できるならしてみろと言う視線で少年に詰め寄る。
    ぐぐっと顔が近くなった少年は「うーーー」とうなり声を上げると、「降参だ」と言ってがっくりと肩を落とした。

    「そうだよ、オレだよサイファー」

    そう言って、片手で下ろしている髪をぐしゃぐしゃとかき回した。

    「あーーマジかよ死ぬほど恥ずかしい」

    そして今度は両手で頭を抱えるとベッドに俯きに沈み込んだ。

    「何を今更、初めあんなエロい顔でオレを誘ったじゃねえか」

    サイファーが目を閉じながら肩をすくめる。

    「あれは興奮剤打ってたんだよ!アンタ相手に勃つか分かんなかったし、オレ初めてだったしよ」

    ゼルはベッドから少しだけ顔を覗かせながらそう答えた。
    そして「別人だから出来ることってあんだよ!」と捨て台詞のように言い放つと再びベッドに顔をうずめた。

    ベッドでうーうー言っているゼルをはたきながら、サイファーが天井を見上げてため息をついた。

    「それで、なんでこんなことしやがったんだ?キスティスもグルだな。ったくお上品な顔に騙されたぜ」


    「みんなだよ」

    ゼルがそっと顔を上げて、そう呟いた。
    さっきまでとは違う真剣味のある顔に、サイファーもそれに対するように答える。

    「どういうことだ」

    「ガーデンの奴らはもちろん、ティンバーの町の人みんなが協力してくれたんだ」

    そう言うと、ゼルは事の始めをゆっくりと話し出した。


    ■■■


    学園長の元に来た連絡が始まりだった。
    それは国際軍事裁判所からの命令だった。

    『サイファーに破壊思想が残っていないか
    を調査すること』

    SeeDとして社会復帰を目指すサイファーに、世界中が危険思想を持っていないか確認を求めたのだ。
    アルティミシアに完全に操られていたイデアやリノアは罪を免れたが、サイファーに関しては自分の意志で破壊に参加したとみなされて裁判が行われていた。
    その結果がシドの元へとようやく届いたのだ。

    調査実施については、ガーデン内で行えないならとガルバディアとエスタ、両国が手を挙げていた。
    学園長室に密かに集められた魔女戦でのメンバー、そして信用のおけるSeeDの面々に、シドから残酷な事実が告げられる。

    「ガルバディアに引き渡せば、調査という名の拷問が待っているでしょう。事故に見せかけて殺されることもあり得ます。エスタでは最近噂されている人体実験に使われる可能性があります。あの国の研究者の強い権力と歪んだ倫理観はラグナ大統領でも止められない」

    だからこそ、このバラムガーデン内で調査を済ませたいのです。そう言って休めの体制をとる皆を見回した。

    「状況は理解しました。作戦は?」

    直立した休めの体制のまま、スコールが先を促す。
    シドは頷くと、話を続けた。

    「工作活動により、サイファーの友人である風神や雷神のように、サイファーの核心部に食い入る人物を私たちであてがい、作り出します。そうしてその人物に本心を吐露させるのです」

    そう言って、手を振りかぶって再び皆の顔を見回した。

    「まずはその役目を誰が担当するか決定します。サイファーの信用を得るため、長期の任務となるでしょう。性的な関係も必要になるかもしれません。そのため、できれば女性が相応しいですが…」

    シドがそう言って、SeeDの女性陣に顔を向けた。
    その時、列の端に並んでいた一人の男が声をあげた。

    「オレがやるぜ」

    ゼルがそう言って、学園長を真っ直ぐに見た。

    「前々から思ってたんです。オレがTV局でみんなの所属を言っちまった後、なんの処罰もありませんでした。非常時だったからだと思いますが、本来なら懲罰があるはずだ。だから、皆に迷惑かけたその分、オレがやります」

    いつもとは違うゼルの真剣な表情に、シドも深くうなずいた。

    「分かりました、ではゼルに頼みましょう」

    そう言って、確かにサイファーと面識のある顔の方が、うまく興味を引けるかもしれませんね。と続けた。

    「でも俺、諜報の評価低かったからサイファーを欺けるか正直不安です」

    ほっと胸をなで下ろしたゼルが、そう言って頭をかいた。
    そこに、同じく召集されていた元教官のキスティスの声が響いた。

    「そんなこと無いわ。意外でしょうけど、あなた諜報活動の単位で変装の評価が高かったのよ。発言内容で随分減点されて評価はそこそこだったけれど…。タトゥーに目がいくからかしら、隠すと別人に見えるわよ」

    そう言って、振り向くゼルに微笑みかけた。

    「問題はサイファーが俺を相手にするかどうかなんだけど」

    ゼルがそう言って、キスティスに困った顔をする。

    「それは問題ないと思うよ」

    今度は列の反対側からアーヴァインの声が響いた。

    「だってサイファーってバイでしょ」

    はっきりと言い切られたその言葉に、ゼルがアーヴァインに顔を向けながら目を瞬かせた。

    「何でそんなことが分かるんだ?」

    「男相手に執念燃やすタイプだからだよ。ほら、誰かさんにお熱だったでしょ?」

    そう言って、意味深にスコールに視線を向けた。

    「ちょっとそんな顔しないでよ。キミのことが好きだなんて言ってないじゃない」

    アーヴァインが両手を上げて肩をすくめながらスコールに苦笑する。
    苦い顔をしたスコールが、咳払いをしてシドに向き直った。
    それを見たシドが、話は決まったと見て傭兵学校の長の顔を覗かせる。

    「舞台はティンバーのパブ、アフローラ。町の住民には工作員のSeeDが来ることは周知してあります。町の皆に話を通してくれたリノアに感謝しなければなりません」

    「町の者が裏切る事はありませんか?」

    話を聞いていたSeeDの一人が、シドへと声をかけた。

    「サイファーはティンバーの憎き敵、ビンサー・デリング大統領の首に刃を突きつけた人物です。町の者はみなサイファーに尊敬と感謝の念を持っているのだそうです。ティンバーの代表者は、あの青年の為なら喜んで協力すると言ってくださいました。信用して良いと思いますよ」

    そう言うと、ゼルに向き直る。

    「ゼル、すぐにシュウと共にティンバーに赴き、作戦の詳細を決めてきてください。ほかの皆はサポートです。ゼルが戻り次第、各員配置を決定します。決して公にならぬよう、細心の注意でおねがいします」

    そう言って、シドは右手を額に当てて敬礼をした。
    残りの皆も、休めの体制から瞬時に直立し、踵を鳴らして同じように敬礼を返した。


    ■■■


    「前回の逢瀬で確かにあんたから言質はとったから、俺の任務は前回で終了してる」

    すっかり顔を上げたゼルは、真っ直ぐサイファーを見ながらそう言いきった。

    「哀れみか?」

    サイファーは目を逸らさずゼルへ厳しい視線を向ける。

    「違う。アンタを地獄へ落としたのはオレだ。だから今度はオレがアンタを地獄から助け出す。自分ケツは自分で拭く。これはオレなりの責任の取り方だ」

    ゼルは真っ向からそれを受け止めて、ゆっくり目を閉じた。

    それを見たサイファーはハァー、と深いため息を付くと、まじめ腐ったゼルの額をはじいた。

    「つーかてめえ避けてんじゃねえよ」

    ゼルは痛む額をさすりながら、サイファーに噛みつく勢いで口を開いた。
    やけくそというやつだ。

    「隠しきれなくなっちまったんだよ!顔に出てるってスコールにも言われちまったし。会ったらバレちまうし…。そんな状況で顔見れねーだろ、普通。あんたいい男すぎんだよ!」

    ゼルはフン!と鼻を鳴らすと、吹っ切れたのか今度はベッドに仰向けに寝ころんで天井を見上げた。

    「あーあ、キスティスに会うのが怖いぜ…」

    「どうしてだ?」

    「この任務につくにあたって、発言には気をつけるようにって散々言われてっから」

    そう言って、今度はまるでエクセルのときのようにサイファーへと興味津々といった風に話しかけた。

    「なあ、いつ気づいたんだ?」

    「ガーデンで顔にタトゥーのあるガキを見たときにな、そういえば諜報系の授業で傷とタトゥーを隠す補習授業があったことを思い出してな。そん時だ」

    「なんだ、じゃあオレの言葉のせいじゃないんじゃん。あの授業はさ、見えるとこにタトゥーある奴は必須なんだ。普通のやつには必要ないから知らないと思ったんだけどな」

    「馬鹿野郎!失言したのは事実だろうが。あれで確信したんだよ。しっかりしやがれSeeDさんよ」

    サイファーはゼルに活を入れるように一喝すると、一呼吸おいて話を続けた。

    「それで?」

    「それでって?」

    「お前俺に惚れてるとか言ってたよな?」

    得意げにその言葉を口にするサイファーに、ゼルは無言で視線を逸らした。

    「……」

    「どうなんだ、ん?俺は『エクセル』からしか聞いてねえぞ」

    答えが分かり切っているサイファーは、もういつもの自信に溢れたサイファーに戻っていて、とてもじゃないがいつものゼルでは逃げられそうもなかった。

    「うるせえな!そうだよ好きんなっちまったんだよ!知ってるくせに何度も言わせんなよ!」

    ベッドから体を起こしてそう吠えたゼルを、今度はサイファーが押し倒した。

    「もう一回やろうぜ。今度は『ゼル』とヤりてえ」

    そう言って、わざと舌なめずりをするポーズを取った。
    サイファーは再びうーうー言い始めたゼルの首筋に舌を這わした。
    すっかりサイファーに開発されてしまったゼルが、再び訪れた快感の予兆にぶるりと震える。
    体はすっかり馴染んだサイファーを受け入れて、次々と繰り出されるキスに陥落寸前になっていく。

    「ああ、そうだ。イくときお前の名前を呼んでも良いか?」

    その時、ゼルの体から顔を上げたサイファーが、ニヤニヤしつつ仕返しとばかりにゼルの耳元で囁いた。
    自分が言い放った覚えのある台詞に、ゼルが羞恥に目を見開く。

    「アンタのそういうとこだいっきらいだぜ!」

    これから与えられる快楽を想像して、ゼルは真っ赤になってそう叫んだ。


    おわり





    ここまでおつき合いありがとうございました!
    近日中に小話欄にまとめたいと思っておりますので、今度はすべてを知っている仕掛け人のゼルの視点で、どうぞ今一度読んでお楽しみいただければと思います。

    また、作品に出てくるオリキャラのエクセル【xell】は、【zell】のドイツ語バージョンからいただきました。
    ドイツ語ではzellは、英語のcell(細胞)と同じ意味になってしまうため、xellの表記なになっているんだそうです。読み方はゼルで英語表記と同じです。
    xellってなんか格好いいですよね。おしゃれな名前の多いスク工ニっぽい感じがします。



    ーーーーーーーーーーーーーー


    拍手押していただいた方ありがとうございます!
    なかなか更新できていないにも関わらず応援していただけて感無量です…!
    また遊びに来ていただけるのをお待ちしております~!
  • 早速ですが小話続きです!

    こんにちは!
    更新遅くなるとかいってましたが、小話続きです!
    サイゼル書いてると私生活のストレス解消にもなって一石二鳥です。


    以下小話続きです!




    翌週のサイファーは、毎日のように訓練施設へ足を運んでいた。
    それは何日も眠っていたせいで体が鈍ってしまったからでもあり、持て余す自分の感情を発散させるためでもあった。
    週末のティンバーへ出かける前にも、サイファーはモンスター相手に暴れようと訓練施設へ向かった。
    敵の血で刃を汚すと、その度に体が沸き立つ。
    それに任せて周囲のモンスターを一掃してしまったようだが、それでも体はもっと熱いモノを求めている。
    サイファーは場所を変えようと鬱蒼とした木々の間を歩き出した。
    すると、奥の方からモンスターのうめき声が聞こえてきた。
    悲鳴のような断末魔が、その戦闘の激しさを物語っていた。
    誰かいるのかと興味本位でそちらへ向かう。
    近づく度に、打撃音や破壊音が大きくなり、モンスターの悲鳴が辺りに響いている。
    だかそれがピタリと止んで、辺りにしん…と静寂が広がった。
    音がしていた中心地にたどり着いたサイファーは、気配を殺して木々の間からそちらをうかがう。
    少し開けた場所に、ゼルが一人で佇んでいた。
    周りにはグラッドの死体が山積みになっていて、本人もモンスターの体液でずいぶんと汚れている。
    あの事故ぶりに見かけたゼルに、サイファーの感情が高ぶる。
    任務は無事済んだと聞いていたが、直接会うことがなかった為無事だったことをようやく実感する。
    そのゼルといえば、いつもと違う雰囲気を纏っていて、俯きながら拳を握りしめていた。
    サイファーが様子を見ていると、ゼルは勢いよくその握りしめた拳を地面へ突き立てた。
    あまりの力に一瞬辺りに地鳴りが響いた。
    俯きざまにちらりと見えた顔は悔しそうに歪められていた。
    その様子に、普段ならからかい半分に声を掛けるサイファーだが、とても近づける雰囲気ではなかった。
    ゼルはゆっくりと立ち上がると、自分の拳をじっと見つめた。
    そうしてぐっと堅く瞳を閉じると、再び拳を堅く握りしめて目を開いた。
    遠くを見るその瞳には、先ほどまでの悔恨の色は浮かんでいない。
    それは、何か覚悟を決めた表情のように見えた。
    サイファーは見ては行けないものを見てしまったような気がして、妙に心がざわめいた。
    サイファーはその気持ちをうまく処理できないまま、踵を返してティンバーへと向かった。


    任務終わりにエクセルに会ったサイファーが考えるのは、先ほど見たゼルのことばかりだった。
    金の髪も、傷の多い体も、少し日に焼けた白い肌も、青い瞳も、話す度にちらりと覗く犬歯も、落ち着きのない所も、口角を上げて笑う癖も。
    知らず知らずのうちに、エクセルの中にゼルの面影を探してしまう。
    肌を辿って交わっても、どうしてもそれが忘れられない。
    揺すられるエクセルが彼だったらどれだけいいだろう。
    甘く自分の名を呼ぶエクセルにたまらなくなって、サイファーはおもわず口を開く。


    「ゼル」


    そう呼びそうになった。
    この男はゼルではない。エクセルという別の人間だ。
    だが呼ばずにはいられない。自分の気持ちをぶつけずにはいられなかった。

    最初にエクセルが言った言葉がサイファーの頭の中に鳴り響く。

    「みんな『ゼル』を目当てに俺を抱きに来るんだぜ」

    こんな気持ちだったのかとサイファーは歯を食いしばった。
    今ならこの男を抱きにくる男たちの気持ちが心の底から理解できる。
    ゼルを抱けない鬱憤を、こうして晴らしているのか。

    「ゼルだと思ってくれていいよ」

    そう、言ったはずだ。
    この男は、自分をゼルの代わりにしてもいいと言ったのだ。
    サイファーはその甘い誘惑に陥落する。
    何度も心の中でゼルの名を呼びながら、熱を叩き込む。
    ゼルと同じ声が、たまらないと喜びの悲鳴をあげる。その度に口からゼルも名前がこぼれそうになるのを歯を食いしばって堪えた。
    身代わりのゼルと交わって、サイファーは果てを迎えた。

