こんばんは!
遅くなってしまいましたが、以前ブログでご連絡しましたしろひよ3を拝見しまして、とっても萌えましたのでここで吐き出します~!
それぞれに違ったサイゼルがあって、ほんとうに面白いですし、ギャグもたくさんあって笑えますし、盛りだくさんでございました…!次回4もあるようですので、未参加の方は是非参加されることをお勧めいたします!!
私事ですが、ようやく退院できました!ので、また段々とペースを取り戻せると良いなと思っております。
ご心配をおかけいたしました。
さて、長々と続けてきた小話最後になります。一気に読んでいただく方がいいと思いまして長めになっております。
どうぞお楽しみくださいませ~!
サイファーはガーデンの廊下を早足で歩いていた。
視線を巡らせて、何かを探しているようだ。
保健室の前の廊下に差し掛かったとき、キスティスが向こうから歩いてくるのが見えて、サイファーは迷わずそちらに足を向けた。
近づいてくるサイファーに気付いたキスティスが鈴の鳴るような声で明るく声をかけた。
「あらサイファー、来週の試験の準備はOK?」
「おい、チキン野郎はどこだ?」
真顔でその質問を無視して、サイファーはキスティスに迫る。
「さあ、知らないわ。何か用なの?会ったら伝えとくけど」
だがキスティスは恐れることなく立ちふさがるサイファーに対峙した。
「あいつはどこ行きやがったんだクソ!ずっと部屋にも居やがらねえ!スコールのやつも知らんふりだ!」
サイファーはそう言って片足を踏みならした。
ずいぶんと探していた様子に、キスティスは困った顔をしてため息をついた。
「任務に出てるんでしょ。そのうち会えるわよ」
そう生徒に諭すように言うと「あなたも演習が入ってるんじゃないの?準備してきたら?」と澄ました顔で促した。
サイファーは舌打ちをすると、これ以上は聞けないとふんで踵を返した。
部屋に戻る最中に、サイファーは廊下を小走りに駆ける少年達を見かけた。
注意しようとそちらを見ると、ゼルと同じように顔にタトゥーのある少年が先頭を走っている。
後ろに続く少年達も、それぞれ体の露出した場所にタトゥーが入っているのが見えた。
「早くいかねーと遅刻だぞ!」「追加の単位なんてめんどくせえよなー」と文句を言いながらサイファーの前を通り過ぎていく。
その少年の勝ち気な表情や仕草にゼルを思い出して、サイファーは尚一層もどかしさに拳を握りしめた。
結局あれ以来ゼルに会えていないサイファーは、むしゃくしゃした気持ちを抱えたまま演習を迎えた。時間一杯まで暴れ回り、演習終わりにそのままティンバーへと向かった。
この任務もこれで終わりになる。
当初予定もしていなかった複雑な気持ちを抱えたまま、サイファーはアフローラの扉をくぐった。
サイファーがこれまで散々店にちょっかいを掛けるガルバディア兵を痛めつけていたおかげで、最近ではパブに強い常連客がいるとの噂が流れて、ガ兵の嫌がらせはすっかり収まっていた。
お決まりの席にドカリと座って、マスターから出されたドリンクを一気に飲み干した。
時間が過ぎるのが嫌に長く感じる。
サイファーは片足を揺すりながら何度も時計を確認する。
彼を待っている、いや、ゼルの代わりを待っているのだ。
噂のおかげで結局無事に閉店時間を迎えたアフローラに、マスターはサイファーへと感謝の言葉を伝えた。
「またいつでも遊びに来てくれよ」
マスターはそう言って怖い顔を綻ばせて笑った。
その時、暗い裏口から人影が店内に入ってくるのが見えた。誰が来たかはもう分かっている。向こうもサイファーを視界に捉えたようで、扉を閉めたところで動きが止まった。
サイファーとエクセルの視線がバチリと合った。
サイファーがその覚えのある視線に焦がれて居ぬ男の名を呼びかけたその時、エクセルがサイファーに駆け寄ってきて声をあげた。
「すげー!ガンブレードだろそれ!」
そう言って、サイファーが直接演習から来たせいで所持していたガンブレードケースを見てはしゃぎだした。
「な、サイファー。ガンブレード、見せてくれよ」
サイファーは切羽詰まった気持ちを削がれて、その様子に苦笑する。
「駄目だ」
「ちぇっ。なあこれって切るときトリガー引くんだろ?手痛くねーの?」
しゃがんでケースを凝視するエクセルが、サイファーを見上げる。
「慣れだ」
「ふーん。替えのマガジンっていつも持ち歩いてんの?」
