チキン調教師の朝は早い。

  • サイファーという男

    こんにちは!
    サイファーについて色々考えてるんですが、なかなか掴みきれず難しいです。
    試験の後拍手をした事や、風神雷神に慕われてるところ、低学年の子のためにひらがなで注意書きする所、リノアを助けようと奮闘する所なんかは良い人ですよね。でも、結構簡単にガーデンにミサイル落とすし、スコールにも卑怯な手で戦ったり、リノアを差し出す所なんかはやな奴ですよね。
    サイファーの良いことをする所と、悪い事をするところの境界線がいまいち分からないんですよね。
    夢のためなら、悪いことしても構わないタイプ?追い詰められると悪いことやってしまうタイプ?
    その辺り(価値観)がよく分からなくて、サイファー視点で書くときにどうして良いかいつも迷ってしまいます。
    早く掴みきりたいです…!


    さて以下小話です!
    今回はちょっと違った感じのサイゼルにしてみました。ゼルがちょっとしか出てきません&イチャイチャシーンはありませんが、それでもOKの方はどうぞご覧ください!



    夜の静まりかえったガーデンに、密やかにヒールの足音が響く。
    消灯された廊下を、誰にも見られないよう、早足で歩く。
    髪も結い直したし、装備のチェックもした。
    戦いの準備はできている。
    目的の扉の前へたどり着くと、脇のプレートに目を遣る。
    『サイファー・アルマシー』と記載があった。
    間違いなく彼の寮部屋がここであることを確かめると、事務室から借りたマスターキーをカードリーダーへ差し込んだ。
    滑り込むように室内に進入すると、暗い室内を静かに進む。
    目的の男は、ベッドで眠っているようだ。
    盛り上がった布団からサイファーの金髪が除いている。
    ひっそりと笑みを浮かべると、その男へ近づいて布団をめくった。

    「よく四天王を倒したわ……ちょっとやだ、ゼル?!サイファー!?」

    「あ…?センセイ…?」

    私、キスティス・トゥリープは驚いて大きな声を上げてしまった。
    何も身につけていないサイファーとゼルがベッドの中で一緒に眠っていたのだ。
    慌てて後ろを向いて心を落ち着かせる。
    その声に、眠りから覚めたサイファーがむくりと起き出した。

    「なんでアンタがここにいるんだ?」

    「いいから、下を履いて頂戴!」

    そう声に出すのがやっとだった。


    サイファーが衣服を着たとこで、改めて目的の相手に向き直った。

    「これはどういうことなの?」

    「そりゃこっちの台詞だ」

    それはその通りだと納得すると、降参とばかりに小さく両手を上げて話を続けた。

    「私はカードゲームをしに来たのよ」

    「カードだと?まさか…」

    「そう、CC団首領 カードマスターキング
    その正体は私、キスティス・トゥリープ」

    そう高らかに宣言すると、サイファーは驚いたように目を開いた。

    「なんだけど、ごめんなさい出直すわ」

    そう言って、深くため息をはいた。
    どう見ても自分はこの場に相応しくない。
    だって、この状況って…そういうことでしょ?
    よく見たら辺りに2人の急いで脱いだであろう服が散乱してるし…。
    でもサイファーから出た言葉は意外なものだった。

    「いや、気にすんな。やろうぜ」

    今度は私が驚いたけど、やっぱりちょっと居心地は悪いわ。
    だってまだベッドで眠るゼルが、もし起きて来ちゃったら、またひと騒動になっちゃうし。
    彼の方をちらりと見ながら微妙な顔をしたことで、サイファーは意味を悟ったのか、
    「こいつはこうなったら何やっても起きねえから心配すんな」と言ってテーブルと椅子を用意しだす。

    「逃げんのか?センセイ。いや、キングさんよ」

    そう言って、いつものように椅子に浅く腰掛けて、私が座るのを待っている。
    そこまで言われてはキングの名が廃るわ。

    「そう…。分かったわ、じゃあ勝負よ!」

    そう言って、眠るゼルを傍目に私たちの戦いが始まった。


    ■■■

    「それにしても、全然気付かなかったわ」

    私が置いたカードを見て一手目を考慮するサイファーに、ため息混じりに言葉をこぼす。
    サイファーは片眉を上げただけで、特に反応はしなかった。
    この男とゼルがまさかそんな関係にあったなんて。水と油のようだと思っていたのに。
    私の中で、持ち前の探求心が疼き出す。分からない事って、そのままにするの気持ち悪いわよね?

    「ねえ、いつゼルとつきあったの?」

    できるだけ明るくそう聞いてみる。
    2人のことを否定するつもりはないのだ。

    「何でそんな事話さなきゃなんねえんだ」

    サイファーはこちらを見ずにそう言って、カードを場に出した。

    「消灯を過ぎて自室外にいるのは校則違反って知ってるわよね元風紀委員さん?報告されたいの?」

    今度は教師の声でそう言うと、ゆらりと顔を上げたサイファーが恨めしそうに口を開く。

    「……恐ろしい女だなてめえはよ」

    そう言って椅子の背にガタリと背中を預けた。


    つづく


    最近キスティス書いてないな~と思いまして登場させました。
    当時CC団のカードイベントをプレイしたとき、男の人の部屋に夜登場するキスティスを見て、色んな意味で事故が起こりそうだ…と思ったので、そんな感じのネタにしてみました!
    今回のテーマはキスティスでサイファーをイジろう!です。

    次回で完結の予定です。




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    拍手を押して下さった方ありがとうございます!
    また新しいお話始めましたので、どうぞお楽しみ下さいませ~!





    どみ様コメントありがとうございます!

    お気に召していただいたようでとても嬉しいです!書いてる私は楽しいのですが、読んで下さってる方はどうなんだろうといつも思っているので、ドキドキして貰えていて嬉しいです!
    言い合いのシーン私も気に入っています!
    今回のゼルならああいう反応の仕方もいいかなと!サイファーにツッコミ入れるみたいな感じで面白いかなと思います。
    こちらこそ、いつも素敵な作品をありがとうございます!
    私も読むのをとっても楽しみにしています!!
    時間見つけてまだまだ色々書こうと思いますので、また遊びに来てやって下さいませ~!
    ご感想頂きありがとうございました!

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