    息を整えながら隣の男へと目をやる。
    少しの罪悪感がサイファーの中でわき起こった。
    エクセルは攻められるうちに何度かイったのか、怠そうに横たわっていた。
    だが、ゆっくりと体を起こすと、隣で休むサイファーにゆったりとはなしかける。

    「今日、凄かったな…あんた」

    そう言って、エクセルは少し赤くなった。
    こういう初々しいところが、たまらなくなるんだとサイファーはそっと思った。

    「まあ、色々あって溜まってたんだ」

    嘘は言っていないはずだ、とサイファーは自分を納得させる。

    「…あんたでもそういう事ってあるんだな。意外だぜ」

    エクセルはベッドにうつ伏せになって顔の前で組んだ腕に顔をうずめた。
    しばらくそうしていたが、ゆっくりと顔を上げてサイファーに問いかけた。

    「なあ、魔女の騎士だったって言ってたろ?今でも世界を破壊したいって思ってんの?」

    エクセルが、まるで今日の夕食を聞くかのような軽さでそう問いかけた。
    その内容の見合わなさに、サイファーはエクセルがわざとそんな言い方をしたのだと直ぐに分かった。
    口調に反する真剣な瞳に、サイファーは深く息を吐いて答えた。


    「世界のことなんざどうでもいい。魔女が望むことを叶えたかっただけだ」

    サイファーはエクセルをじっと見つめながら、自分の本心を語った。
    エクセルをゼルの代わりにしてしまった謝罪の意味もある。

    「世界の破壊なんて望んじゃいない」

    だが単純に、このゼルに似た男には、嘘を言いたくはなかった。

    「そっか…。よかった…ほんとに」

    そう言ってエクセルは胸をなで下ろした。
    その様は、何かから解放されたようにも見えた。
    そうして覚悟を決めたように話し出した。

    「俺さ、アンタのこと好きなんだと思う」

    エクセルはそう言うと、寂しいような物悲しい笑顔を見せた。

    「オレにこんなこと言われても困るのは知ってる。だけど、知っといて欲しかったんだ。俺の気持ち」

    そうして、行き別れる恋人に言うように言葉を続けた。

    「どうしても言っときたかったんだ」

    サイファーはそれを、静かに受け止めた。
    嫌悪感はなく、むしろ何か同じ気持ちを持つ仲間のような、妙な連帯感すら感じた。
    だが、ゼルに言われたのなら良かったとそう思って、自分の欲深さにそっと目を閉じた。


    つづく



    ようやくサイゼルっぽくなってきました!
    終盤ですので頑張ります!
    早く続き書きたいです…!

    ーーーーーーーーーーー

    なかなか更新できませんのに拍手して下さった方ありがとうございます。
    励まされます。本当にありがとうございます!
  • 体調には十分お気をつけ下さい

    こんにちは!
    オペオムではサイファーとゼルが同時にピックアップされててニヤついてしまいます。
    ゼルのボードのセリフのばかだぜ~はサイファー用ということでいいですよね!
    私が作中で一番好きなセリフも入っていて凄く良かったです…。
    確か以前FFポータルのボイス投票で投票が多かったキャラのボイスを追加実装のときにもあったはずなんですが、ゼル選ばれなかったので聞けなかったんですよね…!
    でもその時はサイファーのぎにゃあが選ばれたのでそれはそれでおいしかったです!

    私事ですが、家族が急に入院してしまったので忙しい日々を送っております…。
    なかなか更新できずもどかしいですが、しばらくはゆっくりになると思います。
    コロナも怖いですが、通常の病気にも十分お気をつけ下さいませ。



    ーーーーーーーーーーーー
    拍手押して下さった方ありがとうございます!
    早く更新できるよう頑張ります!
  • 新サイトデザイン作成中です!

    こんにちは!
    最近ちょっとブログの更新が落ちてきているのですが、サイトの方をそろそろリニューアルしたいと思いまして新しいのを作っている最中でございます。
    一応スマホとかでも見れるんですが、見にくいのと小話も増えてきましたので新しいものにしたいと思っています。
    今しばらくやや更新が鈍い感じになるかもしれないですが、そう言った事情ですのでご容赦下さいませ~。



    さて、以下小話続きです!




    翌日の早朝、サイファー達は命令に従いガーデンを後にした。
    バラムから乗った高速艇で向かう任務地はティンバー北にあるロスフォールの森だ。
    正SeeDを含めた15人を3人班に分けて行われるこの作戦は、大量発生したグレンデルを討伐するというものだった。
    ゼル率いる身軽な斥候班が先陣を切って森の中を進んでゆく。遊撃班の班員に割り振られたサイファーは、まわりを警戒しつつそれに続いていく。
    腕に覚えのあるメンバーを揃えていたようで、討伐は順調に進んでいた。
    だが夕方になり、疲れも溜まってきた頃にその事件は起こった。
    ゼル達の班がグレンデルの群れに遭遇したのだ。直ぐに他の班も戦闘体勢を整え、グレンデルのいる前方へと意識を集中した。
    そうして戦闘が始まってしばらくした頃、後方から突然悲鳴が上がった。
    サイファーが何事かと振り返ると、オチューが直ぐ間近にまで迫っていたのだ。
    部隊が前方に意識を集中しすぎたせいで、後方より迫るレベルの高いモンスターの接近に気付かなかったのだ。
    サイファーは振り下ろされる触手をすんでの所で避けると、すぐにゼル達のいる前方に目を向けた。
    グレンデルと近接戦闘をしているせいで、まだオチューの接近には気付いていなかった。
    サイファーが声をあげるのと同時に、前方の部隊にオチューの触手が振り上げられる。
    サイファーの怒鳴り声に、ゼル達が振り返った。
    目の前に迫った触手に一瞬固まったゼルは、逃げられないと悟って強烈な一撃を覚悟する。
    だが目の前に飛び込んできた白い物体に急に突き飛ばされた。
    受け身もとれず吹き飛ばされたゼルは、急いで起きあがると何事かとそちらを見る。
    そこには、腹部を真っ赤に染めながら膝をつくサイファーがいた。
    ゼルの方を見て無事を確認すると、力なく笑って、そのまま前方へと倒れていった。
    ゼルをかばったのは明白だった。
    何が起こったのかを一瞬で理解したゼルは自分のふがいなさに奥歯を噛みしめると、
    すぐにサイファーの元へと駆け寄って、モンスターと対峙しつつ後ろ手に傷の様子を確認する。
    まだ命がある。助けられる。
    そうして声を張り上げた。

    「ケアル班っ!!!サイファーを頼む!!」

    ゼルは迫るオチューとグレンデルからサイファーを守るために戦闘の構えをとった。
    ケアル班がすぐに駆けつけてサイファーを戦線から離脱させる。
    ゼルはそれを見届けると、拳を握りしめながら班員に檄を飛ばした。
    サイファーが離脱した後も激しい戦闘は夜まで続いた。



    「ここは…?」

    サイファーが目を覚ますと、そこにはなじみのある風景が広がっていた。

    「よかった。ようやく目が覚めたね」

    「ババア…」

    「そういう口が聞けるならもう大丈夫だね」

    カドワキ先生はそう言ってベッドの横のイスへと腰をかけた。
    あの後、ケアル班の治療を受けたサイファーだったが、思いの外傷が深かったことと、ノーガードで衝撃を受けたことで昏睡状態に陥っていた。
    目を覚まさないサイファーは先に帰還することとなり、そのままガーデンの保健室へと運ばれていた。

    「俺はどのくらい寝てた?」

    「丸3日寝てたんだよ」

    「何っ…?」

    そう言ってサイファーは急にベッドから起きあがった。
    寝ている間にもう週末になってしまっている。
    行くべき場所がある。いや、会いたい人物と言った方がもう正しいのかもしれない。

    その様子を見たカドワキが驚いてサイファーを制止する。

    「起きちゃ駄目だよ!あんたの今週の任務は断ってあるからまだ寝ていなさい。面会謝絶だったんだよ。まだ傷が痛むでしょう?」

    「少しだけだ。ケアルで塞がってんだろ?問題ない」

    サイファーはそう言うと、心配そうに見守るカドワキに小さく礼を言って保健室を後にした。




    身支度をしてティンバーに向かったサイファーがアフローラに入ると、マスターが驚いた声をあげた。

    「サイファー!?今日は入院中だから来れないって連絡貰ってたけど、大丈夫なのかい?」

    そう言ってグラスを拭く手を止めてサイファーを見つめた。

    「入院なんてオレには必要ない」

    そう言うと、マスターの視線を無視していつもの指定席に勝手に座った。
    サイファーのその様子に、マスターは肩を竦めるといつもの業務へと戻っていった。

    そうして、結局その日はトラブルもなく夜が終わろうとしていた。
    サイファーといえば、あの男がまだ姿を見せないことにイライラしていた。
    あれ以来、寝込んでいたせいでゼルの顔も見ていない。当然抜いてもいない。
    早くあの肌を辿って熱くなりたかった。
    チラリチラリと裏口と時計を見ては、小さな溜め息をこぼす。
    その時、きぃ…と小さな音を立てて例のドアが開いた。
    サイファーがそちらに目をやると、店内に入ってきたエクセルと視線が合った。

    「あんた、来てたのか…。今日は来ないと思ってたのに…」

    エクセルは驚いたようにそう言って、静かにそこに佇んでいる。
    サイファーはマスターに任務終了の声を掛けると、エクセルを引っ張る勢いで裏口から出て行った。


    サイファーは部屋に入るなり、ベッドにエクセルを押し倒した。
    シーツに金の髪が散って、見知った青い視線がサイファーを見上げる。
    サイファーは這い上がる興奮を押さえつけながら、頬から首筋にキスを落とす。
    そうしてエクセルの着衣をはぎ取ると、鍛えられた腹部を辿るようにキスを繰り返す。
    だがその度に治りきっていない腹部に痛みが走る。

    「…つっ!」

    顔に出さないようにしていた痛みだったが、エクセルがサイファーを愛撫しようと腹部へ手をあてたことで思わず声が漏れてしまう。
    エクセルは、痛みに顔をしかめて隙を見せたサイファーを逆に押し倒した。
    そしてそにまま腰の辺りに跨がると、ベッドに沈むサイファーに静かに声を掛けた。
    真剣な眼差しがサイファーに向けられる。

    「腹に…ケガ、してんのか…?」

    声を詰まらせながら、エクセルがサイファーに問いかける。

    「ああ、まあな」

    「見てもいいか…?」

    「構わねえが気持ちいいもんじゃねえぞ」

    エクセルはゴクリと唾を飲み込むと、覚悟を決めたようにゆっくりとサイファーのウエアのジッパーを下ろした。

    「なん、だよ…これ」

    エクセルは震えた声でそう言って、目を背けてはいけないとばかりにそこを凝視した。
    サイファーの腹部に、まるで肩から臍の辺りまで袈裟切りにあったような傷がそこにはあった。

    「痛かったか…?」

    エクセルの震える手が、そっとその傷をなぞった。

    「それほどでもねえよ。傭兵ならこんなもん日常茶飯事だ」

    「嘘つくんじゃねえよ!」

    サイファーの飄々とした言い方に、エクセルは思わず声を荒げた。

    「どう…したんだよ、これ…」

    目を伏せて、エクセルは抑揚のない声でそう続ける。

    「なんでもねえよ。オレがドジっただけだ」

    「あんたが…?」

    「ああ、モンスターの攻撃を避けきれなくてな。そんだけだ」

    「………」

    エクセルは静かにそれを聞いていた。
    だが何かを決意したように固く目を瞑ると、目を開いて急にサイファーの下衣を取り払った。そして既に勃ち上がり掛けているそれを何度か扱いて、そっと自分の後孔へと押し当てた。

    「オレ、今日は上乗るから」

    譲らない強さでそう言って、くぷりとサイファーの先端を含んだ。

    「だからいっぱい感じてくれ、サイファー」

    サイファーの茎部を入り口で扱いて、腸壁でこすって、自身も何度も痙攣しながら、その晩エクセルはサイファーの上で存分に乱れた。

    つづく




    だいぶ佳境に入ってきました…!
    早く続きを書きたいです!


    ーーーーーーーーーーーーーーー

    拍手押して下さった方ありがとうございます!!
    頑張ろうという気持ちになります~!
    少しでも楽しんでもらえると嬉しいです!

  • 小話更に続きです!

    こんにちは!
    オペオムついにゼルのボードがきますね!
    クラウドBTLD武器もくるし忙しい…!
    ゼル調整無しですが、きっとLDで魔改造される…んだろうなあと期待してます!
    ストーリーいっぱい出てくれるからそれだけでいいんですけどね!
    ルードのイベントにも出てたし、頻度高いなと思います!!

    さて以下小話続きです!
    ちょい短いですがきりがいいのでここで切ります~!




