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サイファーとはしばらく会わないようにしよう。
気持ちが落ち着いたら、改めてサイファーと話をしよう。
これが悩んだ末に俺が出した結論だ。
幸いにも昼間は他人のように扱われてるし(実際そうなんだけど)、近づかなければ大丈夫の筈だ。
そう思っていたんだけど、俺に新たな任務が飛び込んで来た。
セルフィの代わりにトラビアガーデンへの派遣で、1ヶ月の中期任務だ。
結局あれ以来サイファーと会うこともないまま、俺はトラビアへと出発した。
ガーデンでは格闘術の指導なんかをメインに、SeeDとしての心構えだとか、任務の臨み方なんかも指導してきた。
そう、SeeD試験が迫ってきているのだ。
そうしてバラムガーデンに帰ってきた時には、もう試験前日になっていた。
学園長に報告した時に側にいたキスティスから聞いた所によると、アーヴァインが候補生として試験を受けられるということだった。(やったなアーヴァイン!)
だが次に続いた名前に、俺はゴクリとつばを飲み込んだ。
サイファー。
あいつも試験を受けるんだそうだ。
そんな事、一言も言ってなかった。(言う必要はねぇんだけどよ)
あいつとの距離を感じてしまう。
いや、距離を置こうとしてんだから…これでいいのだ。
翌日、そわそわしながら合格発表の校内放送を待っていると、無事アーヴァインの名前が呼ばれた。俺の隣で一緒に放送を聞いていたセルフィも飛び跳ねて喜んでいる。
セルフィから、合格祝いしなくちゃやね!と弾む声で提案された俺は、もちろんだぜと二つ返事で応えた。
まだ放送は続いてたみたいだけど、セルフィの話しに遮られて、以降はもう聞こえていなかった。
「アーヴァイン!」
俺はホールで人に囲まれているアーヴァインに声を掛けた。
辺りには賑やかな音楽が響き、多くのSeeD達がそれに合わせて踊っている。
就任パーティーが開催されているのだ。
アーヴァインはこちらに気付くと、まわりにちょっと失礼、と声を掛けながら俺の方へと抜けてきてくれた。
「おめでとう!やったな!」
「ま、本気を出せばこんなもんさ」
アーヴァインはウインクをしながらそう言うと、何か飲もうよとドリンクテーブルの方へと誘われる。
SeeD服を着るアーヴァインってのは不思議な感じで、一瞬反応が遅れちまったけど、直ぐに彼の後を追った。
ドリンクテーブル(飲み放題なんだぜ!)からアルコールを取ると、近くにいたアーヴァインのファンの子達が近寄ってきた。
皆で乾杯して、アーヴァインに試験の様子を聞きながらグラスを傾ける。
ほんのりアルコールも入って、会話も弾んで笑いあって、すげえ楽しい時間を過ごしてたと思う。
「それで、その時僕がねーー」
話をしていたアーヴァインが急に言葉の途中で話をやめてホールの方を見つめだした。
俺や女の子達は、どうしたのかとその視線の先をたどって同じようにホールの方を見る。
するとサイファーがすごい形相をしてこちらに近づいてきているのが見えた。
何事かと思う暇もなく、真っ直ぐにここへ来たサイファーは、アーヴァインと女の子達を睨みつけると、すごい力で俺の腕を引っ張った。
「おい、行くぞチキン野郎」
そう言って、俺を引きずる勢いで歩き出した。
「サイファー!何すんだ、離せよ!!」
俺は抵抗したけど、完全に虚を突かれた事もあって為す術なしに引きずられていった。
ようやく腕を放されたと辺りを見回せば、そこはサイファーの部屋だった。
急に暗い部屋に放り込まれたから、まだ目が慣れてなくて辺りがよく見えない。
恐る恐る立ち上がると、目の前にサイファーがいるのがぼんやりと見える。
SeeD服の金属装飾が暗い中で唯一光を弾いて輝いている。
俺が何かを言おうとするその前に、後ろに突き飛ばされた。
衝撃を覚悟するが、マットレスが俺の体を受け止めた。
ベッドへと突き倒されたのだ。
そうして、間を置かずサイファーがのし掛かってくる。
手早く俺のSeeD服をはだけさせたサイファーは、俺の首元を熱い舌で舐めだした。
鎖骨の辺りから、顎まで舐め上げられると、ゾワリと体が反応する。
「何なんだよっ…!」
このままではまずい。危険な予感に、俺は身を捩って抵抗を始める。
だが、爛々と燃えさかるサイファーの瞳に
思わずおののく。
そうこうしている間にも、サイファーの侵攻は止まらない。
俺の手をねじり上げて、ベルトを引き抜き、スラックスと下着を取り去って足を割り開く。
アルコールが入っている俺は、大した抵抗もできぬままサイファーの前に性器を晒した。
強い力で何度も俺の性器を嬲り、まだ解れきっていない後ろに無理矢理進入される。
痛みに思わず大きな声を上げそうになったが、サイファーの手に口を覆われる。
ドアの外から、人の話し声が聞こえてくる。
今日はパーティーのせいで消灯が遅いから、まだ寮生の往来があるのだ。
声が通りすぎたのを確認すると、あいつは再び俺を蹂躙しだす。
SeeD服の鎖がサイファーが動く度に金属音を響かせる。
あいつは、服だって脱いでねぇんだ。
こんな。
こんなセックスじゃなかった。
初めての時だって、あいつは加減してくれた。
優しかったし、すげえ真面目だった。
いつだって気持ちよくしてくれたのに。
なんでだよ。
セックスフレンドだからか?
気分次第かよ。
もう慣れたからいいだろってことかよ。
アーヴァインの放った『気持ちが無い』という言葉が、何度も俺に突き刺さる。
俺は揺すられる痛みに耐えながら、キツく瞑っていた目を開いた。
眉間に皺を寄せたサイファーが、息を弾ませながら真っ直ぐに俺を見ていた。
ちくしょう。
なんでこんなレイプ紛いにされてるときにこんなこと思うんだよ。
俺は完全におかしくなっちまってるんだ。
避けるなんて、もう出来やしねえ。
サイファー…
ああ…すげえ格好いいな。
SeeD服、めちゃくちゃ似合ってる。
好きだ。
その顔も、傷も、ムカつくとこも。ほんとは結構良い奴なとこも。
自然と涙が溢れて、止まらなかった。
その晩、賑やかな音楽を遠くに聞きながら、俺達は声を殺して交じり合った。
つづく
余談ですが、サイファーは前回ゼルと同室になったときの演習でSeeD受験の単位取ってる設定です。
みんながパーティー楽しんでる時に、その裏で、そっちのけで夢中でセックスするのエロいよな~と思って入れました!書くの楽しかった…。
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拍手押してくださった方ありがとうございます~!!
やる気でます!頑張ります~!!