チキン調教師の朝は早い。

  • 小話つづきです

    こんにちは!
    なんとか更新ペースをあげていきたいにょるです。
    という訳で小話続きです。



    ■■■

    昼食時に賑わう食堂で、漸くパンにありつけた俺は意気揚々とそれを齧った。
    隣に座る友人達が、今までどれだけ頑張っても俺がパンを買えなかった事を面白おかしくはやし立てている。
    いつもの日常だ。
    その時、食堂にサイファーと共に風神雷神が入ってくるのが見えた。
    ガーデンに復帰したサイファーと共に、『SeeDになってガーデンと社会に貢献する』のが彼らに与えられた使命だ。
    もう風紀委員ではないけど、サイファーは相変わらず横柄で、まだみんなは彼を恐れてるみたいだ。(まあそうだろうな)
    だが投げられる様々な視線にもまったく動じず、サイファーは椅子へと腰掛けた。
    そんなサイファーに、風神が何かを話しかけている。
    それに短い言葉で答えるサイファーの横顔が、あの日の夜のサイファーの横顔と重なって、俺は不思議な気持ちになる。

    いつもの日常って言ったけど、違うこともある。
    実はガーデンに帰ってきてからも、俺とサイファーの関係は続いている。
    訓練施設で汗を流した後、部屋に戻ろうとしてたんだけど、同じくバトル後で熱を持て余したアイツに声を掛けられたんだ。
    俺も抜いてから寝ようと思ってたし、例の借りの事もあるし、拒否はしなかった。(まあ気持ちいいしよ)
    そうした事が何回もあって、まだ俺達は抜き合いの延長のような関係を続けている。

    「おい、チキン野郎」
    そう言って目を細めて誘うのが、あいつのお決まりの合図だ。
    何度か誘われたとき、何で男の俺なんだ?女の子の方がいいんじゃねえ?って気になってた事を聞いてみたんだけど、『不特定多数と関係があるような尻の軽い女から変なもん移されたくねえ』んだとさ。
    ああ、あと『格闘家は締まりが良い』とか失礼なことまで言われた。(いや、誉められてんのか?)
    どちらにしろ俺はあいつにとって都合のいい抜き相手って訳だ。
    だがそれは夜の話で、昼のあいつはガーデンで顔を合わせても、我関せずとばかりに俺のことは知らんふりしやがる。きっちり引かれたラインが俺の目にも見えた。
    俺は正直、顔見んの恥ずかしいんだけどよ。(あんまそういう顔はしないようにしてんだけどな。カッコ悪いし)

    そこまで思考を進めた時、急にどこからか視線を感じた。
    俺は急いで辺りをキョロキョロと見回した。が、特に気になる奴は居なかった。
    逆にサイファーに気を取られて忘れていた、念願のパンを手元に発見する。
    サイファーの事よりこっちが大事だったぜ!
    俺は皆にからかわれながら、再びパンにかじり付いた。


    ■■■


    普段から静かな図書室が、更に静かになっているのを感じる。
    理由は分かっている。『俺』がいるからだ。
    一度は敵対したガーデンに戻ったんだからな。以前より過剰に扱われる事もやむを得ないだろう。
    部屋から出ていく奴も何人かいて、図書室はほぼ無人になる。
    まあそんな奴らのことなんざどうでも良い。
    俺は借りていた本を返却用の棚へと戻すと、新しい本を借りるべく本棚を見回した。
    いくつか気になるタイトルを手に取り、本のページをめくってどれを借りるかを検討する。
    その時、図書室の受付の方から女子の話し声が聞こえてきた。
    数人が一応声を潜めて話しているようだが、辺りが静かなので筒抜け状態だ。

    「今度入荷する本どれだっけ?」

    図書委員か。
    俺は無視して続きをめくろうと手を伸ばした。

    「これこれ。あ、ねえゼルの好みのタイプ聞いた?」

    だが急に飛び出した聞き覚えのある名前に、俺はページをめくる手を止める。

    「結局わかんなかったんだよね~」
    「ゼルさん、本当につき合ってる方はいないのかしら」
    「ゼルだよ?いないでしょ~」

    寝てる男はいるけどな。
    俺は鼻で嗤って口の端を引き上げる。
    そうか、あいつに惚れてる奴がいるのか。
    妙な優越感が沸き起こる。
    好みのタイプだと?
    俺はあいつがどんな声でイくかも知ってるぜ?
    感じる顔も知ってるし、どこが感じるかも知ってる。
    あいつの中がどれだけ熱くてキツいかも知ってる。
    俺はお前が知らないあいつの秘密をしってるぜ?

    そこまで考えてハッと我に返った。
    チキン野郎の事なんざどうでもいい。
    図書室から出ていった雑魚共と同じだ。

    いくつか新しい本を借りた俺は、その足で指揮官室へと足を運んだ。
    お偉いスコール様が直々に俺の単位取得
    状況を見てくださるとのことで、わざわざ出向いてやった次第だ。
    ノックせずに部屋に入ると、ソファに腰掛けていたスコールが俺に気づいて顔を上げた。
    そうして「入室するときはノックをしろ」と言い掛けて固まった。
    普段は無表情を張り付けたような顔のスコールが、俺を見たとたんギョッとした顔をした。
    「気味が悪い」
    第一声がこれだ。
    俺がどういう意味だと凄む。

    「何ニヤついてるんだ。良いことでもあったのか?」

    そう言って、向かいに座るよう促された。
    記憶に無いことを言われて、俺は不機嫌になる。
    これ以上めんどくさいことを言われては敵わない。
    わざと眉間にしわを寄せて強面を作ると、抱えていた本をローテーブルに置いて
    ソファに腰掛けた。
    すると、それを見ていたスコールが再びギョッとして、固まった。

    「それは何だ。いや、ケチをつける訳じゃないが」

    そう言って、テーブルの上の本に目をやった。
    何のことだと俺もそちらに目を向けて気付く。
    なんだこりゃ恋愛小説じゃねえか!
    しかも表紙にピンクのハートが飛んでやがる。
    急いで顔を上げて目の前をスコールを見ると、不思議な生き物を見るような目でこちらを見ていた。
    顔に『大丈夫か…?』と書いてあるのが見える。
    俺は自分の無意識ぶりに驚く。
    そんなに気がそぞろだったか?
    これ以上奇異の目で見られるのは勘弁願いたい。
    スコールの視線を無視して、早く始めろ!と怒鳴った。


    つづく



    スコールが出てくる話が好きでつい出してしまいます。





    ーーーーーーーーーー
    拍手ありがとうございます~!!
    力になります。更新早めにできるよう頑張ります!

  • 女神の騎士、サイファー!

    こんにちは!
    早速オペオム話で恐縮ですが、また皇帝のストーリーでいちゃついてましたね~!
    非情の罠というタイトルで、サイファーがゼルに『俺の夢をバカにした!』と急に食ってかかるんですが、それは仲間割れをたくらむFF2のヴィラン、皇帝の罠だった…という内容で、白目むきましたわ…。
    スタッ腐いるやろ…。

    ちょっと気になる点もありまして、
    サイファーが人語を話せるモンスター・ラミアに「メガミの騎士になりたいなんて馬鹿だろ」的なことを言われるんですが、女神の騎士とはいったい…?
    魔女の騎士の打ち間違い(オペオムスタッフは良くある)かと思ったんですが、2日経っても修正入らないところをみるに、女神で正解って事なんですよね…。
    ラミアが、サイファーの夢を良く知らなくて女神と間違えている設定なのかもしれませんが、特に何もその辺り触れられなかったので謎です。

    もしやスタッ腐から込められたメッセージがあるのでは…!?と思いましたのでちょっと深堀してみます。

    女神とは何か?
    女の神の総称ですが、具体的に誰を差しているのでしょうか。
    参考にするのは、サイファーの愛剣、ハイペリオンです。
    というのも、このハイペリオンはもともとギリシア神話の神の事なんですよね。
    正式名はヒュペリオン、太陽神の男神で「高みを行く者」の意味があります。
    まさにサイファーの事なんですよね。

    どうですか?なんか繋がる感じがしませんか??
    そして彼には妻が居て、その名はテイアー。
    この名前は知らなかったので調べてみると、
    ギリシャ神話の女神。
    太陽神ヒュペリオン(ハイペリオン)の妻にして月の女神。
    その名は「神的な女」の意。
    知識を得ることに対して貪欲であるとされる。

    また別の記事ですと、

    その名は「女神」「神聖」を意味し、「エウリファエッサ(広く輝く)」の異名を持つ』

    広く輝く…?知識に貪欲…?

    ゼル事かな?(サイゼル脳)
    つまり、サイファーは魔女の騎士を廃業して、革命家も廃業して、女神【ゼル】の騎士になるのが夢ということでよろしいでしょうか?

    結論:ラミアはサイゼル腐女子


    以下、小話続きです!




    「し、知らねえよそんなもん」

    俺は当初の予定通り、知らぬふりを決めこんだ。
    そうしてサイファーに背を向けて、寝たふりもしてみる。

    「そうかそうか。じゃあ教えてやるが、この部屋のルームメイトとはな…縛りプレイすんのが決まりだ」

    恐ろしいことに、『このロープでな』と言って本当にロープを出してきたのだ。
    どう見てもS気質のあるサイファーにそんな事をされては…たまらない。
    俺は、思わず飛び起きて叫んでしまった。

    「嘘つくんじゃねえよ!ただ抜き合いするだけだろ!」

    「……やっぱり知ってやがったか」

    サイファーはそう言って、もうお役御免だとばかりに手からロープをほおり投げた。
    よく見るとそれはただのランドリーロープで(部屋に常備されてるやつだ)、俺は見事にサイファーの誘導尋問に引っかかってしまったのだった。

    「~~っ!あんたと抜き合いなんて無理だろマジで!」

    「ああ、SeeD様は一般の学生とは抜き合いしたくないってことか?」

    「そんな事言ってねーよ!『あんた』とはって言ってんだろ!」

    「お前はイヤな奴、そういうことでいいんだな?」

    どこかで聞いた台詞まで使ってくる。

    「分かったよ!やるよ!やりゃあいいんだろ畜生!」

    こうなったら破れかぶれだ。
    ちょっと擦りあってお終いなんだ。
    ここで揉める方がまずいと俺の頭が最終判断を下す。

    「ククク…ならとっとと下脱げ」

    サイファーはそう言って俺の下半身を顎でしゃくってみせる。

    やるならもう早く終わらせたい。
    俺はズボンと下着を一気に下ろして局部を解放した。

    「へぇ…小せえから見せたくなくて騒いでた訳じゃねえんだな」

    サイファーが俺の局部を観察しながらそんな失礼なことを言い放った。

    「あ・ん・だ・と~?」

    いちいち頭にくるぜ。
    普通だっつーの!(多分だけどな)

    「お前、自分で擦ってみろ」
    「なっ…!」
    「そのくらいやるよなあ?」

    サイファーが嫌な笑顔で言ってのける。
    嘘をついた手前、断ることもできず渋々下肢に手を沿わせた。

    ゆっくりと刺激すると、未だ交感神経が高ぶる体は簡単に熱くなる。
    俺のそこは、あっという間に立ち上がってしまった。

    チラリとサイファーを覗き見ると、ニヤニヤとこちらを見ている。
    そうして、『続けろ』とそのにやけた口元から発せられた。

    いくらか擦ると、俺のそこは限界近くになった。
    このままでは抜き合いではなく、俺のオナニー公開プレイで終わってしまう。
    そろそろ頃合いだろうと、サイファーの下肢に手をやって衣類をそっと脱がせた。
    抵抗されるかと思ったが、意外にも素直にサイファーはそれに従う。
    すると目の前にサイファーのゆるく立ち上がったものが現れた。
    知り合いの(しかも幼なじみだしよ)局部、それも天敵サイファーのそれを見るなんて、なんだか気恥ずかしい。
    しかも自分のより大きいそれに少し悔しさも感じる(男のサガだ仕方ねえ)
    俺はサイファーのそこにそっと手を伸ばした…のだがそれはサイファーに遮られた。
    非難を込めてサイファーを見る。


    「お前は俺に返さなきゃいけねえ『借り』があるよなぁ?」

    サイファーがおどけたようにそう言い放った。
    ドクリ、と俺の心臓が大きく脈打つ。
    何のことを言われているのか分からないほど間抜けではない。
    あの時のことを、言われたのだ。
    ティンバーのTV局で、サイファーの所属をバラしてしまった、あの時のことを。
    火照っていた体からサーっと血の気が引く。

    「横になれ」

    サイファーの声がしん…とした部屋に響いて、そうして俺の視界は急に反転した。
    サイファーに押し倒されたのだ。

    「…え…?」

    何が起こったのか混乱した頭ではよく分からない。

    「抜き合いなんてダルいことできるか。入れるぞ」

    サイファーから、信じられない言葉が発せられた。
    そうして、俺の足をぐっと広げてくる。

    抵抗しようと思った。
    だが、先ほどのサイファーの言葉が頭の中で鳴り響く。
    俺のせいで、サイファーは。

    もし、TV局で魔女の介入がなかったら…?
    サイファーは本当に処刑されていただろう。

    そう思ったら、抵抗はできなかった。
    俺は静かに頷いて、サイファーの進入を許した。

    息の弾むサイファーに揺すられながら、俺はずっと頭に浮かんでいた疑問をぶつけた。

    「なんで…俺と…こんなことを…?」

    「お前、他の奴と寝たこと無えだろ。そういうやつは ”安全” だからな。ガキもできねえしよ」

    ”安全”だから。
    そうか。そうだよな。
    何か特別な理由を期待した俺がおかしかったのだ。
    幸いなことに、体の相性は良かったようで、苦痛はなかった。
    むしろあれだけ頭にくる軽口を叩いていたにも関わらず、最中のサイファーは至ってまともで、初めての俺に対して手加減すらしていたように思う。
    凄く意外で、最中のサイファーの真面目な顔が頭にこびり付いてる。
    熱く火照った体に触れる手も、濡れたそこを擦る動きも、優しかった。(ロ~マンティックな男ってのはマジだぜ)
    サイファーも俺も、きちんと気持ちよくなって、出し切った。
    ただ、抜き合いの延長だからだろう。キスはされなかった。(されても困るけど)

    そうして結局、2泊3日の演習の為、翌日の夜もサイファーと体を合わせて、アイツと熱を分かち合った。


    つづく


    本当はエロ中も鬼畜サイファーになる予定でしたが、どうしても私がゼルを手酷く扱うのに抵抗があって書けぬっ…!
    でも読むのは好きっ!(ジレンマ)
    結局は今回も甘いファーになってしまいそうです…。



    ーーーーーーーーーーーーーーー
    拍手ありがとうございます!!
    モチベーションあがります!頑張ります~!
  • 再び『しろひよ3』に参加させていただきました~!

    あけましておめでとうございます。
    新年早々、財布を落としバタバタ&体調を崩しまして早くも今年の運勢は波乱に満ちそうです…。
    皆様は良い年になることを願ってます…!