    その後もティンバーへの派遣とエクセルとの関係は続いた。
    アフローラにちょっかいをかけるガルバディア兵は末端ばかりのようで、サイファーは暴れ足りないのか退屈を持て余していた。
    その日も調査という名の嫌がらせをしに来たガルバディア兵を打ちのめしたところで、店は閉店の時間を迎えていた。
    店内へ戻ったサイファーは視線を感じてそちらを見る。
    すると暗い店の裏口に、見慣れた金髪の少年がもたれ掛かっていた。
    ダウンライトに照らされた髪がキラキラと光っている。
    サイファーと視線が合うと、誘うようにその髪をかき揚げた。
    サイファーはマスターにもう上がるぞ、と声を掛けると、それ以上は何も言わずエクセルの元へと足を向けた。


    また熱を分かち合って、サイファーはベッドへと沈んだ。
    サイファーがなれてきたのか、それともエクセルがサイファーに合わせるのが上手く待ったのか。
    サイファーはここ最近満足のいく時間を過ごしていた。
    慣れた風のエクセルから時折垣間見える、ウブな部分もそれに一役買っていた。
    きっとそれがエクセルの本質の部分なのだろうとサイファーは隣の男を見ながら思った。
    その間にもお喋りなエクセルが、サイファーにいろんな事を話しかける。

    今日の話題はガーデンの生活についてのようで、同年代の学生について面白そうに尋ねていた。
    サイファーが雷神と風神について話してやると良い仲間なんだな、と口角を上げて笑った。
    その笑顔を見ると、別の同じ笑顔をもつ男のことが思い出された。
    そうして話していると、エクセルが何か言いたそうにサイファーを見ているのに気づいた。

    「なんだ」

    そう言って促してやると、エクセルは言おうかどうか逡巡してから、ようやく口を開いた。

    「あんた、前に『ゼル』に地獄に追いやられたって言ってただろ?恨んでるのか?」

    そう言って、エクセルはサイファーを窺うように見た。

    「前にも言ったろ。別に恨んでねえよ」

    サイファーは邪魔な前髪を撫でつけながら軽い口調でそう言った。

    「あいつのドジのせい、って言ってたじゃん」

    だが、エクセルは話が気になるのか更に深く切り込んでくる。
    サイファーはエクセルに向き直ると、今度は真面目な口調で続けた。

    「あの時確かに切っ掛けを作ったのはあいつだった。だが、自分の身の振り方は自分で決めた。俺の選択だった。それが全てだ」

    そうして、「あいつは関係ない」と言い切った。

    エクセルはその答えに目を見開くと、声を詰まらせながら言葉を紡いだ。

    「あんた、いい男だな」

    「なんだ?客に対するご機嫌とりか?」

    サイファーが商売人のリップサービスに片眉を上げる。

    「いいや、俺の本音だよ」

    そう言ったエクセルは真剣な眼差しでサイファーを見つめていた。


    ■■■


    その日、サイファーが演習終わりにガーデンへ帰ってくると、図書室前でシャドウをしているゼルを見かけた。
    プロテクターを付けてはいるが、それでも分かるくびれて締まった腰にゾクリとする。
    指で辿って秘部へと進行する所まで想像して、あわててあれはエクセルではなくゼルだぞと自分に突っ込んだ。
    邪な考えを捨てて歩き出すと、サイファーに気がついたゼルが駆け寄ってくる。
    ずいぶんと懐かれたな、とサイファーは妙にくすぐったい気持ちになる。

    「よう!待ってたんだぜ!」

    「待ってた?」

    「おう!明日SeeDの緊急のモンスター掃討作戦があるんだ。急ぎのせいで人数足りなくて戦力が欲しいみたいで、あんたにも参加の要請がきてるんだ。今晩、正式な命令書届くから。とりあえず先にそれ伝えたくてよ!」

    ゼルはそう言って頭を掻いた。
    そうして何か言いたそうに、あちこちに視線を彷徨わせている。
    サイファーはその様子を見て、「なんだ」と先を促してやる。
    先日行われたエクセルとのやりとりを思い出しておもわず苦笑する。

    「なあ、サイファー」

    ゼルはそう切り出すと、ゴクリと唾を飲み込んで一気に口を開いた。

    「SeeD試験近いんだって?オレ、応援してるからな。あんたが真っ先に拍手してくれたの忘れてないぜ!」

    ゼルはそう言い切ると、サイファーを見上げながら、口角を上げてニカリと笑った。
    その表情に、サイファーの鼓動が高鳴る。
    そのまま一歩を踏み出して抱きしめても許されるような錯覚を起こす。
    いつもと同じだ。いつだって喜んでオレと肌を合わせる。いや、それはエクセルだ。この男ではない。
    サイファーがそう夢想していると、ゼルは伝えたいことは言い切ったのか、じゃあな!と明るい声で去っていこうとする。

    「あ、明日は俺も参加するから、よろしくな!」

    そう言い忘れた言葉をサイファーに振り向き様に投げながら、颯爽と食堂の方へ消えていった。

    サイファーはエクセルとゼルを混同している自分に溜め息をつくと、どうしたものかと片手で顔を覆った。



    ーーーーーーーーーーーーーーー

    拍手押して下さった方ありがとうございます!!
    少しでも楽しんでもらえるよう頑張ります!

  • 小話続きです!

    サイファーは週末の護衛のため、再びアフローラの隅の席に身を置いていた。
    今日は特に争いらしい争いも起こらず、ゆったりした時間が流れている。
    あれからイデアにもそれとなく聞いてみた所、ゼルに兄弟がいたかもしれないが詳細は分からない、と言われてしまった。
    不思議なエクセルとの出会いは、この退屈な仕事の中で、唯一刺激的な出来事だとサイファーは思っていた。
    刻々と時間は過ぎて、気づけば閉店の時間が迫っている。
    不思議な少年は今回は現れないか、とサイファーが手元のグラスを揺らして、退屈な天井を仰いでいると、目の前の席から「よう!」と聞いたことのある声がした。

    じろりとそちらを見ると、いつ店に入ってきたのか、エクセルがサイファーの前に座っていた。

    「なあ、前回のリベンジさせてくれよ」

    そう言ってサイファーをのぞき込む。

    「リベンジ?」

    「ほら先にイッちゃったじゃん。カッコ悪いとこ見せちまったからさ」

    「男に金出す気はねえ」

    サイファーがグラスを置いてそっぽを向いた。

    「そのことなら 気にしなくていいぜ」

    そう言ったエクセルは、にいっと笑って話を続けた。

    「マスターから聞いたけど、あんたタダでココ守ってくれてるんだろ?」

    初めて聞いた事実に、そっぽを向いていたサイファーが、なに?とエクセルに向き直った。

    「知らなかったのか?」

    エクセルが小首をかしげた。
    同時に、サイファーの脳裏にシドに対する妙な怒りが沸いてくる。
    自身に入る給与があるわけではないが、タダ働きは気持ちいいものではない。
    真偽を確認するためにマスターを見ると、エクセルに同意するように小さく頷かれてしまった。

    「だから、あんたもタダでいいぜ。助け合いって事で」

    そう言って、エクセルはゼルにそっくりな顔で妖艶に笑った。

    「マスター、もうあがりだろ?サイファー借りてくよ」

    そうしてサイファーが二の句を告ぐ前に、サイファーの腕を掴んで歩き出した。
    一瞬躊躇したサイファーも、タダ働きの憂さ晴らしだと、エクセルの腕を振り払わなかった。



    サイファーが弾んだ息を落ち着かせながらベッドにゴロリと横になる。
    例のホテルで熱を吐き出した二人が、ベッドで体の熱を冷ましていた。
    発言通り、今日はきちんと粗相を回避したエクセルが、うつ伏せになりながら隣で休むサイファーに声を掛ける。

    「なあ、今日はアンタのこと聞かせてくれよ」

    「なんだ」

    サイファーが顔だけをそちらに向ける。
    どうやらエクセルの寝物語につき合ってくれるようだ。

    「その顔の傷、どうしたんだ?」

    「…ムカつく野郎に切られただけだ。ガンブレードでな」

    「ガンブレード!?あんたもガンブレード使うのか?」

    サイファーは、まあな、言って両手を頭の後ろに置くとそのまま天井を見上げた。

    「スゲー!カッケー!!俺映画でしか見たことないんだ!」

    そう言ってエクセルはサイファーの隣ではしゃいでいる。

    「あんた夢はあんの?」

    「もう終わった」

    サイファーは先ほどとは違った真剣な口調で、天井をじっと見つめながらそう言った。

    「どういう意味だ?」

    エクセルがサイファーをのぞき込む。

    「一度叶えたと思った。だが、オレは利用されただけの負け犬だった。今はコレを付けた奴が『魔女の騎士』をやってる」

    そう言ってサイファーは額の傷を指さした。

    「なんかわりぃ」

    エクセルはそのサイファーの様子を見て、話題を変える為か慎重に声を掛けた。

    「『ゼル』とはどういう関係なんだ?」

    「幼なじみの腐れ縁ってやつだな。俺を地獄に追い込んだ張本人でもある。あいつのドジのせいで死にかけたぜ」

    サイファーはそう言うと、ククッと自嘲した。

    「……俺と寝んの辛いか?似てるだろ」

    エクセルが小さな声でそう言って自分の顔を指さす。

    「別にそんなことねえ。あいつのお陰でいい夢見れたしな。それにてめえ結構可愛い顔してるぜ」

    サイファーが最後にエクセルの方を向いてニイッと口の端をあげて笑った。
    それを聞いたエクセルは、びっくりしたように目を見開くと、片手で顔を覆って明後日の方向を向いた。

    「なんだ、真っ赤になっちまって」

    「うるせえ!言われ慣れてないんだよ!」

    そう言ってエクセルは耳まで赤い顔を隠しながらサイファーの肩を拳で叩いた。

    サイファーはそのエクセルの様子に、いつものゼルとのやりとりを思い出して思わずわらった。



    ■■■

    その日、ガーデンのエントランスに設置されたベンチにサイファーの姿があった。
    授業と授業の合間の時間を潰すため、ベンチの背に凭れて、行き交う生徒達をぼーっと眺めている。
    その時、駐車場の方から勢いの良い足音が聞こえてきた。
    サイファーが何事かとそちらを見ると、目下の話題の人物、ゼルがスゴい勢いで廊下を走っていたのだ。
    サイファーはそれをみるや目を細めると、自分の目の前を走り抜けようとしたゼルに声を掛けた。

    「おい!ゼル!!」

    「ん?げっ!あんたかよ!な、何だよ!」

    そう言ってゼルが急ブレーキをかける。

    「俺、今急いでんだよ!パンが売り切れちまう…!」

    そう言って、その場で駆け足をしている。

    「廊下は走るなって何度も言ってんだろうが」

    サイファーはゼルから出てきたしょうもない理由に溜め息をつきながらそう言った。

    「わ、分かってるけどよ!あんたもう風紀委員じゃねえだろ!」

    「俺が風紀委員かどうかは関係ねえだろうが。校則を守れ」

    サイファーはそう言って、目の前のエクセルとは違う雰囲気を纏う男に手招きをした。

    ゼルは何事かと警戒するが、ゆっくりとサイファーに近づいた。
    近くで見たゼルは、先日肌を重ねた男にあまりにもよく似ていて、思わず体が熱くなる。
    だがこの男は違うのだ。
    自分の腕の中で乱れる男とは別人なのだ。
    サイファーはエクセルと錯覚しそうになるのを頭を振って振り払った。
    そうして、他言するなよとゼルに前置きすると、小さな声で話し出した。

    「そんなにパンが食いてなら、食堂で弁当を頼め」

    「弁当?」

    「その時に、運転するから片手で食べれるもんにしてくれと言うんだ。通常はパンの取り置き・予約は不可だが、そうすればパン入りのランチボックスにしてくれる」

    「な、何でそんなこと教えてくれるんだ」

    ゼルがサイファーを不思議そうに覗き込んだ。
    自分に向けられたブルーの瞳には見覚えがある。熱の籠もった、燃えるような瞳だった。
    おまえに瓜二つのエクセルを気に入り始めているから、とは言えなかった。

    「……てめえがこれ以上パン目当てに走らねえ為だこの馬鹿野郎!」

    サイファーは誤魔化すように大きな声を出した。
    だがゼルには大した威力は無かったようだ。

    「あ、ああ、ありがとな!!!あんたいいやつだな!!」

    ゼル顔がぱあっと明るくなった。コロコロと変わるその表情がエクセルと重なる。

    「マジでサンキューな!!」

    ゼルは思わずサイファーに飛びつくのではないかという勢いで感謝の言葉を伝えると、何度もサイファーの方を振り返りつつその場を去っていった。

    「走るんじゃねえー!」

    すぐに走り出そうとしたゼルにそう声を掛けると、不思議と楽しい気持ちになった。




    ーーーーーーーーーーーーー

    拍手押して下さった方ありがとうございます!
    とても嬉しいです!更新頑張っていきます!!




    3月19日にコメント下さった方ありがとうございます!
    お帰りなさいませ~!!再熱の方、お久しぶりの方大歓迎でございます!!
    まだまだ更新していきますので、どうぞごゆっくりお楽しみくださいませ~!
    コメントありがとうございました!

  • ゼル誕生日おめでとう~!1日過ぎちゃった

    ゼル誕生日おめでとう~!1日過ぎちゃったけど今年は言えて良かったです。

    以下小話つづきです。
    ゼルの誕生日にこういう更新は気が引けますが少しでも先に進めて早くサイゼルにしたいので載せます!




    ほとんど人のいない真っ暗な道を音を立てず静かに歩いてゆく。
    少し前を歩くエクセルを見るが、見れば見るほどにゼルに似ている。
    幼なじみとして一緒に育っただけでなく、ガーデン生としてずっと共に生活してきたのだ。そうそう間違えるとは…思えない。
    サイファーは疑心暗鬼のまま少年の後を追った。

    エクセルが向かった先はティンバーの裏路地にある小さなホテルだった。
    彼は躊躇なくそのドアを開けると、入りなよ、とサイファーに声を掛けた。
    警戒しながら中に入って辺りを見回すと、表の雑多な様子に反して中は小綺麗にしてあった。
    入り口近くの壁に掛けてあった案内図を横目で見て頭に叩き込む。
    今でもサイファーを狙う輩は少なからず存在しているのだ。逃走経路は確保しておきたい。
    サイファーがそう考えていると、エクセルがカウンターの女性に声を掛けた。

    「あの部屋借りるよ」

    「いらっしゃいエクセル。どうぞ使って」

    エクセルはそう言いながら受付嬢から鍵を受け取ると、近くの階段を上っていく。
    後に続くサイファーの背中に、ごゆっくりと声が掛けられた。

    部屋に入ると、中はベッドと小さなテーブル、2対のイス、そして必要最小限の物が置いてあった。
    やはりここも狭いながらに小綺麗にされている。
    エクセルはベッドに腰掛けると、座りなよ、とベッドの隣を小さく叩いた。
    サイファーはそれを無視して、窓へと近づくと様子を確かめるために外を覗く。

    「そんなに警戒すんなよ。別に危害なんか加えないよ」

    エクセルはそう言って、足を組んだ。
    サイファーはおかしな所がないことを確認すると、ドアの前まで立ち戻ってようやくエクセルへと向き直った。

    「てめえ何者だ。ゼルじゃないのか…?」

    そう言って再びエクセルを凝視する。

    「ゼルだと思ってくれていいよ」

    そう言って未だ困惑するサイファーを面白そうに見つめている。

    「どういう意味だ」

    「俺、『ゼル』に似てるんだろ?だからみんな『ゼル』を目当てに俺を抱きに来るんだぜ。お客はほとんど元も含めてガーデン生な」

    そう言ってエクセルは足を組み替える。
    体が熱いのか、熱の籠もった吐息が会話の端々に混じっている。

    「……あのチキンを目当てだと?冗談だろ」

    サイファーは信じられないとばかりに眉をしかめた。

    「ん?アンタ、もしかして客じゃなくて派遣されてきたSeeDか?ああ、心配しなくて良いよマスターから聞いてる。俺も森のカモの一員だから」

    「SeeD候補生だ」

    サイファーはため息をはきながら会話の一部を訂正する。

    「ふうん。野郎も結構悪くないんだぜ。なあ、男抱いたことある?」

    エクセルが身を乗り出してサイファーの回答を待つ。

    「ねえよそんなもん」

    「じゃあさ、試してみねえ?」

    「男の抱き方なんて知るか」

    「大丈夫、俺が知ってるから。俺いつもは一晩3000ギルで売ってるんだけどあんたはサービスするよ」

    「なに?」

    「初回はタダでいいよ。だから今夜は俺としようぜ」

    そう言ってエクセルはベッドからゆっくり立ち上がると、羽織っていたトップスを脱ぎながらサイファーへと近づいた。
    そうしてサイファーと立っている位置を入れ替わると、そのままサイファーをベッドへ押し倒した。

    「俺もう我慢の限界」

    エクセルはそう言って、サイファー乗り上がった。

    サイファーは眉の一つも動かさずにそれを見ていた。
    顔にはまだ疑惑の色が張り付いている。
    普段のゼルの雰囲気とはまるで違うが瓜二つのこの男が何者なのかは調べておかねばならない。
    サイファーは静かに頷くと、エクセルの進行を許可した。