サイファーは一瞬眉を顰めると、ひときわ大きなため息を吐いた。
そうしてじっとエクセルを見つめると、目を細めて口元を緩ませた。
「当たり前のこと聞くんじゃねえよ」
そう言うと、サイファーは未だケースに興味ありげなエクセルを、手を引いて立たせた。
「世話になったな」
やり取りを見守っていたマスターにそう声をかけると、そのままエクセルの手を引いて急いでアフローラを後にした。
「あっ!ああっ!いい…サイファーっ!」
エクセルがサイファーの責めに甘い声をあげる。切なそうなその声は、サイファーの胸を熱くさせた。
「サイファー、サイファーっ!」
切羽詰まった声が、サイファーが動く度に放たれる。ゼルと同じその声に、サイファーの理性がついに切れた。
「ゼル」
おもわずサイファーの口からその名前がこぼれた。
息の乱れたエクセルが急に放たれたその名前に、目を大きくしてサイファーを見つめる。
サイファーから堰を切ったようにその名前があふれ出す。
「ゼル、ゼルっ」
熱を帯びた声と律動がサイファーから放たれる。
何度も噛みつくような勢いでキスを交わした。
エクセルは驚きながらも与えられる快感に次第に流されていく。
「ゼル、好きだ。ゼル!」
「サイファー」
エクセルがサイファーの情熱にあてられて極まったとき、サイファーはゼルと見まがうその体をきつく抱きしめ律動しながら、エクセルの耳元で荒れ狂う心の声を発した。
そしてキツく目を瞑り、腰を打ち込むと同時に彼の中に熱を放った。
事後、息を整えたエクセルが、未だ上に乗っていたサイファーを押しのけて、驚きの表情でサイファーを見つめた。
「アンタ…ゼルが好きなのか…?」
途切れ途切れに、動揺しつつ放たれたその問いに、サイファーは間髪入れずに返事を返す。
「ああ」
エクセルはごくりと唾を飲み込んだ。
「あいつはあんたのこと何とも思ってないんだろ?」
エクセルがサイファーから視線を逸らして目を伏せる。
戸惑っているその様子に、サイファーははっきりとした口調で言い切った。
「いや、俺に惚れてる」
その言葉に視線を上げたエクセルは、サイファーを見上げながら拗ねたように口を尖らせた。
「なんでそんなことわかるんだよ」
「分かるぜ。だってお前、ゼル・ディン だろうが」
サイファーは真っ直ぐに彼を見ながらそう答えた。
ゼルと呼ばれた少年は一瞬固まって、急に視線を左右にやりだした。
「な、何言ってんだよ?!オレはエクセルだ!ゼルじゃねえ!」
急に焦りだした様子の少年に、サイファーはにやりと口の端を引き上げた。
「ほう、そうか。ならなんで見たこともねえオレのガンブレードがマガジンを使うオートマチック型だって知ってやがったんだ?ん?」
一息にそう言って、弁解できるならしてみろと言う視線で少年に詰め寄る。
ぐぐっと顔が近くなった少年は「うーーー」とうなり声を上げると、「降参だ」と言ってがっくりと肩を落とした。
「そうだよ、オレだよサイファー」
そう言って、片手で下ろしている髪をぐしゃぐしゃとかき回した。
「あーーマジかよ死ぬほど恥ずかしい」
そして今度は両手で頭を抱えるとベッドに俯きに沈み込んだ。
「何を今更、初めあんなエロい顔でオレを誘ったじゃねえか」
サイファーが目を閉じながら肩をすくめる。
「あれは興奮剤打ってたんだよ!アンタ相手に勃つか分かんなかったし、オレ初めてだったしよ」
ゼルはベッドから少しだけ顔を覗かせながらそう答えた。
そして「別人だから出来ることってあんだよ!」と捨て台詞のように言い放つと再びベッドに顔をうずめた。
ベッドでうーうー言っているゼルをはたきながら、サイファーが天井を見上げてため息をついた。
「それで、なんでこんなことしやがったんだ?キスティスもグルだな。ったくお上品な顔に騙されたぜ」
「みんなだよ」
ゼルがそっと顔を上げて、そう呟いた。
さっきまでとは違う真剣味のある顔に、サイファーもそれに対するように答える。
「どういうことだ」
「ガーデンの奴らはもちろん、ティンバーの町の人みんなが協力してくれたんだ」
そう言うと、ゼルは事の始めをゆっくりと話し出した。
■■■
学園長の元に来た連絡が始まりだった。
それは国際軍事裁判所からの命令だった。
『サイファーに破壊思想が残っていないか
を調査すること』