    さて別の話になりますが、サイゼル企画の「しろくまのひよこパンツ第3回」に
    参加させていただきましたのでご紹介させていただきます。
    今回はギャグ+ちょっといい感じのサイゼルという感じになっております。
    前半4コマ漫画で後半その続きのストーリーになっています。計6Pです。
    久しぶりにキスシーン描きまして、ああ…サイゼルのチューいいわぁ…となりました。
    今回もとっても楽しく描くことが出来ました。
    どうしても年末年始しか描く時間が無かったので短めになってしまったのが心残りです。

    こんな感じのです。


    詳細は主催のくぅ様のピクシブもしくはツイッターよりご確認くださいませ!

    www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=76954303
    くぅ様 pixivのサイゼル企画詳細へ
    (アドレスバーにコピペでどうぞ)



    私事ですが、イラストや漫画をもっと描きたいなあと思うんですが、私生活の関係であと2年はイラスト描くの難しいのでもやもやしてます。
    長期休暇に何枚かかけるか…?という具合です。
    最近手癖で描いてるので、もう一回骨格勉強しなおして絵柄も含めてアップグレードしたいんですが、当分はこのもやもやが続きそうです。

    さて話は変わりまして、体調を崩している間に考えた小話をまた書いていきたいと思います。
    今回は普段とは違って、サイゼルがお互いにあまり良く思っておらず、体の関係から始まるお話です。
    あまりガッツリかくつもりはありませんが、次回からR-18になります。
    ゼルが名前無しモブとちょっと体の関係ありです。
    中編いくかいかないかくらいになる予定です。
    上記よければご覧ください。



    バラムの外れの演習場。
    そう聞けば、バラムガーデンに在籍するハイティーンの男子生徒なら、思い当たる暗黙の了解がある。
    その演習場はバラムガーデンが屋外演習用に用意した施設でモンスター相手の戦闘や、屋外の潜伏ミッションなんかが練習できる施設で、側に宿泊用の結構立派な建物があるんだ。
    どうもホテルの居抜きらしく、部屋の感じは清潔だけど、ガーデンっぽくないよなというのが多くの生徒の感想だ。
    そこは元ホテル(多分な)ってだけあって、いろんな部屋があるんだけど、その中にダブルベッドの2人部屋があるんだ。
    部屋はリフォームされていて浴室がない。
    共同風呂があるだけで(だけどすげー広いんだぜ)、残念ながらトイレも無い。廊下の共同トイレを使用しなきゃなんねえ。
    つまりどういうことかっていうと、プライベートが全然無いんだわ。
    そんで、俺たちは戦闘で興奮したまま部屋に戻るだろ?するとどうなるか。
    そりゃ、シたくなる。
    高ぶった体を慰めたい。
    個室が充てられた運のいい奴はいいんだ。
    だけどダブルベッドの部屋を充てられた奴は…お互いにルームメイトに見られながら自慰しなきゃいけねえっていう悲しい事が起こるわけだ。
    それでいつからか、ダブルベッドの部屋が充てられた時には暗黙の了解ができた。
    『ルームメイトと抜き合いをする』
    ってやつだ。
    たまに本番までいく奴もいるとか(マジかよ)。

    それで、俺、ゼル=ディンは今回の演習でこの部屋に当たっちまったって訳。
    実は初めてじゃなくてさ、前にも数回あるんだ。
    それで確信したんだけど、この部屋絶対小柄な奴が選ばれてるわ。(認めたくねーけどな)
    前に当たったルームメイト達もみんな小柄な奴だったからな。イラつくぜ!
    まあ理屈考えりゃ、ダブルベッドを少しでも広く使おうとすりゃあそういう采配になるのは分かるんだけどさ。やっぱムカつく。
    それ以前に、SeeDは個室を割り当てられるはずなのに不思議だ。
    前回はまだ俺が学生だったから分かるけど、今回は絶対個室だと思ったんだけどな。
    まあ、演習の最初に全員でする合同ミーティングの時に、前に一緒の部屋になった奴がいたから今回もあいつと同室なのは間違いない。
    お互い分かってるから気も使わないし、その…前シた時も気持ち良かったし。
    俺は軽い気持ちで、充てられた部屋へと向かった。
    荷物はガーデンから演習前に直接部屋へと運ばれてるから、手ぶらで楽なもんだ。
    俺は訓練で程良く疲れた体をマッサージしながら、部屋のノブへと手を掛けた。
    ガチャリと開いた先には人の気配があった。
    既にルームメイトが来ていたのだ。

    「あ?」

    サイファーがいた。

    「あ、わりい部屋間違えた」

    俺はそっとドアを閉めた。
    魔女戦以降、ガーデンに戻ってきたサイファーとは未だにぎこちない関係が続いている。
    今回の演習にも参加してるのはミーティングで知ってたけど、特に関わり無かったし。
    俺は急いで配られた用紙を見直した。部屋番号が書かれたその紙には、317号室と書いてある。
    目の前のドアを見る。

    「合ってる…」

    ということは、答えは一つだ。
    俺は再びドアを空けると、コートを脱いでいたサイファーに声を掛けた。

    「あー…アンタ部屋間違えてるぜ」

    そうして、今度は自信満々に部屋に入った。

    「お前この部屋か?」

    「ああ、ここ317だから」

    「へえ…」

    「荷物まだ解いてなくて良かったな。」

    「ククク…こいつは面白いことになった」

    会話が噛み合わないサイファーにイラつきながら、言外に早く出てけよというオーラを出す。
    だがそんなものに怯むサイファーではない。

    「奇遇だな俺もこの部屋だ。よろしくな、チキン野郎」

    そう言ってニヤリと笑ったのだ。

    ■■■

    ベッドを占領するサイファーと距離を置くため、少し離れた椅子に腰掛けながらチラリチラリとサイファーを盗み見る。

    なんで俺がSeeDなのにこの部屋を充てられたのかようやく理解できた。
    サイファーと同室に耐えられる学生がいないってことだろこれ!
    俺は一応幼なじみだし、立場は未だ学生のサイファーより上だし、デカいこいつと(絶対認めたくねーけど)小柄な俺なら丁度良いって訳だ。

    サイファーはベッドに横になって本を読んでる。既にラフな格好に着替えているから、風呂は済んでるって感じだ。
    俺は部屋の空気に耐えられず、こちらをチラリともしないサイファーに一応「シャワー行ってくるわ」と声を掛けると、そそくさと部屋を後にした。

    シャワーを浴びるとさっきまでの緊張や疲れがするりと落ちて、鈍っていた頭が冴えていく。
    そうして、覚えのある感覚が下半身から沸き上がってくる。
    そういやあサイファーはあの部屋の暗黙の了解を知ってるんだろうか?
    どっちにしても俺が知らない振りして、とっとと寝ちまえば何にも起こらねえ。
    熱くなってきた体は…気合いで押さえ込むしかない。心頭滅却すればってやつだ。
    そうと決まれば話は早い。
    今度は頭から水をかぶると、勢いよく風呂場を後にした。

    部屋に戻っても、サイファーはまだベッドで本を読んでいた。意外と読書家なのか。
    だけど、ど真ん中に居座られるのはいただけない。明日も演習があるのに、床で寝るのはごめんだ。

    「なあ、ちょっと寄ってくれ、俺もう寝るからさ」

    サイファーの正面に立ってそう言うと、ようやくこちらへ視線を寄越した。
    そうして、無言で俺の寝るスペースを空けてくれる。
    マジか。嫌みの一つや二つはあるかと思ったから意外だった。

    「サンキューな」

    そう言ってベッドへと入ると、サイファーが居たからか既に少し暖かい。
    もしかして暖めてくれてたとか?いや、まさかな。
    さっきの行動もあって、意外と良い奴なのかと油断していた俺に、恐れていた言葉が掛けられる。

    「おい、お前この部屋のルール知ってんだろ」

    恐る恐るサイファーを振り返ると、本は既にベッドサイドに置かれていて、片肘をついたあいつがこっちを見ていた。


    続きます


    今回の話は、できるだけ原作のサイファーとゼルの感じを出したいと思って書いております。
    普段の私のサイゼルはお互い大好きなので、その感じは今回は出さないよう挑戦していきたいと思います~!

    ________________

    拍手ありがとうございます!
    早めに更新できるよう頑張りますので、また遊びに来てくださいませ~!
  • サイファー誕生日おめでとう!

    こんにちは!
    すっかり年末になってしまいましたね。
    今はまた寄稿するための漫画を書いています。またこちらで紹介させていただきますね!

    さて、今年こそはとサイファーの誕生日に間に合わせようとしたんですが、悲しくも間に合わなかったので、ゼルも間に合わなかったという小話を書きました。
    私はいつも話が長くなっていってしまうので、要点のみで短く書く!というのを意識して書きました。
    少しでもお楽しみいただければ幸いです~!




    「悪い…任務延びちまって…」

    家に帰るなり、ゼルが開口一番そう言って申し訳なさそうに頭を掻いた。

    今日は12月26日。同居する二人の家に、サイファーの誕生日には帰ってこられるはずのゼルだったが、目当てのモンスターが見つからなかったせいで任務がしっかりと延長されてしまい、ついに帰宅の日はクリスマスまで飛び越えてしまった。

    家ですっかり年末の休暇に入っていたサイファーは、誕生日なんざ別に構わねえよ、と素っ気なく答える。

    「んなわけいくかよ!…といっても俺、時間なくてケーキもプレゼントも準備できてねえんだけどさ…」

    そう言って子犬のようにショボンとしてしまう。
    サイファーの誕生日を祝うんだと張り切って出かけていったのだ。
    すべてが駄目になってしまった悲しみはサイファーにも理解できた。

    「俺にプレゼントしたいのか?」

    サイファーは部屋の入り口でしょぼくれるゼルを見てそう声をかけた。

    「たりめえだろ!」

    ゼルはバッと顔を上げるとそう吠えて、だが急に何かに気づいたように赤くなる。

    「あ、ででもエロいのは無しだぞ!」

    焦ったようにそう言うと、サイファーの出方を伺っている。

    「そんなんじゃねえよ。まあいい、ともかく部屋に入れ」

    そう言ってゼルを座らせると、二人分のコーヒーを入れてゼルの前に戻ってきた。

    暖かなコーヒーにゼルがホッと一息着いたとき、サイファーが口を開いた。

    「お前の秘密をひとつ寄越せ」

    凛とした声が部屋に響いた。
    プレゼントのことを言われているんだとゼルはすぐに気がつく。

    「ひ、秘密ってなんだ?」

    「そりゃお前にしか分かんねえだろうが」

    「何でもいい。思いつかねえならお前のオナネタでもいいぜ?」

    「なっ!!そ、そんなもんねーよ!」

    「そこは嘘でも俺って言っとけよ…。まあいい。一緒に住んでたって秘密の一つや二つはあんだろうが」

    サイファーはそう言うと、じっとゼルを凝視した。
    見透かされるような視線にゼルは思わずたじろぐ。
    秘密は…ある。いくつもだ。でもサイファーには言いたくない。だからこそ秘密にしているのだ。
    でもこの男はそれすらも知りたいと言う。

    「アンタにとって嫌な話かもしれないぜ?」

    「構わねえよ」

    間髪入れずに返事が返ってくる。
    そこまで言うならと、ゼルは話し始めた。

    「先月だけど…俺告られたんだ」

    ゼルは思い切って言い切った。
    サイファーの眉間がピクリと動くが、口を挟む気はないらしい。
    続けろと視線が物語っている。

    「年下の奴で、お、男」

    ゼルが言いにくそうにモゴモゴと言葉を濁す。

    「あ、勿論断ったんだぜ!でもすげえ粘るやつでさ、アンタがいる事も知ってたんだけど引かなくて…」

    そう言葉を切ってゼルはサイファーを見た。
    ムッスリと顔に不機嫌を張り付けながら腕を組んでいる。
    体から『どうして言わなかった』というオーラがバシバシと出ているのが見えた。

    「だから言いたくなかったんだよ!」

    「何も言ってねえだろうが!」

    「言ってるって!顔が言ってる!」

    「生まれてこの方、傷以外はこういう顔なんだよ!それよりどうしたのか早く言え!」

    ゼルはサイファーの剣幕におびえながらも、続きを話し始めた。

    「サイファーなんかのどこがいいのかって。ゼルはもう我慢しなくていいんだって引かなくて…」

    ゼルがゴクリとつばを飲み込んだ。

    「だから俺、『確かにアイツは自分勝手だし気に入らないと無視するし、すぐ力で解決しようとするし、ちょっとしたことで怒るけどな…でもそういう嫌なとこも含めてサイファーらしさであって、そういうとこも好きなんだって』言ったら、嫌いなとこまで好きなんて言われたらもう手の出しようがないって言われてさ」

    早口でそう言い切ると、最後に諦めたみてえと付け加えた。
    そうしてチラリと…サイファーを見ると見たことのない不思議な顔をしていた。

    「サイファー…?」

    不安になってそっと名前を呼ぶと、サイファーと目があった。

    「貶されてんのか誉められてんのか分からなかったが…お前の気持ちは分かった。そんなに俺のことが好きだったって事もな。秘密、二つも貰っちまったな。」

    そういうと、コーヒーを机に置いて突然立ち上がった。

    「一つ返しとくぜ」

    ゼルの目の前まで来ると、突然ゼルへと口付けた。

    「決めたぜ。来年の誕生日もお前の秘密を貰う。これからもずっとだ」

    いつものサイファーに戻ったような笑みと共に恐ろしい宣言が下される。

    「最後には丸裸にしてやる。悪くない秘密だったぜ」

    おわり





    ーーーーーーーーーーーーー

    拍手押していただいた方ありがとうございます!
    とっても励みになります!
    良い年をお過ごしくださいませ~!
  • ゼルが美人?知ってました!

    こんにちは!
    気がつけばもう12月ですっかり寒くなりましたね~!

    オペオムもまったりやってますが、ディッシュイベのストーリーのゼルもまた凄かったですね…!
    セリスとライトニングと並んでゼルのいる画面で、新キャラのディシュに美人ぞろいとか言われるの何事かと思いました…!
    おかしいだろあそこで言っちゃうのは!!笑
    セリス(綺麗枠)ライトニング(格好いい枠)ゼル(可愛い枠)
    ってことなんですかね!?
    まあ2人に美人って言ったんでしょうけどそんなことは気にしない!
    前回に引き続き今回もおいしい役どころで、ストーリーではほんとゼル優遇されてると思います。

    話は変わりますが、ついにサイトにSSLを導入しました!
    その影響でこのブログと拍手は別ウインドウで表示されるようになりました。
    内容は特に変わっておりません。
    今後はこれでやっていきたいと思います!


    最後に小話続きです~!
    これで終わりです!