    既に目元がとろんとしかけていたエクセルは、すぐさまサイファー下衣を開こうとした。
    だが、サイファーの手がそれを阻む。

    「テメエから脱げ」

    不意打ちを警戒しているのだ。
    それをすぐに悟ったエクセルは素直にそれに従って、サイファーの上に乗ったまま上下の衣服を取り去った。
    サイファーの眼前に若い男の素肌が晒される。

    「鍛えてるな」

    サイファーがそれを観察しながら感想を漏らした。

    「商売柄な。ま、あんたたちはその方が『燃える』だろ?」

    エクセルはゼルと同じ顔で、意味ありげにそう笑った。

    「古傷が多いようだが?」

    どうしてだ?というニュアンスを込めてサイファーが問いかける。

    「そういうのが趣味の客もいるってこと」

    エクセルは勲章を誇るようにそう答えた。
    そうして何も隠し持っていないことを証明すると、今度こそサイファーの下肢へと顔を寄せた。
    チャックを開くと、サイファーの性器を取り出す。
    手にしたモノを見て、エクセルはごくりと唾を飲み込んだ。
    躊躇をするようにサイファーの顔と性器を
    何度か見比べると、覚悟を決めたようにそれを口に含んだ。
    熱い舌が性器を舐め回す。
    拙さの残るその動きと、ゼルに似たその顔が自身を咥えて興奮するその表情にサイファーは思いの外煽られる。
    性器の先を吸うようにされて、サイファーはおもわず声を漏らした。
    それに一瞬驚いたように反応しつつ、エクセルの下腹もしっかり固くなっていった。

    「なあ、入れて良いか?オレもうたまんねえ」

    エクセルが甘えるようにサイファーに声を掛けた。
    息も上がっていて口元が唾液で光っているのがいやらしい。
    エクセルはサイファーが否定しないのを肯定とみて、再びサイファーに跨がるように上に乗り上げると、すっかり固くなったソコを自分の後孔へゆっくり押し当てた。
    何度も息を吐きながら、慎重に内部へ納めていく。

    「おい、大丈夫か?」

    エクセルが注意深く挿入している様子に、思わずサイファーが声を掛けた。

    「あんたのデカくて、入れんの大変なんだよ」

    そう言って、最後の少しを息を吐きながら挿入しきった。
    少し怒ったような表情が、サイファーにまたゼルを思い起こさせる。

    いくらか呼吸を整えて、そうしてエクセルが腰を振り始めた。

    「あっ!…っあ!」

    吐息混じりの声が室内に響く。

    「イくときあんたの名前呼んでも良いか?」

    嬌声の合間に、エクセルがサイファーに声を掛けた。

    「勝手にしろ」

    「あんた名前は?」

    「サイファーだ」

    エクセルは塗れた目を細めて笑うと、自身の欲に任せて激しく腰を使い始めた。

    「ああ、サイファーっ!いいっ!」

    自分を呼ぶ名前のイントネーションまでゼルにそっくりで、サイファーは興奮にギリリと奥歯を噛みしめた。
    自分の上で乱れる男が、ゼルと重なっておかしな気分になる。

    「こんなイイのかよっ…!おかしくなるっ!」

    エクセルがはあはあと息を乱しながら、夢中になって腰を揺らしている。

    「ごめ…先イく!」

    背をしならせて、絶頂に駆け上った。
    エクセルはサイファーにかけるのはまずいと最後の理性で近くのシーツを引っ張って、性器へと押し当てた。
    そのすぐ後に、張りつめた性器が弾ける。
    サイファーの名前を呼ぶ甘い声が部屋に響いた。

    「てめえ客より先にイくのか」

    吐精後の荒い息を整えるエクセルに、サイファーが苦言を漏らした。

    「すげえよくて…わるい」

    エクセルはばつが悪そうに下を向くと、次の瞬間には、もう余裕あるから、と顔を上げて笑った。
    サイファーはその覚えのある表情にドキリとする。

    「おまえどこの出身だ」

    今度はゆるゆると動き始めたエクセルに、サイファーは探りを入れる。

    「ティンバー。…だけどオレ孤児でさ、ほんとは分かんねえんだ」

    エクセルが苦笑いをしながらそう答えた。

    「年は」

    「17か18」

    そう言って、見えねえだろうけど。と拗ねたように付け加えた。

    もしかしたら、という予想がサイファーの脳裏によぎった。
    ゼルにセントラに来る前に生き分かれた、兄弟がいたとしたら。
    自分も石の家に住み始めた初期の頃は覚えていないくらいなのだ。
    ない、とは言い切れない。
    それならば酷似しているのも納得できる。
    サイファーは今日の所はそう結論付けた。


    そうと決まれば、この中途半端な状態はおしまいだ。
    そうして自分も終焉に向かうため、腰を揺らし出した。


    ■■■

    翌日、サイファーはあくびをかみ殺しながらガーデンの2F教室へと向かっていた。
    今日は朝から学生とSeeDの合同講義があるのだ。
    エレベーターのボタンを押して、3Fからカゴが到着するのを待つ。
    扉が開いたエレベーターの中に乗り込もうと一歩を踏み出して思わず硬直する。
    そこにはゼルが乗っていたのだ。

    「げっ」

    ゼルからおもわずといった声が漏れた。
    だがサイファーはその声に反応するのも忘れて、まじまじとゼルを見てしまう。
    昨日見た男と、やはりよく似ていた。
    タトゥー以外はそっくりだ。
    ゼルの顔とエクセルの顔がダブって見えた。
    甘くサイファーを呼ぶ声も、イくときの顔も、まさにこの男のものだ。

    「な、何見てんだよ。乗んのか?」

    サイファーはゼルの一言で正気に戻ると、ごまかすために咳払いをして中に乗り込んだ。


    教室での合同講義の最中も、サイファーは自分の斜め前に着席したゼルを注視していた。
    うなじのラインも、肩幅も、髪質もエクセルと同じように…見える。
    眉間に皺を寄せて自分をガン見するサイファーに、ゼルは落ち着かない気持ちでその時間を過ごした。


    「何なんだよ!俺になんか文句あんのか?」

    講義が終了するやいないや、ゼルはサイファーに食ってかかった。

    「お前昨日どこで何してた?」

    だがサイファーはその言葉を受け流して一番聞きたかった事を問いかけた。

    「はぁ?任務だったぜ。バラムでな」

    「嘘じゃねえだろうな?ティンバーに行ってないか?」

    「だから行ってないって」

    「おまえ兄弟はいるか?」

    「いや、いねーよ!知ってんだろ!何なんだよほんと」

    「ほんとにティンバーに行ってねえんだな?」

    ゼルが様子のおかしいサイファーに困惑したような表情を見せた。

    「本当よ。だってずっと私と一緒だったもの」

    その時、すぐ近くでキスティスの声が割って入った。
    FCの生徒をやんわり避けながら、こちらへ歩いてくる。

    「炎の洞窟の安全点検に行ってたの。ほら、SeeD試験が近いでしょ?」

    そう言ってゼルの側に立って腕を組んだ。

    「それがどうかしたの?」

    喧嘩は勘弁してとキスティスがため息をつく。

    「いや、それならいい。なんでもねえ」

    サイファーは別人であることを確認すると、素直にその場から歩き出した。
    後に残されたキスティスとゼルは、お互いに顔を見合わせた。


    つづく




    こんな感じで続いていきます。ゼルとサイファーとエクセルの3人をめぐるお話になります。
    一晩3000Gは他ゲームのゼノギのビリーから。でも3000Gって8だとバラム~ティンバー間の電車の値段だけど高いんでしょうかね…。




    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    拍手ありがとうございます!
    小話心配だったので安心しました!
    がんばります~!!
  • こんにちは!

    こんにちは!
    FF7Rの発売が迫ってきましたね…!私はまだしばらくは出来なそうなんですが、7が完結すればその次は8の可能性が…!ということで大変期待しております。
    前にスク工ニの野島氏?(すいませんうろ覚えです)のインタビューで、会社の若い子達に8のリメイク作って欲しい的なの読んだことあるんで、企画というか、リメイクという考えはあるんだろうなと思います。
    とにもかくにも、まずは7R楽しみです!!



    以下新しい小話です。
    注意:名前付きのオリキャラががっつり出てきます。そしてオリキャラとサイファーのR18絡みがかなりあります。むしろそこメインです…。
    ただ必ず最後はサイゼルになります!これはサイゼルの話です!(大事)
    ので、ちょっとトライしてみるよという方はR18の所まで今回は入れていませんので、どうぞお試しくださいませ~!




    「君に任務を与えます」

    シドの声が静かな学園長室に響いた。
    部屋には、休めの体制のまま話を聞くサイファーの姿があった。
    呼び出されたときに他の学生の姿がないのを目にして、これが何か特別な指令であることをサイファーはすぐに察した。

    「君が復学してはや半年。私はそろそろSeeD試験に臨んでも良い頃だと考えています」

    シドはそういってサイファーの前まで歩いてくる。
    サイファーはSeeDという言葉にピクリと反応を示した。

    「しかし、あなたが更生した事を信じない人たちも居ます。また何かを起こすのではないかと疑っているのです」

    そう言葉を切ってため息をつくと、有無をいわさぬ強い口調で話を続けた。

    「通常はSeeD候補生に任務は与えません。しかし、君には信用が必要です。SeeD試験を受けるための予備試験として、ティンバーで護衛の任務を受けてもらいます」

    サイファーもシドに聞こえぬよう小さくため息を吐いた。
    恩赦の代わりにSeeDとなることを約束させられているだけに、断ることはできないからだ。

    「あなたを庇うラグナ大統領の信用を落としてはなりません。エスタ、ガルバディア共に一枚岩ではないのですから。わかりますね。詳細はシュウから伝えてもらいます。君の武運を祈ります」

    シドの敬礼を受けて、サイファーも同じように敬礼を返す。
    シドの不安そうな顔に不思議な予感が沸き上がるが、それを振り切って学園長室から踵を返した。


    ■■■


    ティンバーの片隅にある店の前で、サイファーは足を止めてその看板を見上げた。
    『パブ・アフローラ』
    そこには派手な文字でそう書いてあった。
    目的の店はここで間違いないだろう。

    『SeeD試験の日まで毎週末、店の護衛をすること』

    シュウは指導官の口調でそう言った。
    シュウによると、ここはティンバーのレジスタンス組織・森のカモの拠点なのだそうだ。
    ビンサー・デリングが死に魔女の支配を逃れてから、ガルバディアの政治は混乱し、既存の勢力と新規勢力が内部でぶつかる事態となった。
    その隙に乗じようと、レジスタンス活動は活気をとりもどしていた。
    ここもその一つで、ガルバディア軍から目を付けられているらしい。

    観音開きの入り口から入ると、すぐにマスターからいらっしゃいと声がかけられた。
    厳しい顔をしたマスターが、グラスを拭きながらこちらを伺っている。
    あれが森のカモの首領か。
    サイファーは所々をダウンライトが照らす暗い室内をゆっくり見回すフリをしながら、カウンターに腰掛けた。

    「ティンバーの森が戻るのももうすぐだな」

    事前に伝えられていた合言葉を、注文を取るために目の前に現れたマスターに伝える。

    「…いらっしゃい」

    目を細めたマスターから、改めて歓迎の言葉を受けた。

    まだ日も高いことから他に客が居ない店内に、マスターとサイファーのやりとりが静かに響く。

    「シドさんが引き受けてくれて助かったよ。最近ガルバディア軍の摘発が厳しくてね。特に週末は店で暴れる輩までいるんだよ」

    そう言って、改めてサイファーを見る。

    「君、名前は?」

    「サイファーだ」

    「そうか。短い間だと聞いてるが、よろしく頼むよ。私のことはマスターでいい。君は客のフリをして店にいてくれればいいから。奴らが暴れ出したら頼んだよ」

    マスターはそう言って、怖い顔を緩ませて笑った。

    その他いくらか打ち合わせをしたところで、日も暮れて本格的な営業の時間が始まった。
    サイファーは手筈どうり、店の一番隅のテーブル席へ腰掛けて、客の動向を観察する。
    ずいぶんと繁盛する店なのか、バーテンダーがひっきりなしに行き来していて、威勢のいい男たちが酒をあおっている。
    中には酔いつぶれかけている者までいる。
    やっかいな任務を充てられてしまったと、サイファーはうんざりしながら酔っぱらいを見ていた。
    その時、入り口を蹴破る勢いで入店する数人の男たちが現れた。
    意識を仕事モードに戻して、鋭い視線で男たちの様子を伺う。
    彼らは横柄な態度で席について、ウエイトレスにキツい口調で話しかけている。
    だが何が気に障ったのか、急にウエイトレスを突き飛ばして大声をあげ始めた。

    「ガルバディア軍兵士を舐めるなよ!」

    男達はそう言って、倒れ込んだウエイトレスに近づいていく。
    どうやらプライベートで飲みに来た駐留兵のようだ。
    サイファーがマスターへと視線を走らせると、マスターがこちらを見ながらそっと頷いた。

    「お客さん、困りますよ!」

    そうして、マスターがガルバディア兵達に駆け寄って止めに入った。
    だがガルバディア兵は、そのマスターをも突き飛ばして、更に殴ろうと拳を突き上げた。

    「おい、いい加減にしろよ。いい気分で飲んでたのによ」

    サイファーが、客を装ってそれを止めに入る。
    それに気付いた男達がサイファーをキツく睨みつけた。

    「なんだてめえ。やんのか?」

    そう言って、表へ出ろ!とサイファーへ怒鳴りつける。
    サイファーは計画通りだなとニヤリと笑うと、白いコートを翻しながら男達と共に店から出ていった。

    そうしてしばらくの後、何食わぬ顔で店へ戻ってきたサイファーに、マスターが駆け寄ってくる。

    「大丈夫だったか!?」

    「手筈通りだ。あんな雑魚、本気を出すまでもない」

    サイファーは両手を開きながら、怪我はないとアピールしてみせた。
    それは、正SeeD以上の戦闘力があるサイファーからすれば簡単な戦闘だった。
    実力を垣間見たマスターはほっと胸をなで下ろすと、この調子で頼むよとサイファーの肩を叩いた。

    0時をすっかりまわり、結局この日は、件のガルバディア兵を追い払っただけで店の閉店時間を迎えてしまった。
    サイファーは席から立ち上がると、マスターに指示を仰ぐ。

    「今日は助かったよ。もうあがって構わないからね。来週もまた頼むよ」

    サイファーを見たマスターは、カウンター内から片手を上げてそう挨拶した。

    サイファーはそれに肩をすくめて答えると、用意されたホテルへ帰ろうと足を踏み出した。

    その時、キィーっとドアの開く音がした。
    聞き慣れない音にそちらを見ると、暗い店の裏口から誰かが入ってくるのが見えた。

    「マスター、おはよ」

    そう言って裏口に立っていたのは。

    「ゼル…!」

    サイファーは居るはずのない人物を見つけて、驚きのあまりぽろりとその名前をこぼした。
    予想外の出来事に固まったように動けない。
    ゼルも自分と同じ任務を充てられたのだろうかと一瞬頭をよぎったが、こちらに気付いたゼルが放った一言でその考えは消え去った。