SeeDとして社会復帰を目指すサイファーに、世界中が危険思想を持っていないか確認を求めたのだ。
アルティミシアに完全に操られていたイデアやリノアは罪を免れたが、サイファーに関しては自分の意志で破壊に参加したとみなされて裁判が行われていた。
その結果がシドの元へとようやく届いたのだ。
調査実施については、ガーデン内で行えないならとガルバディアとエスタ、両国が手を挙げていた。
学園長室に密かに集められた魔女戦でのメンバー、そして信用のおけるSeeDの面々に、シドから残酷な事実が告げられる。
「ガルバディアに引き渡せば、調査という名の拷問が待っているでしょう。事故に見せかけて殺されることもあり得ます。エスタでは最近噂されている人体実験に使われる可能性があります。あの国の研究者の強い権力と歪んだ倫理観はラグナ大統領でも止められない」
だからこそ、このバラムガーデン内で調査を済ませたいのです。そう言って休めの体制をとる皆を見回した。
「状況は理解しました。作戦は?」
直立した休めの体制のまま、スコールが先を促す。
シドは頷くと、話を続けた。
「工作活動により、サイファーの友人である風神や雷神のように、サイファーの核心部に食い入る人物を私たちであてがい、作り出します。そうしてその人物に本心を吐露させるのです」
そう言って、手を振りかぶって再び皆の顔を見回した。
「まずはその役目を誰が担当するか決定します。サイファーの信用を得るため、長期の任務となるでしょう。性的な関係も必要になるかもしれません。そのため、できれば女性が相応しいですが…」
シドがそう言って、SeeDの女性陣に顔を向けた。
その時、列の端に並んでいた一人の男が声をあげた。
「オレがやるぜ」
ゼルがそう言って、学園長を真っ直ぐに見た。
「前々から思ってたんです。オレがTV局でみんなの所属を言っちまった後、なんの処罰もありませんでした。非常時だったからだと思いますが、本来なら懲罰があるはずだ。だから、皆に迷惑かけたその分、オレがやります」
いつもとは違うゼルの真剣な表情に、シドも深くうなずいた。
「分かりました、ではゼルに頼みましょう」
そう言って、確かにサイファーと面識のある顔の方が、うまく興味を引けるかもしれませんね。と続けた。
「でも俺、諜報の評価低かったからサイファーを欺けるか正直不安です」
ほっと胸をなで下ろしたゼルが、そう言って頭をかいた。
そこに、同じく召集されていた元教官のキスティスの声が響いた。
「そんなこと無いわ。意外でしょうけど、あなた諜報活動の単位で変装の評価が高かったのよ。発言内容で随分減点されて評価はそこそこだったけれど…。タトゥーに目がいくからかしら、隠すと別人に見えるわよ」
そう言って、振り向くゼルに微笑みかけた。
「問題はサイファーが俺を相手にするかどうかなんだけど」
ゼルがそう言って、キスティスに困った顔をする。
「それは問題ないと思うよ」
今度は列の反対側からアーヴァインの声が響いた。
「だってサイファーってバイでしょ」
はっきりと言い切られたその言葉に、ゼルがアーヴァインに顔を向けながら目を瞬かせた。
「何でそんなことが分かるんだ?」
「男相手に執念燃やすタイプだからだよ。ほら、誰かさんにお熱だったでしょ?」
そう言って、意味深にスコールに視線を向けた。
「ちょっとそんな顔しないでよ。キミのことが好きだなんて言ってないじゃない」
アーヴァインが両手を上げて肩をすくめながらスコールに苦笑する。
苦い顔をしたスコールが、咳払いをしてシドに向き直った。
それを見たシドが、話は決まったと見て傭兵学校の長の顔を覗かせる。
「舞台はティンバーのパブ、アフローラ。町の住民には工作員のSeeDが来ることは周知してあります。町の皆に話を通してくれたリノアに感謝しなければなりません」
「町の者が裏切る事はありませんか?」
話を聞いていたSeeDの一人が、シドへと声をかけた。
「サイファーはティンバーの憎き敵、ビンサー・デリング大統領の首に刃を突きつけた人物です。町の者はみなサイファーに尊敬と感謝の念を持っているのだそうです。ティンバーの代表者は、あの青年の為なら喜んで協力すると言ってくださいました。信用して良いと思いますよ」
そう言うと、ゼルに向き直る。
「ゼル、すぐにシュウと共にティンバーに赴き、作戦の詳細を決めてきてください。ほかの皆はサポートです。ゼルが戻り次第、各員配置を決定します。決して公にならぬよう、細心の注意でおねがいします」