    ■■■


    「俺、その時気付いちまったんだ」

    ゼルはまるで当時のリノアと同じ顔でそう言った。

    「あの時の気持ちは、アンタのことを好きになった気持ちだったんだって」

    言外に全く気付かなかったという事が滲んでいた。
    それも当然で、性趣向がノーマルなゼルにとって、男、それも因縁のサイファーに対して自分が持ったものが恋愛感情だったなんて、まさか夢にも思わなかったのだ。

    「それで、それ以来アンタの事が気になるようになっちまってさ」

    ゼルは照れくさそうに鼻の下をこすりながらそう言った。

    「後はアンタも知っての通り、校庭で言い合いしてるときにポロっと告白しちまったって訳」

    「なるほどなぁ、それでテメエ当時やたら俺に突っかかってきてやがったのか」

    合点がいったとばかりに、サイファーが組んでいた腕を外して顎に手をやった。

    「う、うるせえな!俺のは話したぞ、今度はアンタの番だろ!」

    ゼルが頬を染めながらサイファーの方へ体を乗り出した。
    ここからが本番だと、ゼルの顔に書いてある。

    「その前に一つ確認したいんだが、テメェあの野郎にヤられたのか?」

    サイファーが急に神妙な顔つきになる。

    「や、や、ヤられてねーよ!未遂だっての!」

    ゼルは思ってもみなかったことを聞かれて慌ててそう答えた。
    だが、サイファーの追求の手が緩むことはない。

    「そうかぁ?格闘が十八番のテメェが押し倒されるってのは妙じゃねぇか?それにやけに親しげだったよな、テメェら」

    疑り深い視線をゼルに向けて、サイファーが目を細める。
    ゼルはしばらく無言で唇を噛んでいたが、覚悟がきまったのか話し始めた。

    「あれは格闘クラスの先輩でさ、俺のこと凄く面倒見てくれて、強かったし、憧れてたんだ」

    懐かしそうにゼルが遠くを見つめる。

    「先輩は体育委員で、その日荷物運びがあるから手伝ってくれって言われてさ。言ってみたらマジ告白されて、固まっちまって…」

    「で、業を煮やした先輩が実力行使に出たと」

    「まぁ、そーゆーこと」

    ゼルの話に割って入ったサイファーが結論を出す。

    「男相手なんてさ、考えたこと無かったからさ。全然気づかなかったんだよな、先輩の気持ち…。ま、今はちょっと分かるけどさ。そんだけ!」

    ゼルも俺の話はこれでお終いだと語気を強めて明るく言い切った。

    「なあ!今度はアンタの番だぜ!」

    好物を待つ犬のように、ゼルがソファから身を乗り出してソワソワしだした。

    「あぁ?俺は今言うとは言っちゃいねえぞ」

    「な…!なんだよそれ!!」

    「簡単にマウントとられちまったテメエへの仕置きだ。また今度な」

    手のひらをひらひらさせてサイファーがそう言った。

    「なっ…!っ…そーーーかよ!はいはい、あんたはそう言うヤツだよな!!ヤなヤツ!」

    サイファーの言葉にわなわなと震えていたゼルは、次に顔を真っ赤にして勢いよくそう言うと、フン!と顔を明後日の方向に向けしまった。

    「俺、もう寝る!!!」

    そう言うと、いきなりソファから立ち上がって、ドシドシと足音を立てながら自分の部屋へと向かってしまった。

    「おい、まだ昼過ぎだぞ」

    その様子をにやにやしつつ見ていたサイファーがからかうようにゼルの背中に声をかけた。

    「うるせーー!フテ寝だ!!邪魔すんな!!」

    遠くからゼルの大きい声が返ってくる。
    それを聞いてサイファーはクツクツと笑った。


    ■■■


    夕食の時間になっても自分の部屋から戻らないゼルに、サイファーはやりすぎたかと反省すると、未だ開かないゼルの部屋のドアへと手をかけた。

    そっと中を覗くと、暗い部屋の中でカーテンが開け放たれたままだ。
    どうやら本当にあれからふて寝をきめこんだらしい。
    サイファーはそっと部屋に入ると、こんもりと膨らむゼルのベッドへと近づいた。
    ベッドの上では、ゼルがまだ気持ちよさそうに寝息を立てている。
    その綺麗な横顔は、怒ってサイファーの前から立ち去ったときとは別人のようだ。
    それをしばらく眺めていたサイファーが、静かにベッドへと腰掛けた。

    「あの時。あの時の目だ」

    サイファーは眠るゼルにそっと声をかける。

    「テメエが襲われた時の、俺に向けた懇願するような目」

    サイファーの声が静かな部屋にそっと響く。

    「あの目を見たときに、男もイケるかもしれねえって無意識に思ってな。野郎がおれの守備範囲に入ったんだぜ」

    サイファーがゆっくりと窓の外に目を向けた。
    地平線に太陽が沈んで、月がそっと顔を出している。

    「俺もすっかり忘れちまってた」

    そう言うと、ガシガシと頭を掻いた。

    「テメエに告られた時、ああ、抱けるかもしれねぇと思ったのは多分その時のことが頭のどこかにあったからだ。今となっちゃ頭に来るが、野郎に押し倒されてるテメエは…情欲的だった」

    そこまで言うと、最後に「それが切っ掛けだ」と付け加えた。

    サイファーが黙ると、しんと静まりかえってしまう。
    あたりにはゼルの寝息だけが規則正しく響いていた。

    サイファーは一呼吸おくと、いきなり大きな声を張り上げた。

    「テメエ!!いつまで寝てやがる!!もう飯だぞ!!」

    ゼルがビクリと反応して飛び上がった。

    「え!?も、っもう飯!?」

    「テメエが気にすんのは飯かよ!ったく、とっとと起きて顔洗ってこい!」

    サイファーはそう言うとベッドからすっくと立ち上がった。

    「今日はハンバーグだからな」

    「ま、マジで!す、すぐ行くから!」

    ゼルは昼のことはなんとやら、ベッドから飛び起きると洗面所へと走っていった。

    「ったく、気が抜けちまうぜ」

    サイファーはそう言うと、好物をほうばってご機嫌になるだろうゼルを思って、小さく笑った。


    おわり



    依然どこかのコラムで『過去は固定されたものじゃない』というのを読んだことがあって、そんなテーマで書こうと思って作りました。
    私たちは過去はもう決定されていて、未来は変化するものだと思っていますが、実は過去も見方を変えればいかようにも変化するっていう内容でした。
    ゼルの気持ちが変化する辺りの話にうまく落とし込めているといいんですが、難しいです。


    ーーーーーーーーーーーーー

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    励みになります!がんばります~!

  • 1ヶ月が早いよー!

    こんにちは!
    早く更新しようと思っているときに限って、私生活がバタバタしたりオペオムがイベント忙しかったりとなかなか更新できずもどかしいです。
    オペオムは復帰してすぐだったのでちょっと力入れて取り戻せるようにやってましたが、しばらくはストーリー勢としてまったりしたいと思います。

    直近のガーランドのストーリーでのゼル素敵でしたね~。熱くなるライトニング達をいさめるなんて成長したなぁと感慨深くなってしまいました。
    ゼルはああ見えて結構冷静なんですよね。サイファーに熱くなることもあるけど、軽くあしらう事もあったり…。
    ストーリーはゼル優遇されてると思うので、見てて楽しいです。

    あ、全然関係ないですが、今までサイトにSSLを導入してなかったのでブラウザに保護されてない~という警告出てましたが、ようやくいれましたので暫くしたら何も出なくなると思います。
    うちのサイトは特に閲覧者が入力するところ拍手くらいしかないのであまり関係ないとは思いますが、安心してみて貰えるよう気をつけていきます。


    以下小話続きです~
    もう少し続きます。





    「思い出したぜ」

    思考の海から舞い戻ったサイファーがはっきりした口調でそう言った。

    「あんたにはなんてことない事だっただろうけどさ、あの時なんていうか…」

    ゼルはそう言葉を切って、なんと言おうか考えているようだ。

    「変な気持ちになったんだ。締め付けられるような」

    その時の気持ちを思いだしているのか、胸元を握りしめている。

    「よくゲームとかコミックで見る、勇者に助けられるお姫様の気持ちってこんな感じなのかなって思った」

    ゼルはそう言って、まぁ随分愛想のない勇者だったけどな、と付け加えた。

    「それで、そん時俺に惚れたってか?」

    ああ分かった、とサイファーは勝ち誇ったように続けるが、ゼルの反応は違うものだった。

    「ん、いや~そん時はそれで終いかな」

    あっけらかんと良い放った言葉に、サイファーはひっそりと眉間に皺を寄せた。

    「じゃあ何だっつーんだよ」

    少し苛立って言葉に刺が混ざる。
    じろりとゼルに向かって鋭い視線が飛ぶ。

    「あん時のことは、正直俺も忘れててさ」

    サイファーの苛立ちに気付いているのかいないのか、ゼルの口調に変化はない。

    「それで、リノアのことなんだけどよ…」

    なぜか急にリノアの名前が出て、サイファーはゼルから視線を外してテレビの方を向いた。
    このあとゼルから続く言葉にいやな予感がする。

    「アンタってさ、付き合ってたことあんだろ?」

    ああ、やっぱりそうきたかと、サイファーはゼルに分からないように深いため息をついた。

    「まあな」

    深い関係ではなかったが、好きだと言われて、拒絶せずに側に居た。明確に付き合っていた訳ではないが、リノアがそういうのなら否定はできないだろう。

    「ふーん、やっぱそうなんだ…」

    ゼルは淡々とその事実を受け止めて、何かを思案している。

    「テメエ、それとこれと何の関係があるんだ!」

    この話題は終いだとばかりに、サイファーは語気を強めた。
    後ろめたいことはないが、現恋人の前でほじくり返したい話ではない。

    「ああ、悪りぃ!責めてるわけじゃなくてさ!」
    ゼルはそう言って両手をあわせる。

    サイファーは無視して、両手を組みながらソファーへと深く腰掛け直した。
    もうこれ以上この話に答える気はないというアピールだ。

    焦ったゼルが、ちゃんと説明するからとその時の事を話し始めた。


    ■■■


    スコールと付き合いだしたリノアは、最近ちょくちょくとガーデンへと遊びにやって来ていた。
    スコールは先の大戦の処理でまだ忙しかったこともあって、なかなか自分からリノアの元へ足を運ぶことが出来なかったのだ。
    その日もスコールを訪ねてガーデンを訪れてきたリノアだったが、あいにくスコールは予定外の出張で帰還が遅くなるとガーデンへ連絡が入っていた。
    手持ち無沙汰にガーデンをブラブラしていたリノアと、丁度任務上がりで腹を空かせていたゼルが食堂前で出会ったのは偶然だった。

    「よっ!元気?」

    リノアの元気のいい声が廊下に響いた。

    「おっ、リノアか?あれ、スコールいねえの?」

    スコールに会いに来ていると分かっているゼルがキョロキョロと辺りを見回す。

    「留守なんだって、残念~。というわけで、一緒に食事でもどう?」

    リノアが悪戯っぽい顔でウインクをする。ゼルはもちろんだと返事をすると、早く行こうぜと先を促した。



    「ねえ、サイファー元気?」

    食事も終わり、最後に取っておいたフルーツにありつこうとしていたゼルに、リノアが少し陰のある顔でそう問いかけた。

    「んぁ?ああ、あいくぁらず文句言いながら任務ついてるぜ」

    綺麗にカットされたリンゴを頬張りながらゼルは深く考えずにそう答えた。
    ガーデンに復学したサイファーは、贖罪のための無償任務期間の最中なのだ。

    「そっか、良かった」

    リノアがホッとしたように明るくなる。

    「ほんとはいい人だから…あいつ」

    リノアの柔らかく微笑む顔を見て、ゼルはそういえば二人は付き合っていた事があったんだったと思い出す。

    「あ、今はもちろん全然何にもないからね!」

    リノアはそんなゼルの表情で何が言いたいのかを悟ったのだろう、両手を降りながら慌ててそう言うと、今度は落ち着いて言葉を続けた。

    「昔、私がティンバーでちょっとドジっちゃった事があって…その時偶然通りかかったサイファーが助けてくれたんだよね」

    リノアはそう言うとテーブルの上のアイスティに手を伸ばした。

    「悪いオトコの人たちを簡単にドカーン!とやっつけちゃってさ…格好良かったんだよ」

    リノアはそう言うと、両手の中のアイスティを揺らしながら、それをゆったりと見つめていた。
    ゼルも目をやると、リノアが揺らす度に水面がキラキラと輝いて、時折カランと小気味良い音を鳴らす氷がグラスの中を踊っていた。
    そんなリノアの様子で、鈍いゼルでも分かってしまう。

    「そん時に、好きになったんだな」

    「うん、そう」

    リノアはグラスをそのままに天を仰ぐ。

    「王子様みたいだなって思ったの。小さい頃絵本で見た、白いマントを羽織った金の髪の王子様。お姫様の私を助けてくれる。そう思ったらね」

    ゴクリ、とゼルが唾液を飲み込む。
    微かに手も震えていた。
    急に表情を無くしたゼルに、リノアは気付かない。

    「胸がギューッとなって、ああ、好きになっちゃったって気付いたの」

    ゼルの頭に殴られたような衝撃が走った。
    走馬燈のように記憶が駆けめぐる。
    リノアの話の途中から、バクバクと鼓動が高鳴った。
    過去が巻き戻したように思い出された。
    あの時のサイファーの顔、言葉、視線…。

    まさか、あの気持ちは。
    変な気持ちだと思ったあれは。

    ゼルは自分に呼びかけるリノアもそのままに、しばらく呆然と虚空を見つめ続けていた。







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    力になります!頑張ります~!


  • まったり小話です

    こんにちは!
    なんだかんだとバタバタしてご無沙汰になってしまいまして…よーやく更新できました…。
    HPも内装を変えたいとずっと思ってるんですが、作品作る方に時間さく方が有意義だと思ってしまってなかなかやれていません。
    スマホ対応にしたいんですよね~。一応今でも見れてはいると思うんですが…。

    さて、また小話書きましたのでおつき合いくださいませ~!
    まったりした話になる予定です!