    「ん?アンタ、ガーデンの人間か?」

    そう言って入ってきたドアに背を預けて寄りかかる。
    そうして、甘い声でサイファーに問いかけた。

    「アンタも『ゼル』が目当てなのか?」

    そう言って目を細めて、そっと唇を舐めた。
    その官能的な顔に、ゼルらしさはまるでなかった。
    だが、こちらを見たことで丁度ライトに照らされた少年の様子を観察することができた。
    見た目はゼルそっくりで、背格好までよく似ている。
    ちょっとつり上がった目尻も、青い瞳も、話す度に口の端から覗く犬歯もゼルそのものだ。
    普段は立ち上げている金髪は下ろされていて、ショートヘアがその顔立ちをいつもより幼く見せている。
    だがよく見ると、トレードマークの頬のタトゥーが見あたらない。頬が少し紅潮しているが、それだけだ。
    ゼル…ではないのか?
    可とも不可とも判断できず、サイファーは眉間の皺を深くした。

    「エクセル、知り合いか?」

    その時、マスターが少年に声をかけた。
    エクセルだと?やはりゼルではないのか?
    サイファーは理解できずその場に立ったまま様子を伺う。

    「いや、お客だ。だろ?」

    エクセルと呼ばれた少年は、サイファーに
    視線を投げると、ニヤリと笑ってみせた。
    こちらの困惑を察したであろう少年が、もたれたドアから離れてサイファーの方へと歩いてきた。

    「俺のことが気になる?じゃあ、ついて来いよ」

    そう言って、店の入り口へ向かうと、サイファーに一瞬視線をやって、そのまま外へと出て行った。
    サイファーは真偽を確かめるべく、エクセルの後に続いた。



    つづく




    次回からR18になります。
    上にも書きましたが、エクセルとサイファーの情事となります。
    このお話は2回読んで面白いようにしようと思って書いておりまして、1回目と2回目で見方が変わるお話になります。そのためプロットに時間がかかりました…。
    長編の予定です。
    いけそう!という方は、どうぞおつきあいくださいませ!


    ーーーーーーーーーーーーーーー

    拍手押して下さった方ありがとうございます!
    とても嬉しいです!更新がんばります~!





    3月9日にコメント下さった方ありがとうございます!
    キスティス先生は私も普段はなかなか書かないのですが、可愛らしくて素敵ですよね!
    皮肉屋のサイファーとキスティスを戦わせると会話が面白くて舌戦いいなあとしみじみ思いました。
    本文に入れませんでしたが、サイファーは無自覚のゼルに「スコールってあのCC団を倒したんだってよ!すげえよなぁ~!くーー!」とか言われてメラメラ燃えたという設定です。かわいい奴ですよね!
    普段は気を張ってるけど、キスティス相手で緊張がほぐれてる感じも受け取っていただけてとっても嬉しいです…!
    また色々書く予定ですので読みに来てやってくださいませ!
    コメントありがとうございました~!


  • 小話続きです!

    「半年くらい前、学園祭でバンドやっただろ」

    「ああ、セルフィ主催のやつね」

    そう言って、カードを置く。レベルの高いカードだから、まだ私が優勢ね。
    今年は私、丁度任務が入ってて参加できなかったのよね。だから話にしか聞いたこと無かったのだけれど。

    「昨年のことは知らねえが、今年はよりパワーアップするとかなんとかでダンスを入れるとか言い出しやがってよ」

    さすがセルフィね。復帰したてのサイファーを巻き込めるのは凄いわ。きっと畏怖の対象だったサイファーを生徒達に馴染ませたかったのね。

    「で、俺とコイツがダンス担当になった」

    そう言って、サイファーはカードを置いた。

    「女のアンタにこんなこと言うのはなんだが…汗だくになって息を乱してるコイツはなかなかグッとくるもんがあってな」

    「なるほど、欲情した、ってことね」

    サイファーは肩をすくめるとそのまま話を続けた。

    「まあその時からだな意識しだしたのは。
    そっからは一緒に出かけたり、戦闘訓練したり、カードしたり…色々だ」

    「ゼルもあなたのことを好きだったって事よね?」

    「いや、あの野郎俺がモーション掛けてんのに全然気づきやしねえ」

    そう言って困ったように笑うサイファーは盤面からすっかり顔を上げていて、カードは後回しになっているようだ。意外と饒舌なのよね、彼。スコールとは正反対。

    「でも一緒に遊ぶって事は嫌いな訳じゃないのよね?」

    「親友だと思ってやがったぜ。信じられるか?『普段から悪い印象を持たれてた奴がこれまでの人物像を崩すような良い事をすると人に強く良い印象を与えちまう』…ゲイン効果ってやつだな」

    ゼルだったらあるかもしれないわね。最初は大嫌いだったアーヴァインの事、今では凄く大事に思ってるみたいだし。
    私はサイファーに同意の笑みを送ると、気になっていたもう一つのことを聞いてみた。
     
    「ねえ、何て口説いたの?」

    「なにぃ?」

    サイファーが眉根を寄せて困惑するのが見えた。

    「だって、『親友』と遊んでるだけじゃこうはならないでしょ?」

    そう言って、横のベッドでぐっすりと眠るゼルを見る。

    「別にそのまま言っただけだぜ」

    「そのままって?」

    「抱きたい。お前を抱きたい、ってよ」

    サイファーは真っ直ぐこちらを見てそう言ってのけた。
    その声色は当時を思い出しているからか、どこか熱がこもっていて、思わずドキリとしてしまう。

    「あなたって…意外とロマンチストよね。それで、ゼルは何て答えたの?」

    「ククク…なんて答えたと思う?」

    サイファーは、何かを思い出したかのように小さく笑いながら身を乗り出した。

    「さあ、分からないわ。いいぜ、とかかしら」

    「受けて立つぜ!だってよ」

    サイファーはゼルの口調を真似しながらそう言った。
    さっきまでのロマンチックな気持ちがどこかへ吹き飛んでいく。

    「ムードの欠片もないわね…決闘か何かと勘違いしてるのかしら」

    私の素っ気ない言い方が面白かったのか、それとも同じ事を思ったのか。
    サイファーは声を上げて笑った。

    「ノロケちゃって、妬けるわね。あーあ、私にも良い人いないかしら」

    「そういやあんたはその手の話聞かねえな」

    「『問題児』の相手で手一杯で、そんな暇なかったもの」

    「そりゃあ悪かったな」

    サイファーがそう言いながらカードを出してくる。悪いって思ってないでしょ、もう。

    「あんたこそ、どうやってセンセイに復帰したんだ?」

    こちらをチラリと見てそう言うと、ボードに目を落とした。

    「FCの子達が嘆願書を書いてくれたの。沢山の子が署名してくれて、本当に助かったわ」

    私はそう言うと、切り札のギルガメッシュのカードを置いて、サイファーの置いたカードをひっくり返す。
    サイファーはそうか、とだけ言って、ボードに集中している。手筋を読んでいるようだ。最近始めたばかりなのに凄く強いのは、きっと読みが上手いのね、彼。
    そういえば。

    「ねえ、急にカードをやりだしたのはどうして?凄い勢いでCC団を倒してたでしょ?」

    「さてな」

    サイファーはそっけなくそう返事をした。
    先ほどとは打って変わって、話に乗ってこない。
    触られたくない話題ってところかしら。

    「そういえば、最近ゼルもカードやってるわよね。……なるほど、スコールに張り合いたいわけね」

    「なにっ?何でそんな事が分かる。スコールは関係ねえ」

    サイファーは一瞬痛いところを突かれたという顔をして舌打ちをすると、そうしてそれを誤魔化すようにボードに向かって、そして慌ててカードを置いた。

    「ウフフ…私、元はアナタの担任よ。それにスコール研究家だもの。分かるわ」

    好きな子に良いとこ見せたい気持ちってあるわよね。相手がゼルの敬愛するスコールなら尚更ね。
    でも焦って置く場所を間違えたみたいね。そんなところに置いたら、ひっくり返されちゃうわよ?
    彼の心に付け込むみたいで悪いけど、私も負けられないの。ごめんなさいね。
    私は心の中で謝りながら、サイファーの置いたカードをひっくり返した。
    そうして満足してゆっくりと顔を上げてサイファーを見ると、なぜかニヤリと笑っている。
    やだ、なんなの。

    サイファーが、勿体ぶったようにカードを置いた。

    急いで盤面を見ると、サイファーの置いたカードはエレメンタルによって強固なカードへと変化していた。
    そうしてまわりの私のカードが次々にひっくり返される。
    そうして、私が最後に置くことのできる位置の周りには、私が今まで置いてきた高レベルのカードがサイファーの手駒として鎮座していた。

    詰み…ね。
    あーあ、引っかかっちゃった。
    私の負けね。

    最後のカードを置くと、私は負けを宣言した。



    部屋を出ようとドアを開いた私は、大切なことを思い出してサイファーを振り返った。

    「ああ、そうだ。カードキングのことは秘密にしてもらえないかしら」

    私の前の代からずっと、キングの存在は秘密にされてきた。
    キングに挑めるのは、特別に強いプレイヤーだけなのだ。
    この信念の強い男は、約束したならばその道は違えないはずだ。

    「いいだろう。その代わりあんたも俺達のことは秘密にしろ」

    サイファーはベッドに腰掛けながら、まだ眠りについているゼルを一瞥してそう言った。

    もちろん、彼らの秘密を口外するつもりはない。
    お互い頷きあって、私たちの密約は成された。
    私は負けて悔しいはずなのに、なんだか楽しい気持ちになってそのまま部屋を後にした。

    おわり





    サイファーとゼルだと、多分サイファーの方が色々上手(うわて)だと思うんですが、サイファーとキスティスだと、キスティスの方が上手のような気がします。劇中の『サイファー、がんばってね』の件とか大好きです。
    というわけでサイファーを舌戦でやりこめられるのは先生だけ!と思いまして恋バナさせてみました。
    この2人は、お互いの能力が高くて近いのですごくいい相棒になれそうな感じがします。
    今回はサイファーの口から、自分たちの馴れ初めを言わせるというパターンにチャレンジしてみました。
    会話が多くて凄く楽しかったです。
    次回からはまた長編にするつもりなので、良い息抜きになりました。


    ーーーーーーーーーーーーー

    拍手押して下さった方、ありがとうございます!
    おかげ様で楽しく更新できております!
    また押していただけるよう頑張ります!
  • サイファーという男

    こんにちは!
    サイファーについて色々考えてるんですが、なかなか掴みきれず難しいです。
    試験の後拍手をした事や、風神雷神に慕われてるところ、低学年の子のためにひらがなで注意書きする所、リノアを助けようと奮闘する所なんかは良い人ですよね。でも、結構簡単にガーデンにミサイル落とすし、スコールにも卑怯な手で戦ったり、リノアを差し出す所なんかはやな奴ですよね。
    サイファーの良いことをする所と、悪い事をするところの境界線がいまいち分からないんですよね。
    夢のためなら、悪いことしても構わないタイプ?追い詰められると悪いことやってしまうタイプ?
    その辺り(価値観)がよく分からなくて、サイファー視点で書くときにどうして良いかいつも迷ってしまいます。
    早く掴みきりたいです…!


    さて以下小話です!
    今回はちょっと違った感じのサイゼルにしてみました。ゼルがちょっとしか出てきません&イチャイチャシーンはありませんが、それでもOKの方はどうぞご覧ください!



    夜の静まりかえったガーデンに、密やかにヒールの足音が響く。
    消灯された廊下を、誰にも見られないよう、早足で歩く。
    髪も結い直したし、装備のチェックもした。
    戦いの準備はできている。
    目的の扉の前へたどり着くと、脇のプレートに目を遣る。
    『サイファー・アルマシー』と記載があった。
    間違いなく彼の寮部屋がここであることを確かめると、事務室から借りたマスターキーをカードリーダーへ差し込んだ。
    滑り込むように室内に進入すると、暗い室内を静かに進む。
    目的の男は、ベッドで眠っているようだ。
    盛り上がった布団からサイファーの金髪が除いている。
    ひっそりと笑みを浮かべると、その男へ近づいて布団をめくった。

    「よく四天王を倒したわ……ちょっとやだ、ゼル?!サイファー!?」

    「あ…?センセイ…?」

    私、キスティス・トゥリープは驚いて大きな声を上げてしまった。
    何も身につけていないサイファーとゼルがベッドの中で一緒に眠っていたのだ。
    慌てて後ろを向いて心を落ち着かせる。
    その声に、眠りから覚めたサイファーがむくりと起き出した。

    「なんでアンタがここにいるんだ?」

    「いいから、下を履いて頂戴!」

    そう声に出すのがやっとだった。


    サイファーが衣服を着たとこで、改めて目的の相手に向き直った。

    「これはどういうことなの?」

    「そりゃこっちの台詞だ」

    それはその通りだと納得すると、降参とばかりに小さく両手を上げて話を続けた。

    「私はカードゲームをしに来たのよ」

    「カードだと?まさか…」

    「そう、CC団首領 カードマスターキング
    その正体は私、キスティス・トゥリープ」

    そう高らかに宣言すると、サイファーは驚いたように目を開いた。

    「なんだけど、ごめんなさい出直すわ」

    そう言って、深くため息をはいた。
    どう見ても自分はこの場に相応しくない。
    だって、この状況って…そういうことでしょ?
    よく見たら辺りに2人の急いで脱いだであろう服が散乱してるし…。
    でもサイファーから出た言葉は意外なものだった。

    「いや、気にすんな。やろうぜ」

    今度は私が驚いたけど、やっぱりちょっと居心地は悪いわ。
    だってまだベッドで眠るゼルが、もし起きて来ちゃったら、またひと騒動になっちゃうし。
    彼の方をちらりと見ながら微妙な顔をしたことで、サイファーは意味を悟ったのか、
    「こいつはこうなったら何やっても起きねえから心配すんな」と言ってテーブルと椅子を用意しだす。

    「逃げんのか?センセイ。いや、キングさんよ」

    そう言って、いつものように椅子に浅く腰掛けて、私が座るのを待っている。
    そこまで言われてはキングの名が廃るわ。

    「そう…。分かったわ、じゃあ勝負よ!」

    そう言って、眠るゼルを傍目に私たちの戦いが始まった。


    ■■■

    「それにしても、全然気付かなかったわ」

    私が置いたカードを見て一手目を考慮するサイファーに、ため息混じりに言葉をこぼす。
    サイファーは片眉を上げただけで、特に反応はしなかった。
    この男とゼルがまさかそんな関係にあったなんて。水と油のようだと思っていたのに。
    私の中で、持ち前の探求心が疼き出す。分からない事って、そのままにするの気持ち悪いわよね?