そう言って、シドは右手を額に当てて敬礼をした。
残りの皆も、休めの体制から瞬時に直立し、踵を鳴らして同じように敬礼を返した。
■■■
「前回の逢瀬で確かにあんたから言質はとったから、俺の任務は前回で終了してる」
すっかり顔を上げたゼルは、真っ直ぐサイファーを見ながらそう言いきった。
「哀れみか?」
サイファーは目を逸らさずゼルへ厳しい視線を向ける。
「違う。アンタを地獄へ落としたのはオレだ。だから今度はオレがアンタを地獄から助け出す。自分ケツは自分で拭く。これはオレなりの責任の取り方だ」
ゼルは真っ向からそれを受け止めて、ゆっくり目を閉じた。
それを見たサイファーはハァー、と深いため息を付くと、まじめ腐ったゼルの額をはじいた。
「つーかてめえ避けてんじゃねえよ」
ゼルは痛む額をさすりながら、サイファーに噛みつく勢いで口を開いた。
やけくそというやつだ。
「隠しきれなくなっちまったんだよ!顔に出てるってスコールにも言われちまったし。会ったらバレちまうし…。そんな状況で顔見れねーだろ、普通。あんたいい男すぎんだよ!」
ゼルはフン!と鼻を鳴らすと、吹っ切れたのか今度はベッドに仰向けに寝ころんで天井を見上げた。
「あーあ、キスティスに会うのが怖いぜ…」
「どうしてだ?」
「この任務につくにあたって、発言には気をつけるようにって散々言われてっから」
そう言って、今度はまるでエクセルのときのようにサイファーへと興味津々といった風に話しかけた。
「なあ、いつ気づいたんだ?」
「ガーデンで顔にタトゥーのあるガキを見たときにな、そういえば諜報系の授業で傷とタトゥーを隠す補習授業があったことを思い出してな。そん時だ」
「なんだ、じゃあオレの言葉のせいじゃないんじゃん。あの授業はさ、見えるとこにタトゥーある奴は必須なんだ。普通のやつには必要ないから知らないと思ったんだけどな」
「馬鹿野郎!失言したのは事実だろうが。あれで確信したんだよ。しっかりしやがれSeeDさんよ」
サイファーはゼルに活を入れるように一喝すると、一呼吸おいて話を続けた。
「それで?」
「それでって?」
「お前俺に惚れてるとか言ってたよな?」
得意げにその言葉を口にするサイファーに、ゼルは無言で視線を逸らした。
「……」
「どうなんだ、ん?俺は『エクセル』からしか聞いてねえぞ」
答えが分かり切っているサイファーは、もういつもの自信に溢れたサイファーに戻っていて、とてもじゃないがいつものゼルでは逃げられそうもなかった。
「うるせえな!そうだよ好きんなっちまったんだよ!知ってるくせに何度も言わせんなよ!」
ベッドから体を起こしてそう吠えたゼルを、今度はサイファーが押し倒した。
「もう一回やろうぜ。今度は『ゼル』とヤりてえ」
そう言って、わざと舌なめずりをするポーズを取った。
サイファーは再びうーうー言い始めたゼルの首筋に舌を這わした。
すっかりサイファーに開発されてしまったゼルが、再び訪れた快感の予兆にぶるりと震える。
体はすっかり馴染んだサイファーを受け入れて、次々と繰り出されるキスに陥落寸前になっていく。
「ああ、そうだ。イくときお前の名前を呼んでも良いか?」
その時、ゼルの体から顔を上げたサイファーが、ニヤニヤしつつ仕返しとばかりにゼルの耳元で囁いた。
自分が言い放った覚えのある台詞に、ゼルが羞恥に目を見開く。
「アンタのそういうとこだいっきらいだぜ!」
これから与えられる快楽を想像して、ゼルは真っ赤になってそう叫んだ。
おわり
ここまでおつき合いありがとうございました!
近日中に小話欄にまとめたいと思っておりますので、今度はすべてを知っている仕掛け人のゼルの視点で、どうぞ今一度読んでお楽しみいただければと思います。
また、作品に出てくるオリキャラのエクセル【xell】は、【zell】のドイツ語バージョンからいただきました。
ドイツ語ではzellは、英語のcell(細胞)と同じ意味になってしまうため、xellの表記なになっているんだそうです。読み方はゼルで英語表記と同じです。
xellってなんか格好いいですよね。おしゃれな名前の多いスク工ニっぽい感じがします。
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