    マンションの一室に春の暖かな日差しが差し込んでいる。
    窓辺のソファに座ってテレビを見ていたサイファーとゼルは、ゆったりとした気持ちで久しぶりの休日を満喫していた。
    何ヶ月ぶりかに奮われたサイファーの料理の腕は鈍っておらず、ゼルの腹もすっかり満たされている。
    テレビからは昼のバラエティの明るい音楽と司会者の陽気な声が響く。
    ゼルは長いソファに埋まるように背を預けてそれを見ていて、一人掛けのソファに腰掛けたサイファーが、肘掛けにひじを突きながらそんなゼルをそっと見ていた。

    「なあ、そういえばなんでアンタは俺と付き合おうと思ったんだ?」

    盗み見ていたゼルが急にサイファーの方を向くとそう切り出した。
    一瞬、見ていたことがバレたかと顔を強ばらせたサイファーだったが、聞こえてくる司会者の声が似たようなことをゲストに聞いている。
    影響されただけかと心の中でほっと胸をなで下ろした。

    「てめえはどうなんだよ」

    今度ははっきりとゼルの方を向いてそう切り返した。
    付き合いだしてもう数年にもなるだろうか。
    いつのまにか同棲まで始めてしまった2人だったが、明確な切っ掛けを知らずにここまできたのだ。

    「お、俺が先に聞いたんだろ!答えろよ!」

    動揺したらしいゼルが、ソファから背を起こして前のめりになる。

    「だからだろうが。そういう事は自分から言うのが礼儀だろ。名前を名乗るのと一緒だ」

    当然だとばかりにそう言われてしまいゼルは怯んだ。
    こうなったサイファーは梃子でも譲らないのは今までの経験で知っている。
    しばらく目線を彷徨わせながら逡巡していたが、覚悟を決めたのかサイファーへと向き直った。

    「わ、わかった。約束だからな!」

    そう言うと、どこから話そうかと下を向いて考え出した。

    「まだ俺が学生だった頃…ええと6年前くらいかな?あんた、俺を助けてくれたことあっただろ?」

    ゼルは考えがまとまったのか、そっと顔を上げて話し始めた。

    「体育委員室でさ」

    ゼルがそう言いきった時、虚空を見上げて思考を巡らせていたサイファーがようやく口を開いた。

    「ああ、あれか…」

    そういうと、更に深く思い出すべく思考の海に潜っていった。

    ■■■

    あれは丁度学期末の頃で、サイファー達風紀委員は、ガサ入れという名の抜き打ち検査を各委員会へと行っていた。
    体育委員会(体育祭や実技に使用する武具や道具等を管理している委員だ)の使用する部屋へと一人でガサ入れに来たサイファーは、ドアの向こうにおかしな気配を感じた。
    揉めているような様子だが、かといって怒鳴り合いという風でもない。
    サイファーは躊躇なく委員会室のドアを開いた。
    勢いよく叩きつけられたドアに、中にいた人物が驚いてビクリと反応するのが見えた。

    「何やってやがるテメエ等…」

    サイファーの目前には、机に押しつけられた半裸の男と、彼にのし掛かる男がいた。
    下になっている男は、衣服も髪もくしゃくしゃになっている。
    もみ合いがあったのだろう、普段はきっちりと置かれている机は、定位置からずいぶんと離れたところまで移動してしまっている。

    「サイファー…!」

    いきなり登場した人物に、二人が同時にそう言い放った。

    「…取り込み中だ」

    のし掛かった男が、即座に正気を取り戻してそう言った。
    下半身の衣類をくつろげているのがサイファーの位置からでも見える。
    つまりはそういうことだ。
    サイファーはその男を一瞥すると、下の男へと声をかけた。
    校則違反の常習者で、見覚えがある。

    「てめえはゼル=ディンだな」

    そう言われたゼルは、濡れた瞳を揺らして
    サイファー見上げた。

    「こいつと付き合ってんのか?」

    男を無視して、サイファーはゼルへとそう問いかけた。
    そこに嫌悪や侮蔑はなく、ただの事実確認という声色だった。

    「ゼル、知り合いなのか?」
    男は驚いたようにゼルへと声をかけた。

    ゼルは思い切り首を振った。
    もの言いたげな瞳でサイファー見上げるゼルが、強い視線で訴える。
    2人の視線が絡み合い、交錯する。
    サイファーに対する答えなのは明白だった。

    サイファーはつかつかと2人まで近づくと、いきなり2人が乗っている机を蹴り飛ばした。
    途端にバランスを崩した机と男達が床へと転がる。

    「不純異性交遊は禁止だ。もっとも今回は同性だがな」

    床へと這いつくばる男に、サイファーは直立したまま、頭上からそう言い放った。
    すでに身長が180を越えていたサイファーの威圧感が凄まじかったのか、風紀委員相手は分が悪いと踏んだのか。
    男は下衣を直しながら立ち上がると、舌打ちしながら部屋を出ていった。

    部屋にはゼルとサイファーが残された。

    「あ、ありがと…」

    ゼルはそう言ってよろよろと立ち上がると、くしゃくしゃになった衣服を身につけだした。

    「テメエもだ。不健全的行為は禁止だ」

    そう言うと、サイファーは部屋を出ていった。



    続きます



    ーーーーーーーーーーーーーー



    拍手押していただいた方ありがとうございます!
    励みになります~!
    また更新していきますので遊びに来てくださいませ~!



    どみ様
    コメントありがとうございます!
    こちらこそ拝見いたしました~!!
    皆様萌えるサイゼルなのに、私はなんでオールギャグにしたんだろう…(真顔)と思っていたのでそう言っていただけて嬉しいです。
    ゼルは常に本音がポロリしてると思います笑
    どみ様のお話もとても素敵で、瞳の色合いって血流とか、感情とか、色んな要因で変わると思うんですが、それに気づけるのはやっぱり相手のことをよく見てるからなんだろうなぁと思いました。
    ゼルは感情の上下が激しくて、余計に人よりその変化が出るのかと想像して萌えました…!
    全体の雰囲気も綺麗で読んだ後、上質の映画を見た後のようにジーンと心に残るものがある、心地の良いお話でした!
    また、コメントのお返しで感想を書かせていただくのをどうぞお許し下さい。
    連絡先がpixivしか分からず、いきなりご連絡するのも憚られるかと思いましたのでこちらに書かせていただきました。
    感想をお送りしても良いご連絡先がありましたら、お手数かと思いますが拍手に入れていただけると嬉しいです。

    コメントありがとうございました~!
  • リマスタード迫る!!

    こんにちは!
    リマスタードの発売日が近付いてまいりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか?
    私は私生活も段々と目途が付く様になってきまして、ぼちぼち復活しようと思っております。
    小話からまた少しずつ更新したいと思います。

    すっかりお休みしてログイン勢だったオペオムも復帰しだしまして、
    さっそくサイファーがピックアップされたイベントを楽しんでおります!
    サイファーの技カッコいいですよね~!
    最近ではスコールより強くなってしまいましたね笑
    あとは今後くる8のストーリーのイベントが楽しみです~!!

    さて別の話になりますが、サイゼル企画の「しろくまのひよこパンツ第2回」に
    参加させていただきましたのでご紹介させていただきます。
    私の作品はオールキャラ寄りのサイゼルギャグ漫画になります。

    タイトル「本音ダダモレール」
    こんな感じのです。

    久しぶりに漫画描いたので色々忘れてて焦りました笑
    折角のサイゼル企画なのでもっとイチャイチャしたやつ描けばよかったと途中で気付きました…。
    でもリマスタードのこの時期に描けたのは楽しかったです!
    また次回がありましたらリベンジしたいと思ってます!


    詳細は主催のくぅ様のピクシブもしくはツイッターよりご確認くださいませ!

    www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=75942356
    くぅ様 pixivのサイゼル企画詳細へ
    (アドレスバーにコピペでどうぞ)





    _____________________

    拍手押してくださった方ありがとうございます!
    段々と更新戻していきたいと思ってますのでまた遊びに来てやってください~!
  • リマスタードの発売日についての考察

    こんにちは!リマスタードの発表からしばらくたちましたが、発売日がまだ2019年としか出ていないのでもどかしいですよね…。
    同時に発表されたKHの配信日について野村氏のインタビューが上がっていましたが、今冬を目指している、来年3月には7リメイクが待ってるからそこには近づけたくないとのことで、なんとか12月の配信になるか、やや延期になって1月とかになるんじゃないかなぁと…!
    じゃあ8はというと、更にそのKHには被せたくないだろうからそれより前になるんじゃないかなぁと予想します…!
    でもスクエニはいつも年末にセールやるんでそれに被らないようにするんじゃないかなぁとも思います。
    セール(ここでKHと7オリジナルをプッシュ)→KHリマインド→7リメイクと持ってきたいだろうからやはり1月…?
    そう考えると8は10~11月が目安なのかなぁと…。
    スクエニは発表が早いことで有名なので、すぐには来ないと思いますが、2ヶ月以内なら発売日発表しているだろうし、3ヶ月はかかるんじゃないでしょうか。
    四半期決算を加味すると9月末の気もしますが…。
    というわけで10月辺りに向けて生活を整えないと…!今年は忙しいぜ…!!







    拍手押してくださった方ありがとうございます!
    更新できずもどかしいですが早く復帰できるよう頑張ります!


    4月にコメントくださった方も連絡が遅くなり申し訳ありません汗

    13日 いつも作品楽しく~の方
    コメントありがとうございます!絵も文も楽しんで頂けているようでとても嬉しいです!文はなかなか難しくどれも習作という感じで実験ばかりしていますが読んでいただけていると知って心強いです!
    イラストはなかなか更新できておりませんのでどこかでまた時間とって頑張ります!
    また遊びに来てやってください~!


    14日 くぅ様
    コメントありがとうございます!
    期限~は初めて書いた長編なのでとても印象に残っています。サイファーは見かけは大人びてますけど中身は意外とピュアとこあるんじゃないかと思いましてあんな感じに可愛い感じにしてみました笑
    気に入って頂けているようでとても嬉しいです!
    また、ご連絡いただきました件につきましてはpixivの方へメッセージお送りさせていただきましたので、良ければご確認ください!

  • 近状報告

    こんにちは!ご無沙汰しています!
    オペオムもなかなかログインできずすっかりログボ勢になっております泣
    相変わらず私生活はまだいそがしいんですが、8がリマスターででると聞いて飛んできましたよ!
    webファミ通の記事でゼルが『可愛い寄りになってる』とか書かれてて動揺しました笑
    確かになってるけど一般人にもそうみえるのね笑
    サイファーのモデルがどんな感じなのか気になりますよね~!
    スコールが結構変わってるのでサイファーはどうなるんでしょ…。
    でも内容は変わらないんだと思いますが、喜んで買ってしまうよ!

    綺麗なキャラで序盤のバトルシーンとかやれるのたのしみだな~。
    続報を粛々と待ちたいと思います!

    取り急ぎ近状報告でした~!
  • オペオムすごい…

    更新できないと書いといてあれですがこれだけ書かせて欲しい。
    オペオムの魔女イベントすご…!
    サイゼルが息を合わせて魔女に立ち向かってますよ!
    途中のサイゼルの背面2ショット+ミシアの場面なんだあれ…!
    あそこは本来スコールとサイファーとでやる場面だろ…。
    なんでスコールが脇になってるんだ?いや、つっこみ役にしたいんだろうけど、にしてもサイゼルの同時出演多いわ~。ゼルも記憶がないっていってるんだからあそこで喋らすの不自然では?と思うけどスタッフありがとうの気持ちの方が大きいです!
    いいんですそんなこと!なんだかわかんないけどサイファーも許さんっていってるからゼルも許さんのです笑
    いや~…。最高だった。
    あといつ見てもサイファー構え方いいわぁ!デフォルメされててもかっこいい!

    眼福じゃったわ~…。




    拍手ありがとうございます~!
    励みになります!
    またお越しくださいませ~!
  • 小話完成です!! R18と特殊設定注意です!

    ■■■

    翌日、早速二人は長老のところへ報告とあることを頼みに向かった。
    長老の家は村の中心にあって、村一番の大きさだ。
    ゼルが木のドアをノックしようとすると、サイファーがそんな事には気にもとめずに、ずかずかと中に入っていった。
    「邪魔するぜ」
    そう言うと、部屋の奥で深く椅子に座っていた老人の前で立ち止まった。
    「サイファーと・・・ゼルか」
    老人ーーこのバラム村の長老は二人をゆっくりと見回す。
    ゼルがどうしようかと躊躇っていると、
    「座りなさい」
    と声が掛けられる。
    サイファーが躊躇なく床に敷かれていた敷物の上にあぐらをかいて座った。
    ゼルもそれに習って静かに座り込む。

    「こいつとつがいになることにした」

    いきなりサイファーが話の本題に切り込んだ。
    長老はピクリともせずに話を聞いている。

    「交配の儀を開いてくれ」
    それを聞いてようやく長老が口を開く。
    「お主がそういう『形』に拘るなんて珍しいな」
    「そうじゃなきゃ認められねぇとか抜かすくせによく言うぜ」
    「皆が通る道だ。お主等だけ特別はない。当然じゃ」
    「なら決まりだ。日程が決まったら連絡よこせ」

    次々と進む展開にゼルが困惑している内に、サイファーは立ち上がってもう用はないといった風だ。
    「帰るぞ」
    ゼルにそう告げると歩き出してしまう。
    ゼルは慌てて立ち上がると、長老へ一礼してからサイファーの後を追った。

    それから数日後、サイファーとゼルの元に長老の使いが訪れて、今晩『儀式』を開くから準備をするようにと伝えられた。
    ゼルは途端に緊張してしまう。
    だが、長老も言っていたとおり、つがいになるパートナーが通る道なのだ。
    ゼル達一族では、通常は異性とつがうことが多いが、同性同士のつがいも珍しくはない。
    同じ村の幼なじみであるスコールとリノアも少し前に儀式を行ったばかりだ。
    ガルバディア村に住む友人のアーヴァインも、トラビア村のセルフィと儀式に臨みたいとアタックしている最中なのだ。
    不安にばかり思っていても仕方がない。
    自身に渇をいれるべく頬を叩いて、ゼルは
    気持ちを入れ直した。

    夜になると静かになった広場から、パチパチと中央にくべられた大きな火の音が聞こえる。
    しんと静まりかえた夜空には星が煌めいている。
    家の前で天を仰いでそれを見ていたゼルは、迎えにきたサイファーと共に村の外れの洞窟へと向かった。
    前を歩くサイファーはいつもとまったく同じ調子で、緊張しているのは自分だけなのかと広い背中を見つめる。
    そうするうちに山中の洞窟にたどり着いた。
    入り口からぼうっとオレンジの光が漏れるそこは、先祖達が住んでいた名残のある場所で、神聖な場所だと教えられてきた。
    小柄なゼルでも少し屈まなければ入れないそこを、サイファーが窮屈そうに入っていく。
    中にはいると、所々松明が掛けられ、火が揺れる度に自分たちの影が揺れて見える。
    涼しい風を感じるところをみると奥にも繋がっているようだ。
    洞窟は中央が広くなっており、その床に大きな毛皮が敷かれている。
    そうして、そのまわりを囲うように幾つかの円座が敷かれていた。
    すると、入り口から次々に人が入ってくる。
    その中には、先日話をしたバラムの長老の姿もあった。めったにお目にかかれないバラムの魔女の姿もだ。
    バラム、ガルバディア、ティンバーのそれぞれの長老と魔女が集ったのだ。
    総勢6名がそれぞれ用意された円座へと腰を下ろす。

    「この者はバラムのサイファーとゼルじゃ」

    バラムの長老が2人を紹介する。
    そうして簡単に2人の人となりを話すと、他の長老達は承知したとばかりに頷いた。
    中央に立ちっぱなしで話を聞いていた2人に、バラムの長老が
    「それでは見せて貰おうぞ」
    と言うと、長老達に囲まれた中央の毛皮を指し示した。

    ゼルは一つ深呼吸をすると、恐る恐るそこへと横たわる。
    自分の身長を優に超える大きさのその敷物は、きっと優秀な狩人によって狩られたモンスターのものなのだろう。
    ふかふかで肌触りのよい長毛がゼルを受け止めた。
    そしてゆっくりとサイファーがゼルへと覆い被さる。
    自分たちに注がれる視線に、ゼルが羞恥からきつく目を瞑った。

    この一族の間で行われる『交配の儀』では、つがいになると決めた者達が自分たちに愛情と生殖能力があることをを証明するために、村の長達に自分たちの交尾の様子を見せて、婚姻と二人の間に子供を成す事を認めて貰う儀式のことだ。
    ゼル達よりも古い時代では、このような閉じた村では痴情のもつれなどがあってもなかなか逃げる先もないうえ、子供は村の宝でもあったのだ。
    そのため、きちんと添い遂げられるのか、そして子を成す力があるのかを審査をするようになったのがこの交配の儀の始まりだと言われている。