    「ねえ、いつゼルとつきあったの?」

    できるだけ明るくそう聞いてみる。
    2人のことを否定するつもりはないのだ。

    「何でそんな事話さなきゃなんねえんだ」

    サイファーはこちらを見ずにそう言って、カードを場に出した。

    「消灯を過ぎて自室外にいるのは校則違反って知ってるわよね元風紀委員さん?報告されたいの?」

    今度は教師の声でそう言うと、ゆらりと顔を上げたサイファーが恨めしそうに口を開く。

    「……恐ろしい女だなてめえはよ」

    そう言って椅子の背にガタリと背中を預けた。


    つづく


    最近キスティス書いてないな~と思いまして登場させました。
    当時CC団のカードイベントをプレイしたとき、男の人の部屋に夜登場するキスティスを見て、色んな意味で事故が起こりそうだ…と思ったので、そんな感じのネタにしてみました!
    今回のテーマはキスティスでサイファーをイジろう!です。

    次回で完結の予定です。




    ーーーーーーーーーーーーーーー

    拍手を押して下さった方ありがとうございます!
    また新しいお話始めましたので、どうぞお楽しみ下さいませ~!





    どみ様コメントありがとうございます!

    お気に召していただいたようでとても嬉しいです!書いてる私は楽しいのですが、読んで下さってる方はどうなんだろうといつも思っているので、ドキドキして貰えていて嬉しいです!
    言い合いのシーン私も気に入っています!
    今回のゼルならああいう反応の仕方もいいかなと!サイファーにツッコミ入れるみたいな感じで面白いかなと思います。
    こちらこそ、いつも素敵な作品をありがとうございます!
    私も読むのをとっても楽しみにしています!!
    時間見つけてまだまだ色々書こうと思いますので、また遊びに来てやって下さいませ~!
    ご感想頂きありがとうございました!

  • 全FF大投票面白かったです!

    こんにちは!
    早速ですが昨日放送していたNHKのFF投票凄かったですね~!
    8は作品は7位で結構健闘してるぞ!と見てました。賛否両論のある作品ですが、なかなか頑張ったんじゃないでしょうか!

    スコールが14位は意外でした。もう少し上かと思ってましたが残念!でもFF全キャラとなると凄い数なんで(ナンバリングの主人公だけでも15人もいますしね)15位以内はなかなか良かったと思います!
    にしても70位アーヴァインも意外でした。セルフィの方が上かと思ってました。意外と男気あっていいですよねアーヴァイン!

    サイファー82位とゼル79位は事前にHPで順位が公表されてましたので知っていましたが、ランクの近さ凄いですよね!!!
    あんだけ人数いるなかでこの近さは凄い!
    で、間がノエル(81位)か…。
    ノエルってクリスマスって意味ですよね…?
    クリスマスで結ばれるサイゼル…?
    多分12月22日になんかあって、数日ごちゃごちゃあって、結果クリスマスに結ばれたんですね。なるほどそういうことか。
    なら仕方ない。ノエルありがとう!(唐突な感謝)

    さて、以下小話続きです。





    サイファーが、まだ着たままだった俺の上着を取り払った。
    自分の衣服ももどかしそうに取り払って、そうして俺をベッドへと押し倒した。
    熱を持った指が俺の肌を辿る。
    ぞくぞくして、ついその先を期待してしまう。
    サイファーの指は何度も俺の敏感なところを弾いて、様子を伺っているようだ。
    そこに触れられる度に、体に淡い快感を感じて息がこぼれる。
    それに気を良くしたサイファーは、俺の乳首をベろりと舐め上げた。
    震えのくるような快感が体に走る。
    舌を尖らせて執拗に責められると、思わず吐息に声が混じってしまう。
    そうして、下半身にもぐっと血液が集まってくる。
    サイファーは俺の張り詰める下肢を一瞥するが、それでも舌の責めを辞めはしなかった。
    何度も強弱をつけて舐められ、そうして強く吸い上げられる。

    「…っ…くぅっ…!」

    どんどん体が高まって、息が荒くなる。
    俺は正直もう下に刺激が欲しくて仕方がなくなっていて、我慢できなくなった右手が竿をにぎろうとしてしまう。

    サイファーも分かっているのか、時々ちらちらと俺の下肢を眺めている。
    だが、触れてこない。
    そのもどかしさに、俺はついに自分で自身を扱きだした。
    サイファーの舌に合わせて、右手をスライドさせる。
    触れてる部分があまりに気持ちよくて、手が止められない。

    「あぁ…あっ…ぁっ…!」

    夢中になって刺激を与えて、自身を慰める。
    ギュウと目を瞑って、下肢に集まる快感に耐える。
    近くにサイファーの呼気を感じるから、俺が感じてんのを見ているんだろうか。
    そう思っていたら、急に先端に熱くて固いものが押し当てられて、ぬるりと撫でられた。
    そのあまりの気持ちよさに、俺の下肢は限界を迎えて、早々に吐き出してしまった。

    「…っ!」

    馴染んだ快感が、何度も下腹に響いて、そうしてしぼんでいく。
    俺は荒くなった息を整えながら、激しく動かしていた右手を自身からゆっくり離した。
    瞑っていた目を開けると、サイファーは俺の下半身に身を寄せ、右手を俺の下肢へと延ばしてていた。
    先ほど感じた快感の原因はこれかと納得する。
    敏感になっていた先端をサイファーの掌で擦られたのだ。
    だが、そこをよく見るとサイファーの右手にべったりと俺の出したものが付いていて俺は焦った。

    「わ、わりぃ!出ちまって」

    そう言って急いで体を起こそうとするが、サイファーの左手がそれを遮った。

    「ああ、出たな」

    そう言って、俺の出したものをしげしげと眺めている。(マジかよ!)

    「そ、そんなもん見んなよ!」

    俺は恥ずかしくなって、そう言って辞めさせようとするが、サイファーが「野郎の出したモン触って興奮するってのは驚いた。俺は相当お前にやられてるみたいだな」なんて言うから余計に恥ずかしくなってしまった。
    その時、何かが足に当たることに気付いてそちらを見ると、サイファーのそれがばっちり立ち上がっているのを目にしてしまう。(本当に興奮してるのかよ!)
    そこに釘付けになったまま動けないでいると、サイファーにぐいと両足を引っ張られた。
    そのまま俺の両足を担ぎ上げるあいつを見て、ごくりとつばを飲み込んだ。
    いつもより瞳の色が濃くなっていて、呼吸も速い。俺に興奮してるのかと思ったら、俺もまたじわりと下肢に熱が集まってきてしまった。
    サイファーは俺の出したものを付けたまま、自身を握って扱きだした。
    粘着音を出すそこがいやらしくて、今度は直視できない。思わず目を伏せた。
    俺を見ていたサイファーが「エロい顔だな」と呟いた。
    どの辺がエロいのか自分だとよく分かんねえけど、最中に言われんのはすげえ恥ずかしい。
    そう言ったら、サイファーは喉の奥で小さく嗤うと、先ほどまであいつを含んでいた俺のそこに自身をあてがった。
    ぐっと力を入れられて、それが入ってくる。
    先ほどまでの行為で馴染んでいたそこは、さして抵抗もなくそれを受け入れた。
    サイファーの体が、熱い。
    そうして体をぐっと近づけてくる。

    「動いて良いか」

    俺の真上でサイファーの声が小さく響いた

    まさか確認を取られるとは思わなかった。
    最近の横暴なサイファーとは違う行為に、俺の心にジンとしたものがこみ上げる。
    俺は小さく頷いて、次にくる衝撃と快感に備えてそっとシーツを握った。
    だがそれを見ていたサイファーが、俺の腕を掴む。
    そうして強引に自分の背中にまわさせると、「この方がいいだろ」と体を寄せたせいで近くなった俺の耳に吹き込んだ。
    ああ、畜生。広くて厚い、俺もこんな背中欲しかったぜ。
    心の中でひとりごちると、サイファーの律動が始まった。
    サイファーが動く度に、下腹にじんじんと快感が広がる。
    俺の様子を見ては、何度も角度を変えて責めてくる。
    心も体も満たされるって、こういう事をいうんだろうな。
    気持ちが良くて、自然と口から声が漏れた。

    「あぁ…あ…!あ!…ぁん!」

    サイファーのリズムに翻弄される。
    絶頂に向かう快感が襲ってきて、俺はサイファーにしがみつきながらぎゅっと目を閉じた。
    打ち込まれる度に、階段を駆け上がっていく。
    その時、俺の口に暖かいものが押し当てられた。
    そうして、ぬるりとしたものが進入してくる。
    何をされたのかと目を開けると、目を閉じたサイファーが俺の目の前にいた。
    ああ、キスされたのか、と溶けそうになる意識の中でそう思った。
    初めてだったけど、俺も夢中でそれに応えた。
    好きな奴とキスするのってこんなに気持ちがいいのかと朧気に思った。
    何度も角度を変えて口を合わせて、俺はそれにすげえ感じちまって、その度に腰がびくびくと痙攣した。
    そうしてサイファーの絶頂を迎える強い律動で、俺たちは絡み合いながら果てを迎えた。


    ■■■

    ざわめく食堂に、凛とした声がひびく。

    「今日は逃げないでもらうぞ」

    そう言って、スコールは俺の前の席に再び腰を下ろした。
    にぎやかな学生達が、今日も食堂を盛り上げている。
    だが、以前のようなイラつきはもうない。
    そのせいか、あんなにうるさく感じたざわめきがすこし静かに聞こえるから不思議だ。
    目の前に座った好敵手の対しても、余裕を持って対応できるというものだ。

    「あん?何のことだ?」

    「ゼルのことだ。あの後アーヴァインから聞いたぞ」

    そう言って顔をしかめた。

    「ゼルは友人だ。余計な手出しはやめてもらおう」

    そう言ってこちらをじろりと見つめてくる。
    ははぁ、なるほど。釘を差しにきたってわけか。

    「あいつとは『仲良く』やってる。そっちこそ余計な手出しはやめて貰おうか」

    「馬鹿馬鹿しい。あんたがそう思ってるだけじゃないのか?」

    「最近気付いたんだが、俺達は意外とウマが合うんだ。色んな意味でな」

    「信じられないな。誤魔化しはよせ」

    スコールは俺がまた煙に巻いて逃げると思ってやがる。
    肩をすくめてそれを受け流すと、俺は後ろを向いて、いきなり食堂の奥へ向かって叫んだ。
    スコールが何事かと驚いたのだろう、椅子がガタンと音を立てるのが聞こえた。

    「おい!ゼル!!」

    そう言って、向こうの方の席で友人達とじゃれている男に呼びかけた。
    声をかけられたゼルが、まわりの友人達と共にこちらに顔を向けた。
    急に大声をあげたせいで、食堂が一瞬しん…と静まった。だが、声の主が俺だと分かったためだろう、またサイファーかという呟きと共に、しだいにいつもの喧騒に戻っていった。
    ゼルは友人達にちょっと行ってくるとでも言っているのか、片手を挙げながら椅子を立つと、小走りでこちらへ駆け寄ってくる。

    「どういうつもりだ」

    スコールに小さく睨まれる。
    こいつも感情豊かになったな、と感心する。

    「こういうのは本人に聞くのが一番だ。陰口はよくねえしな?」

    そう言ったとき、丁度ゼルが俺の後ろへとやってきた。

    「何だよ、急に呼びやがって」

    ゼルが少し恥ずかしそうに俺の肩を拳でタップした。
    そうしてスコールによう!と挨拶すると、こいつを見て何かを思い出したのか俺に向かって口を開いた。

    「あ、明日アーヴァインのSeeD合格祝いがあんだけどあんたも来るか?セルフィに聞けって言われててよ」

    「は?行く訳ねえだろ。そもそも俺も合格者だからな」

    「そういやそうじゃん。じゃあ合格者の方で参加するか?」

    「しねーよ!そう言う意味じゃねえっての」


    「分かった。仲良くやってるならいい」

    俺達のやりとりを見ていたスコールはそう言って、席を立ち上がる。

    ゼルはその背中に「あ、スコール!明日2000だから忘れんなよ!」と叫んだ。
    スコールは振り返らず片手を上げてそれに応えると、そのまま食堂を出て行ってしまった。

    「よかったのか?行っちまったぞ。何の話してたんだあんた達」

    話の前後を知らないゼルが食堂の出口を見ながらそう言った。

    「あ?いいんだよ。お前と俺は熱~い仲だって言ってやったんだよ」

    「げ!そんな事言ったのかよお前!」

    「クク…だから『お前に手を出したら許さねえ』って言ってやったんだよ」

    「あんたってそういうこと言うんだな。意外だぜ」

    そうして、少し塗れた目で俺を見る。
    そうだ、こいつがは友人達でも、図書委員の女でも、新しい風紀委員でも、アーヴァインでもそしてスコールでもない。ゼルが見ているのは『俺』なのだ。

    バラムの外れの演習場。あそこでからかい半分にゼルと関係を持ったつもりだったが、いつの間にかそれが優越感に変わり、そして独占欲へと変化してしまった。

    「おい、ゼル」

    俺はそう言ってすっと目を細めた。
    ゼルはそれだけで意味を悟ったようで、俺が席を立つと後に続いてきた。

    「明日は合格祝いだからな。差し障りがない程度で頼むぜ」

    部屋に入るとそう言って、俺の首に腕を回した。


    終わり




    長々とおつき合いありがとうございました!
    少しでも原作の2人の感じが出せてればいいんですが、クールなゼルを書くのは面白かったです。



    ーーーーーーーーーーーーーーー

    拍手押してくださった方ありがとうございます!
    励みになっております!とても嬉しいですー!




    2/27にコメント下さった方ありがとうございます!
    見つけて下さりありがとうございます!
    新しくサイゼル好きな方が増えて下さって、更に萌えに少しでも貢献できているようでとても嬉しいです~!
    MIAは、サイファーはゼルに対してはっきり気持ちを自覚しているのに対して、ゼルは劇中のような『鈍感君』なので、カップルのシーンで尻を叩いて、気持ちが前に進むといいよなあと思って入れたんですが、入れて良かったです!
    作品ごとの感じの違いにも気付いていただけるなんてこちらこそ感動です…。
    私もゼルのクールな面大好きなんです!
    一見、熱血キャラに見えるんですけど、ちょいちょい冷静な時ありますよね!サイファーも、嫌な奴かと思いきや、実は結構良い奴だったりして2人とも二面性のあるのが凄く面白いと思います。
    そういうのを表現したいと思って今回頑張っていたので、伝わっていてとても嬉しいです!!
    また、こちらこそ素敵な感想をありがとうございました!
    サイゼル(FFⅧ)は長いジャンルですが、いろんな所で好きな方を見かけたり、サイトの方でも拍手やコメント下さる方がいるので、私もここまで長く続けてこれております。
    オペオムも、イデア実装やサイファーもゼルも記憶戻ってない為まだストーリーがあるはずなので(凄いの来る予感がします)、サイゼルの絡み楽しみましょう~!!
    まだまだ更新したい話たくさんありますので、また遊びに来てやって下さいませ~!
    ありがとうございました~!

  • 小話もうちょっとだけ続きます

    ■■■

    サイファーは振り返らずに一直線に自分の部屋へと向かった。
    俺は普段昼間には近寄りもしないサイファーに話しかけられた衝撃から、ほぼ無抵抗で連れ去られてしまった。
    サイファーは部屋に着くなり、俺をベッドへ押し倒した。
    まだ夕方で部屋の中は明るかった。
    なのにサイファーはお構いなしなようで、俺のズボンを脱がせようと、ベルトを引き抜いている。
    またあの強引な行為が始まるのか。

    「な、なぁ…ヤるのかよ」

    「…嫌なのか?」

    勇気を出して聞いた一言は、サイファーのきつい睨みと共に返された。
    セックスフレンドに対するそれが、俺の胸に突き刺さる。
    俺はそれ以上何も言えずに、ただ黙ってサイファーに体を任せた。

    揺すられる度に、快感と痛みが交互に押し寄せる。
    夕日に照らされる赤く染まったサイファーが眩しい。
    思った通り、ここ最近の強引な行為だった。
    快感は確かに感じる。でも心がないと分かっている行為に、どうしてもノり切れない。心があるのは俺だけなのだ。

    突き上げても中々イかない俺に、サイファー苛立ち始めた。

    「テメエ集中してねえな!」

    そう言って、体を起こして俺を睨んだ。
    だがそう言われても、どうしたらいいのか分からない。
    前は何もせずに感じられたのに。
    心がないと気付いてしまったのだから、しょうがないのだ。

    「こんな…こんな嫌がらせでセックスするのは…もうイヤなんだ」

    ぽろりと口から声がこぼれた。

    「セックスって好きなやつとするもんだろ」

    言葉に出してみて、実感する。
    俺達の行為にはそんな感情はないのだ。

    「俺は…あんたを好きになりかけてる。だからもうやめてくれ。今ならまだ簡単に終われるから」

    サイファーは無言で俺を見つめていた。
    それを良いことに、俺は自分の気持ちを最後まで言い切った。

    サイファーは動かなかった。
    まるで固まってしまったように俺を見下ろしている。

    驚くよな。只の都合の良いセフレが、いきなりそんな事言いだしたら。
    俺は小さく苦笑すると、もう行為の続きはないとみて、サイファーの下から抜け出そうとした。
    だがそれに感付いたサイファーが、急に俺の両腕をギュウと音がしそうなぐらい握りしめた。
    顔は伏せられていてよく分からない。
    怒ったのだろうか。

    俺が何かを言おうか逡巡していると、サイファーからぼそりと声が聞こえた。

    「畜生」

    怒りを含んでいるようなその声色に、俺の心は震えた。
    怒った声も好きだ。
    そう思って、サイファーを静かに見つめた。
    俺は自分からこの関係を終わらせたのだ。
    きっとこれで最後だろうから、サイファーの怒号も余さず俺の思い出として心の中に
    仕舞っておこう。
    そう思って、サイファーの言葉を待った。

    「あいつ等の言った通りなんて頭に来る」

    サイファーは意味の分からない言葉をぶつぶつと呟いている。
    俺には覚えがないことだから、おそらく独り言なのだろう。

    「テメエもテメエだ!」

    ぼんやりとサイファーを見上げていると、急に俺に対して声が投げつけられた。

    「どんどんエロくなりやがって。鈍感野郎どころか淫乱野郎じゃねえか!このエロチキン野郎!」

    そう俺に向かって強い視線を投げられた。
    淫乱って俺のことか!?
    そんな事言われて黙ってはいられない。 

    「な、なんだとテメエ!俺のどこが淫乱なんだよ!」

    「いつも腰振ってやがるじゃねえか!しかもエロい顔しやがって!煽ってんじゃねえよ!」

    「そんなの不可抗力だろ!あんただって一晩で何回もするくせに!その方がよっぽどイヤラシイじゃねえか!」

    「何度もイかせたいと思っちまうんだから仕方ねえだろ!テメエがエロいのが悪い!」

    「そうかよ悪かったな!じゃあ他のセフレでも見つけりゃあいいだろ!」

    なんだかしんみりしていたはずなのに、俺達の本来の性分なのか言い合いになってしまった。
    俺達はすっかりベッドの上で起きあがって向かい合い、今にも掴み掛からんという具合だ。

    「何!?テメエ俺以外と寝やがったら承知しねえからな!」

    サイファーが肩を怒らせながら俺を睨みつけている。
    今、何て言った?

    「あ、アンタには関係ねえだろ!」

    「うるせえ!テメエは俺に惚れてんだろうが!なら大人しく俺と寝てろ!」

    「だから!俺はもうセフレと寝るのは嫌なんだって!」

    「じゃあ俺とつき合えばいいじゃねえか!」

    もう言いたい放題の俺達にブレーキなんてきかなかった。
    だからサイファーは簡単にそんな事を言い放ったんだ。
    俺もムキになってサイファーの胸ぐらに掴み掛かる。

    「そりゃそうだけどアンタ別に俺のこと何とも思ってないだろ!?」

    「どいつもこいつもうるせえな!認めりゃいいんだろ!!思ってるよ畜生!テメエが他の奴といるとイライラすんだよ!だからテメエは俺と居ろ!それでいいな!」

    サイファーは俺の腕を引っ剥がしながらそう叫んだ。
    思わず俺は素っ頓狂声でサイファーへ応えてしまう。

    「お、思ってんのかよ!」

    サイファーは一瞬しまったという顔をしたけど、吹っ切れたように口を開いた。

    「ああ、思ってるぜ。お前それで、どうだ?」

    「ど、どうって…」

    「だから、俺とつき合うのか?どうなんだ?」

    そう言って、今度はぐいっと迫ってくる。
    口元にはいつもの嫌な笑みが浮かんでいる。

    「う、うそじゃないよな?」

    俺はじり…と後退した。
    サイファーに振り回されて、元のセフレに逆戻りは辛すぎる。

    「嘘じゃねえよ」

    だが、そう応えたサイファーに、先ほどの嫌な笑みはなかった。
    初めて関係を持った時のような、真摯な眼差しがそこにはあった。

    「…つき合う」

    俺はそれだけをぼそりと伝えた。
    真正面のサイファーの視線がたまらねえ。
    行為の途中だった下半身に、ずくりと血液が集まる。

    するとそっと顔を近づけて、俺の耳元でサイファーが囁くように声を発した。

    「…ヤろうぜ」

    甘く響くその言葉に、俺は陥落した。


    つづく





    二人の気持ちのまとめがなかなかうまくいかず難産でございました…。
    サイファーに好きと言わせるのが難しくて何度も消しては書き消しては書きしてました…。
    エロも入れない予定でしたが、勝手に二人が盛り上がっていってしまったので(キャラが勝手に動いてしまって)次回エロからになります。
    今回で終わりと思ってましたが、もう少しだけおつき合い下さいませ~!





    ーーーーーーーーーーーーーー

    拍手押して下さった方ありがとうございます!
    おかげさまでやる気出ます!
    少しでも楽しんでいただけていると嬉しいです~!
    また遊びに来てやって下さい!
  • 小話更に更に続き

    ■■■


    ガーデンの食堂はやかましい。
    だからこんなにイライラするのか。
    どうなってんだ?俺がガーデンにいた頃より酷くなってるんじゃねえか?
    奥のテーブルの一団は特に酷い。男子生徒が集まってわいわいぎゃあぎゃあと賑やかなことこの上ねえ。妙にムカつくぜ。
    無視しようと試みるが、なぜか何度やっても頬杖を突いたまま、吸い込まれるようにそちら見てしまう。
    反対の手で握られたフォークは皿に突き立てられたままだ。

    「何を見てるんだ?」

    そう声を掛けて俺の向かいに腰を下ろしたのはスコールだった。
    俺のテーブルに来るなんてな。
    スコールらしからぬめずらしい行動に驚くが、極力顔に出さないよう努めた。

    「何の用だ」

    食事用のトレイも何も持たずに座ったところをみるに、ただ席が空いてなかっただけじゃないことは直ぐに分かった。

    「ゼルを見てたんだろ」

    スコールは前置きも何も無しに、そうハッキリと言い切った。

    「いきなり何なんだテメエ」

    覚えのない事を言われて苛立つ。
    改めてスコールに向き直ると、俺は声を荒立てた。

    「自覚がないのか?さっきから見ていたが、ずっとゼルを見てたぞ」

    そう言って、さっき俺が見ていた方を小さく指さす。
    釣られてそちらを見ると、さきほどからうるさく騒ぐ男子生徒達の中に、確かにゼルの姿があった。なぜ気付かなかったのだろう。いや、気付いていたが見ぬ振りをしていたのか。
    友人達と楽しげに食事をするその姿を見ると、先ほどまで感じていたイライラが更に激しくなる。

    「惚れてるのか?」

    スコールから信じられない一言が発せられた。
    俺は横を見ていた顔を一瞬でスコールに向け直して、反射的に声を荒げた。

    「気持ちわりぃ事言ってんじゃねえ!」

    なんで俺がチキン野郎なんかに惚れなきゃなんねえんだ。飛躍しすぎだろ。
    だが、スコールは全くひるまない。
    それどころか、更に追撃まで放ってくる。

    「そうか?あんたの好きそうなタイプだと思ったんだが」

    「なに?」

    予想外の回答に、目を細めて続きを促す。

    「あんた、明るくて、気が強くて、突っかかってくるようなタイプが好みなんだろ」

    なぜか心臓がドクリと鳴った。
    核心を突かれたと、瞬時に思ってしまった。

    「なんで…てめえがそんな事言えるんだ」

    だが、認められねえ。自分の気持ちさえもねじ伏せる。
    スコールはそう反論されることなど予想をしていたように、するりと口を開いた。

    「リノアとつき合ってたそうだからな。普段女子に見向きもしない”あんた”が」

    そうして、自分の発言が俺を責めていると思ったのだろう。
    「ああ、深い関係じゃなかったと聞いてるし、俺は気にしていないからな」と、片手を挙げて付け加えた。

    「……」

    こいつからリノアのことを言われるとは思ってなかった。(今つき合ってるのはコイツだ)
    確かにリノアの明るくて人懐っこい所は嫌いじゃなかった。俺に対しても怖れずズケズケと意見するところも、サッパリしていて気に入っていた。
    ズバリと言われてしまうと妙にばつが悪い。
    だが、すべてこいつの言うとおりだと認めるのは…癪だ。

    「別に…タイプじゃねえ。従順なやつの方がいいに決まってる」

    そう言って持っていたフォークを皿にほおりだした。
    もうとても食事をする気分にはなれない。
    口からでまかせを言った訳じゃない。つまりは…一般論だ。

    スコールは訝しい目をしてこちらを見たが、それ以上は何も言ってこなかった。
    だからこの話はこれで終わりだと思ったのだが。

    「ほんとに~?じゃあ何で風神とつき合わないの?」

    俺の後方から聞き覚えのある声が響いた。

    「アーヴァイン」

    スコールが、俺の後ろに目をやってそいつの名前を呼んだ。
    嫌な予感に自然と眉間に皺が寄っていく。
    アーヴァインはスコールに、面白そうな話してるね~と声を掛けると、僕も混ぜてよと言ってスコールの隣へと勝手に腰掛けた。
    そうして俺に視線を向ける。

    「あの子、どう見ても君のこと好きでしょ」

    「……」

    テメエ等はほんとに嫌なとこ攻撃して来やがるな。SeeDの鏡だぜ畜生。

    「君もそれ、分かってるよね。でも彼女とは寝てない」

    確信している口振りでそう言い切った。
    俺は向けられる視線を反らすことなく強い視線で受け止める。
    それしか今の俺にできることはない。
    こいつの言うことに反論の余地もなかった。ぐうの音も出ねえぜ。

    「自分に従順なタイプじゃだめなんでしょ?抵抗されるほど燃える…ってね」

    身に覚えのある指摘にゴクリとつばを飲み込む。
    これ以上コイツ等と関わると、恐ろしい結論に達してしまいそうだ。

    「うるせえ!テメエ等に関係ねえだろうが。あんなチキン野郎好きなわけねえだろ。男だぞ!」

    俺が野郎なんぞに本気になるわけがない。
    確かにあいつとは寝てる。
    気軽で、安全で、体の相性も良くて気持ちいい。感じてるときの声や顔も気に入ってる。最近妙にエロくなってきて、俺も煽られる事はあるが…それだけだ。
    だが、アーヴァインは何かを確信しているように口を開いた。

    「ふ~ん。パーティーの時の君、嫉妬してますって顔してたけど。自覚無し?」

    続いてスコールまでも口を出してくる。

    「ここ最近のあんたは心ここにあらずだ」

    コイツ等の話なんか聞いていられるか。
    俺はガタリと椅子を鳴らして立ち上がった。
    そうしてスコールがまだ何かを言い掛けているのを無視して、その場から離れた。
    2人の視線が追いかけてくるのを背中で感じたが、振り返りはしなかった。




    寮へ向かって歩く俺を、まわりの生徒が何事かと避けていく。
    普段から横柄な足音が更に激しくなる。
    あの後苛立ち紛れに訓練施設で暴れたが、全く気分が晴れやしねえ。
    あれからあいつらの声が頭に反響して仕方がない。
    俺があのチキン野郎を、ゼルを好きだって?冗談じゃねえ。
    俺がいつ嫉妬したってんだクソが。

    もう少しで自分の部屋につこうかといったその時、渦中の人物の名前が俺の耳に飛び込んできた。

    「ゼル=ディンだな。速度違反だぞ!」

    そう言ってゼルの腕を捕らえて尋問する男がいた。
    あれは俺の後釜の風紀委員の奴だ。
    あまり評判は良くねえみたいだ。俺が言えた義理じゃないが。

    「え~!!!ちょっと急いでただけだろ~!!」

    ゼルはそう言って、困ったような顔をする。だが一瞬にして短い眉を吊り上げて反論する。

    「走ってたわけじゃねーって。今のは早歩きだっただろ?」

    そうして風紀委員の男に詰め寄っている。

    「早歩きでも速度を超えたら駄目だ。一旦風紀委員室に来て貰おうか」

    風紀委員はゼルを連れて行く気らしく、掴んだ腕を引っ張ろうとしていた。

    食堂で感じたような苛立ちが俺を襲う。
    本来なら、あそこでゼルに詰め寄っていたのは俺の筈だ。
    俺がゼルに速度違反を告げて、ゼルが俺に
    言葉を返す。あいつが見上げるのは俺だったはずだ。
    そう思ったら、もう止められなかった。

    言い合いをする2人にズカズカと近寄ると、ゼルを掴む風紀委員の腕をつかむ。

    「さ、サイファー!?」

    ゼルが俺を見るなり大きな声を上げた。
    腕を捕まれた男は、俺を見るなり息をのんだようだった。

    「な、何の用かな」

    男は恐る恐るというように俺に声を掛けた。

    「こいつは俺が預かる。失せろ!」

    そう力強く言うと、男は「わ、わかりました」と声を震わせて言った後に走る勢いで逃げていった。
    どっちが速度違反かわかったもんじゃねえ。

    ゼルを見ると、困惑した顔で俺を見ていた。
    自分の手中に収めると、先ほどまでのイラつきが次第に小さくなっていく。
    そうして今度は逆に、妙に脈が速くなる。体も少し熱い気がする。

    俺は何も言わずに、目的地であった自分の部屋へと行くためにゼルの腕を引っ張った。
    ゼルは抵抗もせずに着いてきた。
    短い道中、再びスコールとアーヴァインの声が頭の中を反響して仕方がなかった。



    つづく




    次回で最後になる予定です。
    スコールとアーにサイファーを諭させるシーンが書きたかったのでようやく叶いました!
    リノア&風神と対比させるの3年前くらいからずっと書きたかったんですよ。
    ちょっとこれについては後日またブログに書こうとおもいます。
    ネタはどんどん増えてくんですが、書く(描く)方が追いつかない…。
    今回も話の流れはできてるんですが、うまく纏められずに時間かかってしまいました。




    ーーーーーーーーーーーーーーーー

    拍手推してくださった方ありがとうございます!
    もう少しで小話完成なので走り抜けます!!!
  • 小話更に続きです!