    長達が見守る中、サイファーがゼルの衣服をそっと脱がしていく。
    少し肌寒いのか、ゼルが目をきつく閉じたままふるりと震えた。
    点々と洞窟内を照らす松明が全裸になったゼルの白い肌を薄オレンジに浮かび上がらせる。
    サイファーはゼルに跨がったまま、勢いよく自身の上半身の衣類を脱ぎ去った。
    狩りで鍛え上げられた筋肉質な体が現れた。松明が照らす体の影が堀をより深くして逞しく見える。
    サイファーはゼルを慰めるようにその唇へと口づけた。
    緊張で固くなった唇を割り開いて、そっと舌を差し入れる。
    何度もゼルの唇を舐めて自身の愛撫に応えるよう励ますと、ゼルもサイファーの舌に自分の舌を絡めるように動き出した。
    幾度も舌をすり合わせて、顔の角度を変えてキスを楽しむ。
    合間の呼吸に段々と熱がこもり、息が荒くなっていく。
    サイファーの手がゼルの体を這いだした。
    頬をなぞって、そのまま首もとから鎖骨をなぜて、そうしてゼルのツンと起った乳首へとたどり着く。
    そっと円を描くようになぞって、時折はじくようにするとキスの合間にゼルが刺激を堪えるように息を吐く。
    普段のサイファーより幾分やさしいその触り方に、自分の緊張をほぐそうとする彼を感じてゼルの胸にじんとしたものがこみ上げた。
    サイファーはそのまま乳首をこねるように動かし出した。毎々の夜這いでゼルの体に刻まれた感覚がざわめき出す。

    「いい加減こっち見やがれ」

    ずっと目を閉じたままだったゼルに、サイファーが声を掛ける。
    そっと目を開けると目の前にサイファーの顔があった。
    そうして反射的に視線を感じて長老逹を見ると、変わらず自分たちを見つめる視線とかち合ってしまう。

    「ジジイどもの事なんか気にすんな。俺だけ見てろ」

    サイファーがゼルの顔をぐいと正面へひきもどして、いつもの自信に溢れた笑みを見せた。

    「てめえはいつもみてえに感じてればいい」

    そう言うと先ほどまで触れていた乳首をベロリと舐めあげた。
    「あっ…!」
    油断していたゼルがおもわずその快感に声を漏らす。
    そうして皆に聞かれてしまったとばかりにとっさに口元を手で押さえて頬を赤らめた。

    「聞かせてやれ。感じてるって教えてやれよ」

    サイファーは挑戦的にそう言うと、ゼルの手を口元から力で外し、再び乳首を舐めだした。
    舌でつつかれて吸われる快感に、ゼルの体は次第に抵抗できなくなっていく。
    短く刈り上げられた髪に指を絡めて抵抗するのが精一杯だ。
    段々と自分の性器が熱くなっていくのを感じる。見られる恥ずかしさと与えられる快感に、血液が下腹へと急速に集まっていく。
    勃起している所なんて、恥ずかしくて自分でも直視できないとゼルは思った。
    実際、自分で慰める時でもそこを直視する事はなかったのだ。
    だがサイファーがそれを見逃すはずもない。
    勃ち上がったゼルの陰茎をゆっくりと撫で始めたのだ。
    思わず隠そうともがいたが、上に跨がるサイファーが腰を押さえてそれはかなわかった。
    長老たち見えるようにゼルのペニスを持ち上げると幾度かシゴいてみせる。
    「あぁぁっ!」
    直接的な刺激に、たまらずゼルが声を上げた。
    サイファーはだがそれ以上は触らず、逆にゼルの上から降りてしまった。
    いつもみたいもっとこすりあげられるのかと思ったゼルも、一体何をするのかと不思議そうにサイファーを見上げる。
    サイファーはゼルをうつ伏せにすると、敷物の近くに置いてあった小箱へと手を伸ばした。
    伏せにされたゼルからはよく見えなかったが小さな実を取り出したようだ。

    「こいつは使ってもいいんだろ?」

    サイファーが長老逹の方へ話しかけたようで、彼らから構わないという返事が返ってきた。
    そっとサイファーを見上げると、その実を口に含んで奥歯で歯を立てている。
    カリっという実が割れる音がしたあと、サイファーが実の殻を吐き出した。
    だがしばらくモゴモゴと口中でやっていたかと思うと、2本の指を口の中に入れたのだ。
    それと同時に、ゼルは腰をぐいと持ち上げられる。
    むき出しになったゼルの肛門にぬるりとしたサイファーの指が当てられる。
    先ほどの実は潤滑剤の代わりだったのかとようやくゼルは理解した。
    何度もゼルの肛門付近を行ったり来たりして実の汁を馴染ませ慣らした後、サイファーは頃合いだと中指をぬぷりと差し込んだ。
    ゼルは動揺して咄嗟に指を締め付ける。

    「力抜け、いつもと同じだ」

    サイファーがゼルの後方からそう声を掛ける。
    だがいつもはもっとペニスを触り合って高め合い、お互いが一度達してからその粘液を潤滑剤にして挿入へと至る流れだったのだ。
    頭が痺れる快感に任せてサイファーを受け入れていた為、いつもと違う手順にゼルはどうしたらと戸惑う。

    サイファーは一旦指を抜いて背後からゼルを抱きしめる。
    「何もかわりゃしねえよ。信用しろ」

    そう言って首筋に一つキスを落とした。
    そうだ、行為自体になにか変わりがあるわけではないのだ。
    ゼルはそう思い直して大きく深呼吸をすると、できるだけ体から力を抜くようにつとめた。
    それを確認したサイファーは、再びゼルに指を埋めると抜き差しを開始する。
    慣れた指先が、しだいにゼルの敏感な部分を押し上げだす。
    「…ぁっ…」
    だんだんと覚えのある感覚がこみ上げてくる。
    ゼルの意識が外野からはずれて、指に集中してきていると見るや、サイファーは更に指を増やしていく。
    数日前にも交わったばかりの後孔は、さして抵抗もなくサイファーの指を飲み込んでいく。
    それに応えるように、小さくなり掛けていたゼルの陰茎もまた勃ちあがりだす。
    やわらかな毛足に、ゼルの熱い息がかかる。
    サイファーはそろそろいいだろうとあちこちを押し上げていた指を抜くと、自分の下半身の衣服を脱ぎ去った。
    ゼルの痴態にすっかり硬くなった陰茎に実の汁をすり付けると、四つん這いのゼルの持ち上げられた肛門へペニスの先を押しつけた。
    途端に、挿入の予感を察知したゼルが更に上体を低くして体を強ばらせる。
    それをゼルの陰茎を何度もさすって慰めながら、抵抗が弱まるのを待つ。
    ゼルが観念して力を抜いたその瞬間、張った亀頭をゼルの中にくぷりと押し込んだ。
    「あぁっ!」
    慣らしているのもありそう痛みも無かったが、ゼルがおもわず声を上げた。
    だが飲み込むように動く内部に任せて、サイファーは腰を押し進めた。
    ゼルも肩を震わせながらサイファーを受け入れる。
    奥まで入りきると、サイファーは一息ついた後、抜き差しを開始しだした。
    はじめはゆっくりと、しかし段々と勢いをつけて突き上げる。
    すっかり周囲が見えなくなったゼルは、その快感に身を任せ出す。
    「あ、いいっ…!」
    サイファーがゼルのいい場所を何度も突き上げた。
    その感覚に、持ち上げていた腰をさらに突き出すようにしてゼルが無意識にもっとしてくれと強請る。
    サイファーは更に深い挿入を求めて、ゼルの上にのし掛かった。
    ただでさえ小柄なゼルに大柄なサイファーが覆い被さる形になって、結合部に更に圧が掛かる。
    ぐぷりと音を立ててサイファーのペニスがよりゼルの内部へと飲み込まれる。
    「はぁ…はぁ…」
    深い挿入にゼルが息を荒くしている。
    そうして少し冷静になったゼルが、ふと自分の体勢を見回すと、サイファーが自分に乗り上がっているせいで結合部が丸見えになっていることに気づく。
    深々とサイファーを飲み込む熟れた箇所を他人に晒す羞恥に、反射的にサイファーを振り落とそうと体が動いた。
    サイファーは今になっての抵抗は予想していなかったのか、一瞬驚いた顔をすると、すぐにいつもの険しい顔に戻ってゼルの腕を押さえ込んだ。
    体格も経験も圧倒的に違う相手に、ゼルはそれ以上抵抗ができなかった。押さえつけられている腕の太ささえ、見るからにサイファーに軍配があがるのだ。
    そうして再び快楽で自身に集中させるため、ゼルを押さえつけたままサイファーは動きを開始しだした。
    ゼルの一番喜ぶ最奥を何度も押し上げて突き上げる。
    その度に直腸のヒダが絡んでサイファー自身も追い上げられるが、まだ出すわけには行かない。
    直腸の奥の窄みまで穿って亀頭で押し広げてやると、ゼルが背をしならせて喜ぶ。
    「ぁああっ!ああっ!あっ…」
    再び甘い声を上げて、周囲を忘れてサイファーだけを追いかけ出す。
    激しさを増すピストンに、ゼルは頼るものが欲しくて毛皮の長い毛足を必死に掴んで快感に耐える。
    ゼルの内部にジンとして熱い衝動が産まれていく。
    射精とは違う熱に体の奥から追い立てられる。
    「サイファーっ…!イくっ…!」
    サイファーに叩きつけられる衝撃に、ついにゼルが敷物にしがみつきながら先に絶頂を迎えた。
    同時に性器から無意識にトロリトロリと精液が漏れる。
    サイファーもゼルの激しい締め付けに絶頂寸前まで追いつめられるが、歯を食いしばって射精感を堪えた。
    ぜいぜいと肩で息をするサイファーの呼吸を耳元でぼんやり聞きながら、ゼルの意識がぼんやりと戻ってくる。
    まだ頭の奥が痺れて、幸福感で一杯になる。
    その時、まだ芯を保ったままのサイファーがズルリと引き抜かれた。
    その行為に、普段は共に絶頂迎えるサイファーが今日はまだ一度も達していない事に気づく。
    どうしたのかとぼうっとした頭で後ろを振り返る。
    すると体を抱えられてすっぽりと抱え上げられた。
    背中にまだ熱いサイファーの体を感じる。
    彼の上に腰を下ろしているせいで、尻の付近に未だ勃起したものが当たっている。
    何をするのかとサイファーを振り返ったまま動揺している内に、両足を抱え上げられて広げられた。
    「うわっ…!」
    正面には長老達がいるのだ。
    まるでわざと陰部が見えるようにしているサイファーに、おもわず抗議の声を上げた。
    だがサイファーはその声に取り合わず、割開いたゼルの性器に手を伸ばした。
    まだゆるく立ち上がる陰茎と睾丸をかき分けてさらに下へと指を伸ばす。
    そうして会陰部へたどりつくと、くちゅりと音を立ててそこへと指を差し入れた。
    「っ…!?」
    驚いたゼルが自身の下部をのぞき込むと、
    陰茎と肛門の間に、うっすらと開いた部位があった。
    そこはすっかり濡れて濃い桃色に変化して、ぬめる液を垂らしてテラテラと光っていた。
    ゼルはこれが話に聞いた女性器なのかとようやく理解した。

    彼ら一族の男は両性具有で、男性器と女性器を持って産まれてくる。もちろん女性器へ生殖行為を行えば子供を持つことも可能だ。
    この一族が男同士でつがう事が認められているのはその為だ。
    女性は女性器しかもっていないが、その代わりに特別な『魔法』の力を持って産まれてくるのだ。
    だが通常、男性の女性器はぴたりと固く閉じていて開くことはない。
    その為女性器を意識することもないし、ゼルのように忘れている者さえいる。
    だが性的に高まるとそこが開くのだという。
    男性が通常行う陰茎への刺激や射精ではそこは少しも反応しないが、肛門からの挿入行為や気孔などによる内側からの刺激で絶頂を迎えると、そこは興奮に自ら濡れてひだが開いていくのだ。
    また、相手への好意と快感の度合いによっても左右される。
    だが、開いたからといってここへ性器を挿入することは許されない。
    それが許されるのはつがいと認められた者だけなのだ。
    つまり、この『交配の儀』で認められたものだけだ。

    サイファーはゼルの女性器を指で広げてみせると、ゼルが自分を受け入れる準備はできているとばかりに皆に見せつける。
    自分はゼルの女性器が開くほどの快感を与えられると主張しているのだ。

    ゼルはサイファーが自分のそこへ挿入したいのだとようやく悟る。
    サイファーはゼルを抱え直すと、未だ猛る陰茎の先をゼルの女性器へと擦り寄せた。
    そうして権利者達へ”挿入するぞ”と目で訴えた。
    ここへ入れるためには、彼らが首を縦に振る必要があるからだ。
    すぐに許されるかと思っていたサイファーだったが、ガルバディアの長老とティンバーの魔女がなにやらコソコソと話し合っている。
    それがバラムの長老へと伝えられると、長老は複雑な顔でサイファーへと言葉を投げた。

    「ゼルを力で押さえつけるお主が、良いつがいになれるか不安だと言っておられる」

    そういうと、心当たりがあるというようにため息をついた。
    ゼルに深い挿入をしたときのことを言っているのか。
    サイファーはイラつきに眉間の皺を深くした。
    許可なんて馬鹿らしい、こいつは俺のもんだと証明してやると実力行使に出ようとしたその時、ゼルが開口部に当てられていたサイファーの亀頭部を、女性器へと押しつけた。
    狭いそこは張り詰めたその大きさに難儀しながらも、サイファーの先端をくぷりと飲み込んだ。
    ゼルのその意外な行動にサイファーは驚く。
    先ほどまでの羞恥に震えた受け身のゼルとは明らかに違った。

    「俺、すげえ入れて欲しい…」

    ゼルは顔を真っ赤に染めながら、そう彼らに訴えた。
    そうしてゆっくり腰を揺らして、入り口の浅い部分を、含んだ亀頭でかき回す。

    「ここに入れんのは、サイファーじゃなきゃ嫌だ」

    そう言って、とろんとした目で彼らに無理矢理ではないと主張したのだ。
    このままでは自分たちは認められない。
    迫るその事実が、ゼルの羞恥と緊張を吹き飛ばしたのだった。

    ゼル自身の申し出と、あのサイズを受け入れられるほどに開いたゼルの女性器を見て、反対を進言した2人はお互いに目配せした後に、バラムの長老とうなづきあった。

    「サイファー、ゼル。お主達をつがいと認める。子を成す行為を認めるものとする」

    バラムの長老がそう言うやいなや、サイファーは目の前のゼルを強く抱きしめた。
    ゼルは喜びとともに、自分の痴態を思い出して耳まで赤くした。


    ゼルの狭い膣口に、今にも弾けそうな弾力のあるペニスが押しつけられる。

    「サイファーっ…!痛っ…!」

    ゼルが痛みを訴える。
    だがサイファーはすくい上げたゼルの両足が強ばるのをそのままに、挿入の力を強めた。
    押し上げるペニスの先に感じるこの膜は、ゼルがまだ誰のものでもないという証拠なのだ。
    「ゼル、いくぜ…」
    サイファーはゼルの耳元でそう囁くと、勢いよく膜を突き上げた。
    「ああぁっ!!」
    ゼルが破瓜の痛みにきつく体を震わせた。