    ■■■


    サイファーとはしばらく会わないようにしよう。
    気持ちが落ち着いたら、改めてサイファーと話をしよう。
    これが悩んだ末に俺が出した結論だ。
    幸いにも昼間は他人のように扱われてるし(実際そうなんだけど)、近づかなければ大丈夫の筈だ。
    そう思っていたんだけど、俺に新たな任務が飛び込んで来た。
    セルフィの代わりにトラビアガーデンへの派遣で、1ヶ月の中期任務だ。
    結局あれ以来サイファーと会うこともないまま、俺はトラビアへと出発した。
    ガーデンでは格闘術の指導なんかをメインに、SeeDとしての心構えだとか、任務の臨み方なんかも指導してきた。
    そう、SeeD試験が迫ってきているのだ。
    そうしてバラムガーデンに帰ってきた時には、もう試験前日になっていた。

    学園長に報告した時に側にいたキスティスから聞いた所によると、アーヴァインが候補生として試験を受けられるということだった。(やったなアーヴァイン!)
    だが次に続いた名前に、俺はゴクリとつばを飲み込んだ。
    サイファー。
    あいつも試験を受けるんだそうだ。
    そんな事、一言も言ってなかった。(言う必要はねぇんだけどよ)
    あいつとの距離を感じてしまう。
    いや、距離を置こうとしてんだから…これでいいのだ。

    翌日、そわそわしながら合格発表の校内放送を待っていると、無事アーヴァインの名前が呼ばれた。俺の隣で一緒に放送を聞いていたセルフィも飛び跳ねて喜んでいる。
    セルフィから、合格祝いしなくちゃやね!と弾む声で提案された俺は、もちろんだぜと二つ返事で応えた。
    まだ放送は続いてたみたいだけど、セルフィの話しに遮られて、以降はもう聞こえていなかった。



    「アーヴァイン!」
    俺はホールで人に囲まれているアーヴァインに声を掛けた。
    辺りには賑やかな音楽が響き、多くのSeeD達がそれに合わせて踊っている。
    就任パーティーが開催されているのだ。

    アーヴァインはこちらに気付くと、まわりにちょっと失礼、と声を掛けながら俺の方へと抜けてきてくれた。

    「おめでとう!やったな!」

    「ま、本気を出せばこんなもんさ」

    アーヴァインはウインクをしながらそう言うと、何か飲もうよとドリンクテーブルの方へと誘われる。
    SeeD服を着るアーヴァインってのは不思議な感じで、一瞬反応が遅れちまったけど、直ぐに彼の後を追った。
    ドリンクテーブル(飲み放題なんだぜ!)からアルコールを取ると、近くにいたアーヴァインのファンの子達が近寄ってきた。
    皆で乾杯して、アーヴァインに試験の様子を聞きながらグラスを傾ける。
    ほんのりアルコールも入って、会話も弾んで笑いあって、すげえ楽しい時間を過ごしてたと思う。

    「それで、その時僕がねーー」

    話をしていたアーヴァインが急に言葉の途中で話をやめてホールの方を見つめだした。
    俺や女の子達は、どうしたのかとその視線の先をたどって同じようにホールの方を見る。
    するとサイファーがすごい形相をしてこちらに近づいてきているのが見えた。
    何事かと思う暇もなく、真っ直ぐにここへ来たサイファーは、アーヴァインと女の子達を睨みつけると、すごい力で俺の腕を引っ張った。

    「おい、行くぞチキン野郎」

    そう言って、俺を引きずる勢いで歩き出した。

    「サイファー!何すんだ、離せよ!!」

    俺は抵抗したけど、完全に虚を突かれた事もあって為す術なしに引きずられていった。

    ようやく腕を放されたと辺りを見回せば、そこはサイファーの部屋だった。
    急に暗い部屋に放り込まれたから、まだ目が慣れてなくて辺りがよく見えない。
    恐る恐る立ち上がると、目の前にサイファーがいるのがぼんやりと見える。
    SeeD服の金属装飾が暗い中で唯一光を弾いて輝いている。
    俺が何かを言おうとするその前に、後ろに突き飛ばされた。
    衝撃を覚悟するが、マットレスが俺の体を受け止めた。
    ベッドへと突き倒されたのだ。
    そうして、間を置かずサイファーがのし掛かってくる。
    手早く俺のSeeD服をはだけさせたサイファーは、俺の首元を熱い舌で舐めだした。
    鎖骨の辺りから、顎まで舐め上げられると、ゾワリと体が反応する。

    「何なんだよっ…!」

    このままではまずい。危険な予感に、俺は身を捩って抵抗を始める。
    だが、爛々と燃えさかるサイファーの瞳に
    思わずおののく。
    そうこうしている間にも、サイファーの侵攻は止まらない。
    俺の手をねじり上げて、ベルトを引き抜き、スラックスと下着を取り去って足を割り開く。
    アルコールが入っている俺は、大した抵抗もできぬままサイファーの前に性器を晒した。
    強い力で何度も俺の性器を嬲り、まだ解れきっていない後ろに無理矢理進入される。
    痛みに思わず大きな声を上げそうになったが、サイファーの手に口を覆われる。

    ドアの外から、人の話し声が聞こえてくる。
    今日はパーティーのせいで消灯が遅いから、まだ寮生の往来があるのだ。

    声が通りすぎたのを確認すると、あいつは再び俺を蹂躙しだす。
    SeeD服の鎖がサイファーが動く度に金属音を響かせる。
    あいつは、服だって脱いでねぇんだ。

    こんな。
    こんなセックスじゃなかった。
    初めての時だって、あいつは加減してくれた。
    優しかったし、すげえ真面目だった。
    いつだって気持ちよくしてくれたのに。
    なんでだよ。
    セックスフレンドだからか?
    気分次第かよ。
    もう慣れたからいいだろってことかよ。

    アーヴァインの放った『気持ちが無い』という言葉が、何度も俺に突き刺さる。

    俺は揺すられる痛みに耐えながら、キツく瞑っていた目を開いた。
    眉間に皺を寄せたサイファーが、息を弾ませながら真っ直ぐに俺を見ていた。

    ちくしょう。
    なんでこんなレイプ紛いにされてるときにこんなこと思うんだよ。
    俺は完全におかしくなっちまってるんだ。
    避けるなんて、もう出来やしねえ。

    サイファー…


    ああ…すげえ格好いいな。
    SeeD服、めちゃくちゃ似合ってる。
    好きだ。
    その顔も、傷も、ムカつくとこも。ほんとは結構良い奴なとこも。


    自然と涙が溢れて、止まらなかった。


    その晩、賑やかな音楽を遠くに聞きながら、俺達は声を殺して交じり合った。


    つづく




    余談ですが、サイファーは前回ゼルと同室になったときの演習でSeeD受験の単位取ってる設定です。
    みんながパーティー楽しんでる時に、その裏で、そっちのけで夢中でセックスするのエロいよな~と思って入れました!書くの楽しかった…。




    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    拍手押してくださった方ありがとうございます~!!
    やる気でます!頑張ります~!!




  • 小話更に続きです!

    ■■■

    は~~というため息がガーデンの廊下に響きわたった。
    さっき命令書が届いて、まーたあのバラムの外れの演習場での訓練を言い渡されちまったってわけ。今度は引率側だけどな。
    今度こそ個室を貰える…筈だ。
    どっちにしろあまり良い印象はないのは確かで、俺は消灯間際の廊下をがっかりしながらとぼとぼと歩いていた。
    すると、後ろから低く響く足音が聞こえてくる。そうして真後ろに来たと同時に、おい、と声が掛けられた。
    そっと振り返ると、サイファーがこちらを見下ろしていた。
    「チキン野郎」
    そう言ってすっと目を細めた。
    そのまま視線を寮の方へ投げて、また再び俺を見下ろした。
    今夜も誘いに来たのか。
    俺は「いいぜ」と答えて、歩き出したサイファーの後ろに続いた。


    息の弾むサイファーに突き上げられる。
    最近の俺はすっかりこいつに飼いならされちまって、後ろで快感を感じられるようになってきてしまった。恐ろしいぜ。

    だが今日は先ほどの命令書の件もあって、俺はちょっと集中できてなかったと思う。
    それを見抜いたサイファーは、動きを緩やかにして俺の様子を伺ってくる。

    「浮かない顔だな」

    「ん?ああ、ちょっとな…」

    そう言って言葉を濁すと、何を勘違いしたのか良くねえか?と探るように腰を動かし出す。

    「んっ…、ちげーよ。またあの演習場で訓練があるから気落ちしてただけだ」

    隠すことでもないので素直にそう告げると、すっとサイファーの顔色が変わった。

    「なに…?」

    おもわずと言った風にサイファーの口から声が漏れた。
    体の動きを止めたサイファーは、そのままじっと壁の一点を瞬きもせず凝視している。
    何を考えているのかと俺もあいつを見つめていると、段々と眉間に皺が寄ってくる。
    すると、急に足を抱え上げられた。
    と同時に、サイファーがのし掛かかってくる。
    そうして急に手荒くなった動きで腰を押しつけられた。

    「まっ…!おい、もうちょっと優しくしてくれ…!」

    俺の願いは聞き入れられぬまま、その晩は意識を飛ばして朝を迎えた。



    翌日、演習場に学生達の声が響く。
    引率と言っても、結局は現場で学生と共にバトルに明け暮れる羽目になる。
    もちろん学生達よりは体力あるつもりだけど、やっぱ一日中バトルってのは結構キツい。しかも学生に事故が起こらないように注意しながらだから余計に神経使ったぜ。(俺そーいうの苦手なんだよなぁ)
    ゆっくり休めるとこが当たって良かったぜ。(SeeDなんだし当然なんだけどな)
    結局俺の心配を余所に、今回は個室を与えられた。それだけが救いだ。
    身も心も疲れた体をシャワーで清めて、ベッドへとダイブする。
    あー最高だぜ。
    すると、覚えのある感覚が下肢に集まってくる。
    今日は誰に遠慮することもないのだ。
    俺は下着の中にそっと手を入れると、ゆるく立ち上がるそれを握って刺激を与えた。
    いつもの要領で触っていくが、どうもノれない。気持ちよくないわけではないが、なんだか物足りない気がする。
    色々触り方を変えてみるがやはり同じで、
    結局事務的に擦って出すという作業になってしまった。
    出し終わったものを処理して、ため息をつきながらベッドに潜り込む。
    昨日サイファーと処理して出したから、感度が下がっているのだろうか。
    そういえばあいつ途中から不機嫌だったよなと思い出す。
    順を追って思い返してみるが、特に失礼なことはしていないはずだ。
    そうして昨日の事を思い出していると、それに当てられたのか再び下腹に熱が集まってきた。
    そっと手をやると、それはすっかり固くなっていて驚く。
    そのままさっきのように触ると、体が震えるほど気持ちよかった。
    昨晩サイファーに入れられながら自分で扱いたときの快感を思い出す。
    まるで昨日の自分をトレースするようにそこを触ると、たまらなく気持ちいい。
    そうしてその晩は、サイファーと体を合わせた夜を思いながら自身を慰め、最後を迎えた。


    翌朝、無事一泊二日の演習が終わり、各自徒歩でガーデンへと帰還する。(帰還するまでが訓練なんだとさ)
    残りあと半分くらいまで来たところで、後ろから親しげに声が掛けられた。

    「やあ、ゼル!」

    振り返ると、アーヴァインが片手を挙げてこちらに近寄ってくる。
    そういえば今回はアーヴァインが参加してたっけ。演習開始前の全体ミーティングで見かけていたから、参加していた事は知っていた。
    この演習はSeeD試験を受けるための単位の一つで、そういえばアーヴァインも試験を希望してたっけ。

    「SeeD試験もうすぐだろ?大丈夫か?」
    「まあなんとかね。僕、座学は結構得意なんだけど近接戦闘がね~」
    「俺も遠距離戦闘苦手だったもんな~」

    様々な技能を有するSeeDは、やっぱりなるのは大変で、俺も五分五分とか言われたもんだ。
    その時、俺の前を歩いていた女子がアーヴァインの方を向いてキャーキャーと声を挙げた。
    アーヴァインはそれに片手を挙げてにっこり笑って応えた。
    こいつがガーデンの子達に人気あるのは知ってたけど(いつもすげえ声かけてるんだよ)、実際に見たのは初めてだ。

    「あの子達、お前に気があるんじゃねーの?」
    からかうように言ってみるが、アーヴァインは慣れたもののようだ。
    「そうかもね~」
    「意外だな。お前だったら女の子みんなとつき合うんだと思ってたぜ」
    「僕今本命いるからね。セフレはいらないんだよ」

    飛び出してきた言葉に、ちょっと動揺する。俺にはあんまり縁のない世界だ。

    「セフレ…ってセックスフレンドって意味だよな?」
    「そうだよ~」
    「本命以外とつき合うのって、セフレなのか?」
    「気持ち無いんでしょ?そういう子と体の関係持つのって、セフレっていうんじゃない?」

    急に俺の心臓が早鐘を打ち出す。
    なんだか身に覚えがある…気がする。

    「…抜き合いの延長みたいのでも…そうなのか?」



    「まあ、セフレだよね」



    ショックだった。
    アーヴァインから放たれた一言が俺に突き刺さる。
    セックスフレンド。
    まさか自分とサイファーがそうだったなんて。そんなつもり全然無かったのに。
    ただ、気持ちいいし、あいつは意外とまじめで優しいし、終わった後なんだか幸せな気持ちになる。
    そうだ。
    最初は罪悪感から受け入れたサイファーは、今や居ないと寂しいと感じるまでになってしまっていたのだ。
    これ以上になってはいけない。俺達は…セフレなのだ。

    そこからはアーヴァインの話しも右から左で、あいつとこれからどうしたらいいかばかりが頭の中をぐるぐると回っていた。
    そうして気がついた時にはガーデンへ帰還していた。


    つづく



    ーーーーーーーーーーーーーー
    拍手押してくださった方ありがとうございます!
    とても嬉しいです!頑張って更新していきます~!
Copyright © Textt / GreenSpace