    目一杯にサイファーを咥えて、痛みにひくつくそこから、一筋血が流れた。
    サイファーはそれを彼らに見えるようにすると、ここに挿入したことは初めてなのだと証明する。
    そうして、長老達がそれを確認したとみるや、さきほどからずっと射精を我慢して赤く膨れるペニスをぐいと奥まで差し込んだ。
    初めての挿入に驚いた内膜がきつくサイファーを締め上げる。
    その刺激にサイファーは荒く息をつき、キツく目を瞑ると同時、勢いよく中に精子を吐き出した。
    ゼルのすくい上げた足に、快感に耐えるサイファーの爪が食い込む。
    ビクリビクリと吐き出す度に腰を震わせるサイファーの熱と、内部に叩きつけられる粘液にゼルは陶酔した。
    ゼルの中に思う存分吐き出したサイファーは、肩で息をしながら一瞬眉間に皺を寄せて、しまったという顔をした。
    長老達の方を見ると、ティンバーの魔女が怪訝そうな表情でこちらを見ている。

    彼らの間では受胎者に快感を与えるほど、強い子ができ、受胎率が上がるとされる為、自分のつがいに快楽を与えられない個体は歓迎されないのだ。
    そのため、彼らの村では夜這いが認められており、事前にお互いに高め合う術を学ぶ機会を設けているのだ。
    そのため、男はより長くつがいを喜ばせられる体力と持続力を求められる。

    ゼルから素早くペニスを引き抜いたサイファーは、荒い息のままゼルを抱えて体勢を変更した。
    引き抜かれたそこからはサイファーの精子がどろりとこぼれた。
    ゼルをそっと床に寝かすと、そのこぼれた精子を掬って、未だ緩く勃ちあがるペニスを何度かしごいた。
    射精後の敏感なそこを擦る快感にサイファーは奥歯を噛みしめる。
    すると若さも手伝ってか、真っ赤に充血し筋の浮くペニスへと再び変化していく。
    再度固く立ち上がったそこを、懐疑的な視線を向ける彼らに、これで終わりではないと見せる。
    ゼルも堪らないという目でそれを見つめた。
    その視線に気づくやいなや、サイファーはゼルに覆い被さった。
    足を持ち上げて肩に担ぐと、未だ自分の精子で濡れるゼルのそこに、ぬるりと進入を開始した。
    張り詰めた亀頭がゼルの内部のあちこちを押し上げる。
    「ぁあん!…ぁん!」
    アナルとの刺激の違いにゼルは悶えた。
    体がじんじんと痺れて熱くなる。
    サイファーが大きくグラインドする度に、擦りあげられる内壁が震える。
    「サイファー…っ!」
    思わずといった風にゼルがサイファーの背にしがみついた。
    何度も何度も突き上げられて追い立てられる。
    サイファーも、挿入する度に弾力のあるゼルの膣壁が自身を押し返そうとするその刺激に夢中になる。
    ゼルもサイファーも見届け人達のことなどもう頭にはなかった。
    何度も口を合わせて、舌を絡めながら頂上まで走っていく。
    「ぁぁぁああっ!!!」
    ゼルが最後の咆哮をあげた。そうしてサイファーの背に爪を立てながらビクビクと痙攣する。
    サイファーもこれ以上は我慢ならんとばかりに、全身の筋肉を使って腰を叩きつける。
    「はぁっ…っぅ…!!」
    堪えきれなかった喘ぎが口から漏れる。
    先ほどよりも大きく体全体をビクン!ビクン!と震わせながら、再びゼルの膣中へ噴き出すような射精を行った。
    鈴口から勢いよく精液が噴射される度に、今まで感じたことのない快感が何度も背筋を走り抜けた。
    ゼルもサイファーの脈動と射精を感じて、その度に注がれる下腹の奥が喜ぶのを感じた。

    2人はしばらく動くことができなかった。
    お互いに頭の芯がぼうっとして、ただ抱き合う格好で息が整うのを待つ。
    サイファーがゆっくりとゼルから体を引いた。同時に結合部から力を失った陰茎がずるりと引き出される。
    サイファーは未だ焦点の合わない瞳で遠くを見ているゼルの、額に浮かぶ汗を拭った。
    そうして隅に置いてあった羽織で力無いゼルをくるみ、さらさらとこぼれる髪を何度もすいて、今日の重責をやりとげたゼルを労った。
    それを見ていた長老達も、この一見粗暴な男の底根には分かりにくいだけで溢れるほどの愛情があると悟って、お互いに頷き合ったのだった。

    そうして2人は無事につがいとして認められたのだった。

    おわり



    間に合った~!
    明日から本格的に書けなくなるので書き切れて良かったです…!

    いつもと違って遠回しな表現は使わず直球表現でエロを書いてみようと思いやってみたんですがいかがでしょうか?
    パラレルやら両性具有やら視姦プレイやらと詰め込みすぎた感否めませんが、1本づつ書いてる時間無かったので丁度いいやと全部入れてみました。
    一回公開セックスみたいのを書いてみたかったんですよね笑
    ちなみにこの続きで新婚生活編(やっぱり視姦プレイ)なるものも考えているので、更新できる環境が戻ってきたら書きたいと思います!
    でもこの話で一番信じられないのは、この儀式をあのスコールが行ったという部分だと思います笑

    それでは一旦ブログも更新止まりますがまたきてやってください~!
    ではでは~!



    拍手押して下さった方ありがとうございます!
    早めに戻れるよう頑張ります!
    サイゼル好きな方がまだいると思うと心強いです!
    ありがとうございました~!!
  • パラレルもいいよね!

    こんにちは!
    FF8が20周年だそうで、おめでたいですね~!
    ゼル達も相応に年を取るなら37歳くらいになってるっことで、余裕のでた2人も萌えますね~!

    早速ですが小話です!
    続き物で、次回からR18になる予定です。
    パラレル書いてみたいと思ってまして、ようやくこぎつけました笑
    あとエロは視姦プレイやってみたいと思ってますので、そんな感じになる予定です。
    あと両性具有ものにしようとおもってるので(あくまで性別は男です)
    上記OKという方のみご覧下さい!


    ここはバラム村。
    まだ電気もガスも通らない山奥の村だ。
    山中のひらけた箇所に木材と土とレンガでできた建物が建ち並ぶ。
    中央の広場には常に火がくべてあり、周囲のモンスターを寄せ付けないようにされていた。
    ゆったりと時間の流れる豊かな村だ。
    近隣にはガルバディア村、トラビア村があり、村同士の交流は非常に盛んで村自体はは非常に栄えている。
    一族の村の女達は特別な力を持ち、その中から選ばれた者ーー魔女と呼ばれるシャーマンが村を守っている。
    男達は近くの森に狩りをしに行き、モンスターを狩って生計を立てている。
    ゼルもそんな男達の一人だった。
    つい最近17歳になって狩りを始めたばかりのゼルは、勢いよく村のはずれの家に飛び込んだ。
    「かあさんただいま!」
    レンガ造りの薪のキッチンでスープを作っていたゼルの母親は、明るい声でゼルを迎え入れる。
    「おかえり、怪我はない?」
    おいしそうな香りを漂わせる鍋からゼルに向き直り声をかける。
    「もう17になったんだぜ!大人なんだから心配いらないって」
    そう言いながら、母親へと今日の獲物を差し出す。
    「へへっ、なかなか大物だろ?」
    鼻の下を指で擦りながら、自慢げにしてみせる。
    そうして自慢の拳でしとめた小型のモンスターをテーブルへと置く。
    「ほんとね。明日はごちそうにしなきゃ」
    母親はそう笑って、ゼルにもうじき夕飯ができることを伝えると、手を洗っておいでとまるで子供を諭すように言って微笑んだ。

    そうして軌道に乗ってきた狩りの話をしながら、暖かいスープで食卓を囲む。
    ゼルの家は、父親が狩りの際に起きた事故で亡くなってから2人暮らしだ。
    それでも、村からの手厚い支援や母親の愛情もあってゼルは元気に育っていった。
    17歳で狩りができるようになると大人と認められるこの村で、ゼルは先日無事17歳を迎え、ようやく大人の仲間入りを果たした。
    ゼルの母親も、跳ねっ返りの息子がようやく一人前となって、ほっと胸をなで下ろした。


    バラムの村には電気がないため、夜が更けると途端に村は静まりかえる。
    町まで出れば文化がもう少し発展しているらしいが、ゼル達一族は外からの文化を受け入れずに生きてきた。
    その為、ここでは独自の風習が今も息づいており、今もその風習は堅く守られている。

    一人の男が、夜の闇に紛れてゼルの部屋の木窓を叩いた。
    ゼルは木窓の縁から来訪者を確認すると、そっと窓を開いてその男を部屋へと迎え入れた。
    所々すり切れた麻布を纏った男が慣れた様子でゼルの部屋に降り立つ。
    布を取り去ると、部屋の蝋燭に照らされた鮮やかな金髪が現れる。
    「サイファー・・・」
    ゼルがその頬にそっと手を添える。
    そうする内に力強く抱きしめられた。

    この村には夜這いの風習がある。

    ゼルとサイファーもまさにそのうちの一組だった。
    サイファーはゼルより一つ年上のため、前年に成人しており村では狩りの先輩だ。
    とはいえ幼い頃から同じ村で育っており、当時から力が強く体格も良かったサイファーに、小柄なゼルはよく小突かれていたものだ。
    しかし、なんだかんだと面倒見が良く優秀だったサイファーと、当時は不器用でひ弱だったゼルは一緒にいることも多かったのだ。
    小競り合いに違う意味合いが混じりだしたのはサイファーからだった。
    そうしてゼルが17歳になる少し前、狩りの練習にとサイファーと出かけた際に、サイファーは川で水浴びをするゼルへと自身の気持ちをぶつけた。
    強姦に近い行為ではあったが、ゼルもサイファーに特別な感情を持っていた事もあって、二人は無事に気持ちを通じ合わせることができた。
    それ以来、サイファーはゼルへと夜這いを仕掛けるようになったのだ。

    強い包容はそのままに、二人はベッドへと倒れ込む。
    ゼルの母親はもう夢の中だろう。
    そうして二人は、この晩も甘い夜を過ごした。


    「おい」
    ペチペチと軽く頬を叩かれる。
    途端に意識が冴えていく。
    「しっかりしやがれ」
    サイファーの声だ。さっきまでの荒々しい彼とは違う。
    ようやくはっきりした意識が戻ってきて、ゼルは自分をのぞき込むサイファーの翠色の瞳に気付いた。
    「あ、おう…。もう平気だ」
    自分は絶頂と共に失神し掛けていたようだ。
    サイファーは安堵の息を漏らすと、ゼルの上から退くと共に横へとずれてベッドに収まった。
    ゼルの横に寝ころんでゼルの呼吸が収まるのを待っていたサイファーは、頃合いとみるやまるで大したことではないとばかりにその口を開いた。
    「てめえ、俺とつがいになれよ」
    ゼルは一瞬何を言われたのか理解できずに隣のサイファーを見つめる。
    だがその言葉の意味を理解するやいなや、とろんとしかけた目を途端にぱちくりさせた。

    彼ら一族は男も女も大人になると生涯のパートナーを探す。
    その相手を選ぶために、年頃になった若者達は夜這いをしてお互いの相性を確かめ合うのだ。
    村々では大方は10代で結婚し、子供を持つ事が多い。
    サイファーも例に漏れず、ゼルが17を迎えるのを待っていたのだ。

    ゼルが思いもよらぬ提案に驚いていると、「明日、お袋さんに会う」
    そう言うと、ベッドからガバリと起きあがった。
    床の麻布を拾って入ってきた木窓に足を掛けると
    「話しておいてくれ」
    そう最後にゼルに言って闇へと消えていった。

    翌朝、結局よく眠れなかったゼルは、隈のでた目元で朝食を食べる。
    「昨日は眠れなかったの?」
    ゼルの母親は、そんなゼルの様子を見逃すわけがない。
    とたんに慌て出すゼルに、これは何かがあったと直感で感じ取る。
    お茶を飲んで咽せているゼルの向かいに座ると、声に出さず何があったの?と視線で問いかけた。
    ゼルは上目でその様子をちらちらと伺っていたが、次第に観念してコップをテーブルへと置いた。

    「サイファーが・・・つがわないかって」
    それだけ言って、頬を染めて下を向いた。
    母親がどんな反応を示すかと恐る恐るそちらを見ると、嬉しそうに微笑んでいた。
    「そう、よかったわね」
    しっかりとゼルを捕らえた視線が向けられる。
    「ゼルはどうしたいの?」
    そう言って、静かにゼルの返事を待っている。
    ゼルはこみ上げる言葉を何度か飲み込むようにして、そうしてそっとコクリと小さく頷いた。
    「おめでとう、幸せになって。まだまだ子供だと思ってたのに、こんなに立派になってたのね」
    そう言って静かに席を立つと、ゼルを抱きしめた。

    「さあ召し上がって!」
    サイファーは昨晩の宣言通り家にやってきた。
    ディナーの食卓には、昨日ゼルがしとめた獲物が美味しそうな料理となって並んでいる。
    サイファーはゼルの母親に促されるがまま席に着くと、いい香りのしているスープに口を付けた。

    「ディンさん」

    食事も粗方終わった頃、サイファーがゼルの母親に向き直った。
    二人に食後のお茶を入れていたゼルの母親が顔を上げる。
    「ゼルを貰っていきたい」
    そう言って視線を強くした。
    「必ず守る」
    テーブルの上に置いた自身の拳を強く握って、そう言い切った。
    「ゼルをよろしくお願いね」
    そう言ってゼルの母親はサイファーに頭を下げた。

    つづく






    拍手ありがとうございます~!
    しばらく更新滞りますがまた戻ってきますのでよろしくお願いします~!
  • オペオムゼル調整だって…!

    こんにちは!
    またまた久しぶりになっています汗
    先年はぼちぼちマンガも書けて良かったのですが、そろそろ2月になりまして家庭の事情で半年くらい更新が止まってしまうかと思います。
    今しばらくはぽつぽつと小話中心に更新できればなぁと思います。ゼルとサイファーを愛でつつしばらくは家庭の事情の方をがんばろうとおもいます。
    オペオムで2月ゼル調整と聞いてソワソワしています…!!

    以下サイファーの独白というか、小話です。
    ゼルは出てきませんのでサイゼルっぽさは低いと思いますが、ゼルのことをサイファーがどう受け止めるのかというのを一回書いてみたいなぁと思っていたのでいい経験になりました。
    よければご覧ください~!



    「ルール、守るようになったのね」
    キスティスが俺の後ろでぼそりとそう呟いた。
    俺がゆっくりと後ろを振り返ると、キスティスが腕を組みながら微笑んでいるのが見えた。
    更にその顔には『もう問題児とは呼べないわ』と書いてあるように見えた。
    俺たちは数人のSeeDとエスタにモンスター生態調査に来ているところだ。
    今回の任務は生態調査のため、モンスターを殺さずに各種サンプルの回収と観察、GPS取付等の指示が下されている。
    先ほど俺達に奇襲をかけてきたモンスターを殺さずに気絶させたんだが、どうもキスティスは俺が怒りにまかせて殺しちまうと思ったらしい。
    俺はそのキスティスの安堵の表情になんだか既視感を覚えた。
    ああ、リノアだ。
    先日ティンバーで久し振りに二人で飯を食った。
    あれは来月のゼルの誕生日に贈る予定のものを買いに行った際に、丁度リノアに会ったんだった。
    「へ~!意外!ゼル用?」
    俺が手に持った明らかに贈答用のショッピングバッグを見て、ピンときたらしい。
    その流れで飯を食うことになって、昔リノアと連んでいたときによく行った馴染みの店へと足を運んだ。
    古いパブのような店で、昔と全く変わっていない。
    そこで昔のようにリノアと飯を食っていたときだ。
    「サイファー、大人になったね」
    そういってリノアはキスティスのように微笑んだのだ。
    その時は俺の何が変わったのかと意味がわからなかった。
    何もかもが変わらない場所で、俺だけが変わったなんて不快感すら感じた。

    モンスター調査からガーデンへ帰ってきて、指揮官へと報告を入れるためにスコールの元へと向かう。
    すぐに調査票と報告書を提出して部屋へと帰るつもりだったが意に反してスコールには先客があった。
    委員会の後輩がなにやら相談にきているようでしばらく時間がかかるようだ。
    仕方がないので俺は司令室の前の待機室のソファへと背を預けた。
    小一時間した頃だろうか。スコールが後輩と共に部屋から出てきた。
    出てきた後輩は俺を見たとたんに恐怖の表情を浮かべて、すぐにスコールに頭を下げると小走りで走り去っていった。

    スコールはゆっくりと俺の方へと近づいてくる。

    「待たせて悪かった」

    スコールはそう言って、入ってくれと部屋へと促される。
    俺は特に何も言わず、すっくと立ち上がってスコールの後へと続いた。

    「あんた丸くなったな」

    報告の後、スコールが書類を整理しながらそう言った。
    俺は何を言われているのか分からず、スコールを見つめる。

    「ゼルのおかげだな」

    そう言うと、ご苦労だった、もう戻って構わない。と言ってほんの少し微笑んだのだ。(あのスコールが)

    俺は部屋へと続く廊下を歩きながら、あのスコールの笑みを思い出す。
    あいつも変わったと思う。以前は凍った心をもつ男だと思っていたが、リノアと付き合いだしてからは以前のスコールとは違ってきている。
    そうして、キスティスやリノアの発言を思い出す。
    俺も気付いてないだけで変わったってのか?
    言われてみれば、最近では以前のように衝動的に行動することが少なくなった気がする。
    精神的に安定しているのが自分でも分かる。
    スコールもそうだってのか。
    ゼルのせい・・・か。

    スコールのやつは、自らの内側で解決していた物が外側に向かうようになってきている。
    俺は逆だ。以前は外側に向かっていたもんが自らの内側で解決できるようになっているのだ。

    余裕ってやつなのか。
    こうやって自分をみつめることなんて以前はなかった。
    そもそもいつもガムシャラで見つめる余裕なんて無い。
    やりたいことをやるだけで精一杯だった。

    俺も変わったな。

    ふとそう思った。
    あいつらが言ってた意味がようやく分かった。
    だが、今度は不快な気持ちにはならなかった。
    むしろ胸のすくような思いだ。

    俺は自分の部屋に戻る足を止めて、踵を返した。
    この時間ならどうせ部屋で暇を持て余している頃だ。
    進路を変えて、俺はゆっくりと歩き出した。



    拍手ありがとうございます~!
    なかなか更新できずすみません汗
    また遊びに来てくださいね~!
  • メビウスFFプレイ中です!

    こんにちは!
    ずいぶんご無沙汰になっております汗
    漫画もうちょっとなので終わらせたいんですが体調等もろもろの影響で遅れてます汗

    メビウスFFというスマホゲーがあるんですが、そこでFF8イベントが行われているということで早速インストールしてみました!
    スコールVSアルティミシアのオープニング映像なんかもあるんですが、(HPで見れます!)本編のOPを踏襲した様になっていて懐かしくも新鮮な気持ちになりました…!
    サイファーのモーションがミシアになってるんですね~。
    また、いわゆる魔女=リノア説を思わせるような始まり方で、考察もはかどるんじゃないでしょうか。

    スコールとサイファーの格好をしたグエンというキャラが使えたりするんですが、顔が全然違うのに服がサイファーだからスゴく変な感じです笑
    スコールは相変わらずスカしてます笑

    メビウス自体の感想ですが、システムが難しくて一見さんお断り感スゴいですね…。
    きちんとシステムを調べたり出来る人じゃないと続かないだろうなぁと思います。
    そしてロードが長い…。
    でも等身大のスコールを動かせる喜びといいますか、FF8の音楽でドローシステムもあって、あの雰囲気で遊べるっていうのはほんと貴重だなと思いますので、気になる方は是非やってみてください!
    サイファーやゼルも出ると嬉しいんですがそこまでサービス続かないだろうな…泣

    最近はサイゼルではショタ萌えしてまして、孤児院の頃の二人を想像してはニヤニヤしております。
    一番強い(であろう)サイファーと一番弱者だったゼルっていうのがもう萌える!
    ゼルがサイファーのことを恐れながらも、実は頼りにもしていたんじゃないかっていう。
    お化けがでてきそうで怖い!っていうときに、通常ならイデアに助けを求めにいくんでしょうけど、それ以外でを考えてみると、
    スコール→そっけない対応が待ってる
    キスティス→流石に女の子に助けを求めない気がする
    セルフィ→同上
    アーヴァイン→頼りになるタイプではない
    エルオーネ→あるかも

    そう思うと、エルオーネかサイファーの所に行くんじゃないかと…。
    サイファーもああみえて兄貴分で頼られるのは好きなタイプだから満更じゃないんだよなぁ…。
    と思うと小さい頃の二人の間には、言葉では言いづらいけど、信頼みたいなのがあった可能性があるなぁと。

    孤児院時代の妄想は膨らみます!
  • 久しぶりにお絵かき

    こんにちは!
    最近は文章ばっかり書いていましたが、久しぶりに絵をかく時間があってとても楽しいです。
    サイファーはカッコいいし、ゼルは可愛いしで描きがいがありますよね!
    その分難しいですが笑

    久しぶりに漫画描きだしましたがどうやって描くんだっけ状態で手さぐりに戻ってしまいました…。難しいですね。
    私はほっとくと話がどんどん長くなってしまうので、極力短くして描いて行こうかなと思います。20枚くらいに…納まる予定です。
    今回は「ブロークバックマウンテン」ベースですが、今夏に放映されていました「君の名前で僕を呼んで」でもやりたいなぁと…。
    切ない話多いですよね…。

    オペラオムニアでは今日第二章のFF9のストーリー展開されますが、
    FF8の番が来たときは魔女の話になるんでしょうかね~。
    ということはそこでサイファーの話になるのを期待してるんですが&EX武器もそこで来る感じでしょうかね~。
    ストーリー追加はもうしばらく先のような気もしますが、楽しみにしてます。



    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    拍手押してくださった方ありがとうございます。
    しばらくは更新ペースを上げて頑張ります!




    サイファーのカラーイラスト~のコメントありがとうございます。

    ふとした時にサイファーはゼルに、ゼルはサイファーに見とれることがあったりする両想いサイゼル萌えます…!
    サイゼルは意外と出戻りの方が多いですよね~!そういう方が、そういえば…という感じで探せるように「個人サイト」の形を取っているので、少しでも力になれているようならとても嬉しいです。
    ネットの色々な所でサイゼル好きな方を見かけるたびに私も嬉しくなります!
    そして以前にゆっくり待っていますと言って頂いたのが、今でも心の支えです!
    また、私の方も喜び勇んでフォローさせていただきましたのでイベントの時などゼルで出撃したり笑 して是非遊んでください!

    コメントありがとうございました~!


  • 完成です~!

    ■■■

    覚えのある感覚が俺を包んだ。未来に来た時と同じやつだ。
    身体が一瞬宙に浮くような感覚がして、そうして元に戻った。
    目の前の光が消えると同時に、俺はゆっくりと目を開いた。

    はたして目の前には…サイファーがいた。
    再び現れた俺に普段は鋭い眼を見開いて驚いている。

    「もどって…きたのか…?」

    辺りを見回すと、見覚えのあるバラムのホテルの景色がそこにあった。
    ベッドの上からの景色に変わりはなかった。
    違うのはベッドサイドのランプが点灯されていて、驚きの表情を見せるサイファーの顔が
    淡いオレンジ色に照らされていたことぐらいか。
    じっと彼の顔を見るが、先ほどのサイファーよりだいぶ若い。

    「良かった、帰ってこれた…」

    安堵からポロリと言葉をこぼすと、とたんに目の前のサイファーに抱きしめられた。

    「焦らせやがって」

    耳元で小さくこぼされたその言葉に、こいつも不安に思っていたことが窺いしれた。

    「ごめん。未来に行ってたんだ」

    そう言った途端、ゆっくりと離れたサイファーが口を開いた。

    「知ってる。『おまえ』に聞いた」

    「未来の俺って、どんなだった…?」

    つい持ち前の好奇心が前に出てしまった。

    「色々教えてくれたぜ?イロイロな。」

    そう言って意味深にニヤリを笑うサイファーを見て、こいつはあんまり変わってないなと
    なんだか嬉しい気持ちがこみ上げる。

    「身体の方は大丈夫か?」

    そうこうする間に、サイファーは俺の身体をチェックし始めた。
    あちこちを触られて、痛みが無いかを確認される。
    その熱い手と眼差しに、先ほどまで熱を持っていた俺の体が反応し始めてしまう。
    俺の首元を確認していたサイファーが、偶然俺の下半身に目を遣った時、一瞬片眉を上げた

    のを見てしまう。
    だがそのすぐ後に20年後のサイファーと全く同じように意地の悪い笑みを浮かべた。

    「こいつはなんだぁ?」

    そう言って立ち上がった俺のソレを指の先でもてあそぶ。

    「くぅっ…ぁ」

    くりくりと指で先を弄られて、達しきれなかったあの感覚が蘇ってくる。
    そっとサイファーを見ると、あいつのも固くなっていた。
    そこに手を伸ばして、ゆっくりとさすってみる。

    「ん…!」

    俺からアクションを起こすことって殆ど無かったからな。
    あいつは驚いて声を漏らすと、俺に対抗するように俺のモノを口に入れた。

    「あぁ…」

    じゅぷじゅぷと音を鳴らしてそこを刺激される。ぬるりとした感覚が気持ちいい。
    俺も負けじとアイツのものをしごく。
    何度も繰り返されて、次第に限界が近づく。

    「なぁ…」

    俺らしくない声だと分かってたけど、もう我慢できなかった。
    未来のサイファーにされたようにされたかった。いや、もっと先まで知りたかった。
    恐怖はもうなかった。

    「どうして欲しいか言えよ」だとか「自分でしてみろ」だとかを言われるかと
    身構えたが、サイファーはそのどちらも口にしなかった。
    ただガバリと俺に伸し掛かって、熱いモノを俺の熱くなったそこに押し当てた。
    先ほどまで同じ大きさのものを銜え込んでいていたそこは、殆ど抵抗なくサイファーを
    飲み込んだ。
    まだ湿り気のある内部はくぷりと音を立てて亀頭の侵入を受け入れる。

    「ぁぁ…いい…っ」

    固いそれが当たるだけで、じんじんと快感が広がる。
    俺のいい場所を何度も引っ掻いて行き来するそれに声が止められない。

    「ぁ、そこっ…ぁん」
    「ああ分かってる」

    最初は伺うような浅い抽挿が、次第に速度と体重を乗せた衝撃に変わっていく。

    「あ!ああっ!ああん!」

    叩きつけるような腰の動きに翻弄される。
    サイファーに合わせて腰が揺れてしまう。
    結合部で泡立つ体液が糸を引く。

    その時激しいピストンの勢いに狙いを外したサイファーのそれが偶然俺の最奥をこじ開けた



    「ぁあああんっ!!」

    奥でサイファーを味わうあの感覚が体に走り抜ける。
    折り曲げた足の先までピンと攣って、思わずサイファーにしがみついた。

    サイファーはぬるりと熱塊を引き抜くと、今度は迷いなく最奥まで熱を突き入れた。

    「んんぅううっ!」
    「奥が感じるんだろ」

    太い根元までいっぱいに咥えたおれのソコはまるで喜ぶように震えた。
    俺が否定しないのを了承と捉えたらしいサイファーは、今度は狙いを俺の最奥へと定めたよ

    うだった。
    何度も強く奥を押し上げられる。その度に体中に震えと快感が走って声が止められない。

    「ああぁ!あぁん!いいっ!」

    サイファーにしがみつくのが精いっぱいで、口元からこぼれる唾液を拭えない。
    奥を突き上げられるたびに快感にキュウと中がサイファーを締め上げるのが分かる。
    その度にサイファーから声が漏れて、汗が伝い落ちる。
    それでも何度でもソレは奥を貫きにくる。
    目の前がチカチカする。頭も心も腰もジンジンと痺れて、
    俺の固くなった先端へと覚えのある感覚が迫る。

    「サイファっ!ああっ!イクっ!」

    先ほどの走り抜けられなかったもどかしさが蘇る。

    「ああっ!もっとぉ!サイファぁん!」

    先をねだって自身も腰を揺らす。ゴクリと喉を鳴らしたサイファーがピストンを速めた。
    肉のぶつかる衝撃に遅れて音が響く。
    結合部から溢れた体液が身体と身体の間で水音を響かせる。
    身体の奥から今まで感じたことのない快感が押し寄せる。

    「ああ、あああ、ああああっ!!!」

    叩きつけられる芯棒から溢れる快感が止められない。

    「あああああイクぅうっ!」

    しがみ付いたサイファーに爪を立てながら、全身を硬直させて絶頂を迎えた。

    「ぁ…っ!……っっ!!」

    腰から砕けるような快感が襲う度、先端から溢れるように精をこぼした。

    うまく息が吸えなくてクラクラする。
    その時自分の上にサイファーが倒れこんできた。

    俺の横のシーツが皺になるぐらい強く握りしめて、達しているようだった。
    同時に俺の奥にじんと熱いものが注がれるのが分かった。
    何度か腰を痙攣させたサイファーは詰めていた息を吐いてハァハァと肩で息をしていた。

    俺もベッドの上に倒れこんだままぼうっとした頭で呼吸を整える。
    霞のかかった意識に段々と現実が戻ってくる。

    「ずいぶんとよかったみたいだな」

    サイファーがベッドに後ろ手を付ながら意地の悪いことを言う。

    「う、うるせぇ!」

    最中の自分の痴態を思い出して、頭を抱える。
    こんな風になるなんて当初は全く思いもしなかった。
    自分の中にあった感覚に驚きを隠せない。
    指の隙間からサイファーを覗き見ると天井を見上げて薄らと微笑んでいるようだった。

    未来の俺は無事に帰れただろうか。
    今ならわかる。きっと大丈夫だ。
    今頃サイファーから受け取ったミネラルウォーターで一息ついていることだろう。

    「そういやあ」

    未来の俺たちに思いを馳せているとサイファーが上を向いたまま口を開いた。

    「なんで急に入れ替わったんだ?」

    無事戻ってきたことで忘れていたが、今後ないとも限らない。
    最近は何か普段と違う事をしただろうか?
    うーんと頭を捻っていると、隣から急に笑い声が響いた。
    そちらに目を向けると、サイファーが肩を震わせて小さく笑っていた。

    「オダインだ」

    核心を得たような声だった。
    その名前を聞いて、俺も数日前の事を急速に思い出していく。
    俺たちはオダイン研究所で『物体の転送』の手伝いをしていたんだ。
    この技術が確立されれば輸送の常識が変わるとかで今エスタが本腰を入れている技術だ。
    特に俺はオダインの近くで臨床実験に付き合っていて、実験台にされそうになったくらいだ

    ったから(契約になかったし転送は断ったけどな!)影響が出たのかもしれない。

    一時は何が起こったかと思ったが、今思えば20年後までこいつと一緒にいることも分かった

    し、悪くなかったのかもしれない。
    俺たちのベッドでの技術もまだまだだけど、先は長いって分かったし。

    「これからもよろしくな」

    唐突とは分かってたけどサイファーにどうしても言いたかった。
    言われた瞬間不思議そうな顔をしてたけど、意味を悟ったのだろう。

    「覚悟しとけよ?」

    そう言ってサイファーはニカリと笑った。


    終わり



    ーーーーーーーーーーーーーーーー

    未来のサイゼルと交換するっていうお約束のアレがやりたかったやつです笑
    あとエロに挑戦しようと思ってエロ多めにしてあります…!
    普段私のエロ?は地の文が多いのですが、とにかくゼルにあんあん言わそう!!と頑張った結果こんな感じになりましたが如何でしょうか…?
    調整が難しいです。
  • 更に続きです~!

    そんなことをしている場合ではないと頭では分かっていても、体がいう事を聞かない。
    サイファーはそんな俺の様子を見て、意地悪く焦らしてくる。
    熱を持ったそこに、固いものがゆっくりと押し当てられる。

    「はぁっ…ぁっ…」

    その度に、身体に熱いものがこみ上げる。
    普段のサイファーとは違う、その様子に俺は戸惑った。
    サイファーは俺が慣れたと思ったのだろう、揺らしていた体を近づけて
    俺に更に深く入り込もうとしている。
    後孔にジワリと圧力が加わるのが分かる。

    「まってくれ…奥はまだ…!」

    初めての恐怖に俺は思わずサイファーを押し返した。
    しかし俺の時代のサイファーより一回りガタイがよくなった彼を
    押しのけることはできなかった。

    「あ、あ…あ…っ」

    ぬぷりぬぷりとサイファーのそれが俺の奥まで侵入してくる。
    俺はその息苦しさに、はぁはぁと何度も浅く呼吸を繰り返して深い挿入に耐えた。
    最奥までたどり着いたサイファーは、深く息を吐いて「きついな…」と零した。
    その圧迫感と内臓が押し上げられるような感覚に身体が小刻みに震える。
    俺は恐る恐るそのつながっている部分に目をやった。

    「す…げ…」

    あいつのモノを根元まで銜え込んでいる。
    その時、頭上のサイファーから声が掛かった。

    「おい、お前らほんとに普段からヤってんのか?食い千切られそうだ」

    俺を見下ろしたサイファーは、不可解だと言いたげだ。
    俺は一瞬恥ずかしさに逡巡したが、本人に嘘を言っても仕方がない。

    「さ、最後までしたことないんだよ、まだ」

    サイファーは静かに俺を見下ろしている。

    「そ、その…痛くて…」

    そこまで言うと、サイファーは何かを考えるように明後日を見つめた。
    そうして何かに思い至ったのか
    「そういやあ…そんな時もあったなぁ」と言葉を漏らした。

    しかし次の瞬間、あの意地の悪い笑みが再びサイファーからこぼれた。

    「なら俺で慣れてけ」

    そう言うと、先ほどまで根元まで差し込んでいたそれをゆっくり引き抜いた。

    「なっ…!」
    「どっちも『俺』なんだ。問題ないだろ?」

    そうして大きなストロークで再び挿入を始める。

    「あ!あ!あっ…!」

    今まで感じたことの無い快感が、腰から背骨に走り抜けた。

    「こっちのお前はいつも善がってるぜ。」

    サイファーが体を波打たせながら、何度も腸壁にソレを擦り付けてくる。

    「…んっ!ぁん…!ああぁ!」

    その急所をこする巧みな動きに、知らぬ間に俺の腰も揺れてしまう。
    こんな恥ずかしい事俺は知らない。したくない。なのに体がいう事を聞かない。

    「その調子だ…っ」

    息を弾ませながら、サイファーがニヤリと笑った。

    次第に竿を擦り付けるように動いていた動きが、奥まった一点を探すような
    動きに変わる。

    「この辺のはずだが…」

    サイファーが動くたびに、すっかり立ち上がった俺のモノからぬるつくものが零れる。
    気持ちが良くて仕方がない。

    「ああああ!あああそこっ!!」

    与えられるもどかしさと快感に身を任せているその時に、背が弓なりになるほどの
    衝撃が襲った。
    探る様に辺りを押し上げていた中に、飛び切りの場所があったのだ。
    剥き出しの神経を無遠慮に突き上げるその刺激に、俺は声を抑えることが出来なかった。

    「はぁ、はぁ…うそだ…そんなとこ…」

    肩で呼吸をして一息ついた俺に、サイファーはようやく見つけたとばかりに
    襲いかかった。

    「ああ!ああっ…!きもちいっ…!あああ!」

    何度も何度もそこを目がけて楔が撃ち込まれる。
    少しのズレもなく突き上げられるそこは完全にサイファーに降参の姿勢を示して、
    彼の杭が引っ込むたびに与えられる快楽を今か今かと待ちわびている。

    「いいっ!ああっ…!」

    俺の中にこんなところがあったなんて知らなかった。こんなに気持ちいいなんて。
    衝撃に身を任せ、快感を何度も追った。
    シーツを何度も掻き毟って、あいつの腕の中で何度も暴れた。

    次第に納まった動きに、ぎゅっと閉じていた瞳を薄らと開けてサイファーを見上げると、
    そこには肩で息をしたあいつがこちらを見下ろしていた。

    「たまんねぇだろ。」

    そう言うと息の切れた声が耳元でささやかれる。

    「…お前らもじきにこうなる。」

    そうして「もうちっと教えといてやる」と言うや否や、先ほどよりも更に奥へと
    芯を押し込まれた。

    「ううっ…」

    最奥を押し上げるそれは、最初ほどまでとはいかないまでも圧迫感が襲う。
    深いところまで入っているのはもちろんだが、絶対あいつのアレがデカいせいだ。
    熱くなった体を持て余しながら、俺はひとりごちた。

    「苦しい以外に何か感じねえか?」

    横を向いて呼吸で必死に圧迫感を逃がす俺に、サイファーは伺うように問いかける。
    そうして奥まで入れたまま、ぐいぐいと腰を押し付けてくる。

    「何かって…」

    快感に溶けてぼおっとした頭で後孔の感覚を追ってみる。
    すると、苦しさの中にほのかに感じるとっかかりのようなものがあった。

    「なんか、感じる…」

    虚ろな声でそう訴えると、よし!という掛け声とともにゆったりとした抜き差しが始まった。
    サイファーとは思えない優しさで体を撫で、その度に奥の小道を出入りする。
    何度も繰り返されるそれに、次第にズンという感覚が俺を襲う。

    「う…ぅうん…」

    サイファーの先が俺の奥を掻き回すように攻めだすと、とたんにその感覚は強くなって
    俺を支配していく。
    奥を貫かれるたびに、腰に、体に衝撃が叩き込まれる。
    そうして次の瞬間、再び背骨を弓なりにして足の先まで固まるような快感が体中を走った。

    「んんんぅ!!!」

    待ってましたとばかりに、サイファーの動きが加速する。

    「はぁん!ああ!いい!ああん!」

    鼻から抜ける声が自分でもいやらしいと思った。でもあまりの気持ちよさに止められない。
    奥まで差し込まれ、何度も押し込まれるように押し上げられるそこは
    じゅぷじゅぷと水音を響かせている。
    サイファーのハァハァという声が耳元で聞こえる。時折それに噛みしめるような
    声が混じるのはこいつも気持ちいいと思っていてくれているからだろうか。

    サイファーの動きに合わせて腰を揺らすたびに、奥が吸い付く様にサイファーの
    固い先端を包み込んで舐めまわすのが自分でもわかる。
    目の前がチカチカしてもうなにがなんだかわからない。
    イク。イキたい。気持ちいい。イキたい。今はそれしか考えられない。

    絶頂を目指して駆け抜けていたその時、急にサイファーが俺から情熱を抜いて身体を
    離した。
    もう少しで頂点に登れそうだった俺は息も絶え絶えに、なんとか体を起こした彼を見遣る。

    荒い息をついたサイファーは、雄芯の根元をきつく掴んでベットの上で息を整えていた。
    先端が濡れそぼって真っ赤になっているのを見るに、彼も絶頂の手前だったようだ。

    「な、んで…」

    喉がカラカラで乾いた声しか出なかったが、意味は伝わるはずだ。

    「お前の相手は俺じゃねぇだろ。俺が出来るのはここまでだ」

    突然の事にほおけていると、サイファーが俺から目を離して何かに目を遣っている。
    その視線の先を追うと、ベッドサイドのデジタル式の時計のようだ。

    「そろそろ時間だな」

    サイファーはそういうと、ベッドから降りて部屋から出て行ってしまった。
    取り残された俺は、何が何だかわからない。

    そうする間に、サイファーが両手にミネラルウォーターの入ったペットボトルを
    もって部屋へと戻ってきた。3本もだ。

    「じ、時間ってなんだよ」

    とりあえず、疑問に思ったことを聞いてみる。

    「時間になればわかる」
    「それじゃ説明になってないだろ!」

    サイファーは俺にペットボトルを1本渡すと、うち1本を自分で開けて飲み始めた。
    俺も自分の体を鎮めるため、ペットボトルのキャップをひねった。

    「覚えてんだよ。」

    水の半分ほどを飲み干した頃、サイファーがそう口を開いた。

    「昔テメェとヤってる時、未来のテメェに会った」

    少し上方を見ているのは記憶を思い起こしているからだろうか。

    「そんで未来のテメェとヤった。さっきの俺たちみたいにな」
    「あんあん善がって腰振っててびっくりしたぜ。こんな喜ばせれるのかってな」
    「そんで奴は帰って行った。そんだけだ」

    そう言ってサイファーは自分の水を煽った。

    「ど、どうやって帰ったんだよ」

    そういった瞬間、目の前が真っ白になった。こちらに来た時と同じだ。

    「そうやってだ」

    そう聞こえた次の瞬間には、もう何も聞こえなくなっていた。何の感触もない。
    俺はなされるがままに身を任せた。




    もうちょっとだけ続きます






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    拍手ありがとうございます~!
    頑張ります!!

  • 早速小話続きです

    「おい、落ち着け」
    まだ起こった事態を把握できない俺の頬を、サイファーは軽く数度打つ。
    「ここは俺たちのマンションだ。お前はどこから来た」
    一瞬言われた意味を理解できなかったが、目の前のサイファーは俺の反応を伺っている。
    「あ…えと…バラムのホテルから…。」
    混乱した頭では、聞かれたことを答えるのが精いっぱいだった。
    だが、目の前のサイファーずいぶんと落ち着いていて、冷静に俺を観察しているようだ。
    「ずいぶん若いな…お前いくつだ?」
    「…18」
    「ここのあいつは38だ。ずいぶんと可笑しなことになったぜ」

    ……

    言っている意味がよく分からずじっとサイファーを凝視してしまった。
    まだ状況が分かっていない俺にしびれを切らしたのか、サイファーが急に体を起こした。
    先ほどまで彼に遮られていた光が飛び込んでくる。
    それを目を細めてやり過ごして、辺りを見て驚く。

    落ち着いた広めの部屋に大きなベッドが置かれ(俺が横になっている奴だ)、
    俺たちを照らすベッドサイドランプ、デスクには本が積み上げられている。
    枕元にはデジタル式の目覚まし時計が淡い光を放っている。

    呆然と辺りを見回した後、目の前のサイファーへと目を向けると、
    ようやく状況が分かったかと大きなため息をつかれてしまった。

    「SeeDってのは想定外の事態にも対応できるように訓練されてるんだよなぁ?」

    真上からグサリと刺さる一言が降り注ぐ。

    「しょ、しょうがねーだろ!いきなりおかしなことに…」
    とそこまで口に出して身体を起こそうとして気が付いた。
    …入っている。何がって、アレだよ、アレ。サイファーのアレが
    まだ俺にずっぷり入っていたんだ。

    「おっ…!ちょ…抜いてくれ!」

    更に混乱した俺が暴れるのが分かったのだろう、サイファーが再び近づいてきて
    両肩を手で抑え込まれた。

    「落ち着けって」
    「お、落ち着いてられるかよ!な、なんで入ってんだよ!」
    「そりゃさっきまでヤってたからに決まってんだろ」
    「だ、だ、誰とだよ!」
    「テメェに決まってんだろ。何聞いてやがる。いい加減落ち着け」

    俺と言えばサイファーの衝撃の発言に、口をパクパクとさせるばかりだ。
    だが彼の言うとおり、俺だって一端のSeeDだ。そろそろ落ち着かなければ。

    「わ、分かった。そ、それで何があったんだ…?」
    「俺たちはさっきまでここでヤってた。が、突然アイツが消えてテメェがここに来た」
    俺が落ち着いてきたとわかったのか、サイファーが肩から腕を離した。
    「テメェは18なんだろ?ってことは、テメェにとってここは20年後の世界だ」
    「2、20年後…」
    サイファーがちょっと老けたような気がしたのはそういう事だったのか。
    自分の感覚と合致して納得しかけたところで気付く。
    「ってことは20年後の俺は…」
    「多分、20年前…つまりお前の世界に居るんだろうなぁ」
    顎のあたりに手を当てながら、サイファーが思いを馳せるようにそう言い放った。

    その時、未だ刺さったままだったサイファーのそれが、俺の内側を偶然押し上げた。
    「あぁっ…!」
    その気持ちよさに、思わず悩ましげな声をあげてしまった。
    「……」
    その様子をじっと見ていたサイファーが、突如ニヤリと口元をゆがめた。
    意地の悪いことを考えているときのサイファーのその癖に、俺の中の嫌な予感が鳴り響く。
    そのまま何も言わず、こちらを伺うようにしながらサイファーが腰を揺らしだした。
    「あ…あ…あっ!」
    その巧みな動きに、俺の中がジンジンと熱を持ち出す。
    このままではまずい。

    「も、戻る方法探さないと!」

    俺はサイファーの気を反らすためにとっさに言葉を口にした。

    「問題ない。」

    サイファーはそれだけ言って、行為を再開しだした。



    つづく






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    拍手ありがとうございます!
    また遊びに来てくださいませ~!

  • 復帰しました!

    こんにちは~!
    7月からの体調不良も無事回復してきまして、無事日常生活に復帰いたしました。
    止まっている間に書きたい話も増えまして、また更新していければと思います。
    しばらくは時間があるので、積極的に更新したいなと思っています。
    来年になったらまた私用で時間が取れなくなることが分かっていますので、それまでに怒涛の更新ができるといいな…!

    ご連絡でした~!
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