こんにちは!
すっかり年末になってしまいましたね。
今はまた寄稿するための漫画を書いています。またこちらで紹介させていただきますね!
さて、今年こそはとサイファーの誕生日に間に合わせようとしたんですが、悲しくも間に合わなかったので、ゼルも間に合わなかったという小話を書きました。
私はいつも話が長くなっていってしまうので、要点のみで短く書く!というのを意識して書きました。
少しでもお楽しみいただければ幸いです~!
「悪い…任務延びちまって…」
家に帰るなり、ゼルが開口一番そう言って申し訳なさそうに頭を掻いた。
今日は12月26日。同居する二人の家に、サイファーの誕生日には帰ってこられるはずのゼルだったが、目当てのモンスターが見つからなかったせいで任務がしっかりと延長されてしまい、ついに帰宅の日はクリスマスまで飛び越えてしまった。
家ですっかり年末の休暇に入っていたサイファーは、誕生日なんざ別に構わねえよ、と素っ気なく答える。
「んなわけいくかよ!…といっても俺、時間なくてケーキもプレゼントも準備できてねえんだけどさ…」
そう言って子犬のようにショボンとしてしまう。
サイファーの誕生日を祝うんだと張り切って出かけていったのだ。
すべてが駄目になってしまった悲しみはサイファーにも理解できた。
「俺にプレゼントしたいのか?」
サイファーは部屋の入り口でしょぼくれるゼルを見てそう声をかけた。
「たりめえだろ!」
ゼルはバッと顔を上げるとそう吠えて、だが急に何かに気づいたように赤くなる。
「あ、ででもエロいのは無しだぞ!」
焦ったようにそう言うと、サイファーの出方を伺っている。
「そんなんじゃねえよ。まあいい、ともかく部屋に入れ」
そう言ってゼルを座らせると、二人分のコーヒーを入れてゼルの前に戻ってきた。
暖かなコーヒーにゼルがホッと一息着いたとき、サイファーが口を開いた。
「お前の秘密をひとつ寄越せ」
凛とした声が部屋に響いた。
プレゼントのことを言われているんだとゼルはすぐに気がつく。
「ひ、秘密ってなんだ?」
「そりゃお前にしか分かんねえだろうが」
「何でもいい。思いつかねえならお前のオナネタでもいいぜ?」
「なっ!!そ、そんなもんねーよ!」
「そこは嘘でも俺って言っとけよ…。まあいい。一緒に住んでたって秘密の一つや二つはあんだろうが」
サイファーはそう言うと、じっとゼルを凝視した。
見透かされるような視線にゼルは思わずたじろぐ。
秘密は…ある。いくつもだ。でもサイファーには言いたくない。だからこそ秘密にしているのだ。
でもこの男はそれすらも知りたいと言う。
「アンタにとって嫌な話かもしれないぜ?」
「構わねえよ」
間髪入れずに返事が返ってくる。
そこまで言うならと、ゼルは話し始めた。
「先月だけど…俺告られたんだ」
ゼルは思い切って言い切った。
サイファーの眉間がピクリと動くが、口を挟む気はないらしい。
続けろと視線が物語っている。
「年下の奴で、お、男」
ゼルが言いにくそうにモゴモゴと言葉を濁す。
「あ、勿論断ったんだぜ!でもすげえ粘るやつでさ、アンタがいる事も知ってたんだけど引かなくて…」
そう言葉を切ってゼルはサイファーを見た。
ムッスリと顔に不機嫌を張り付けながら腕を組んでいる。
体から『どうして言わなかった』というオーラがバシバシと出ているのが見えた。
「だから言いたくなかったんだよ!」
「何も言ってねえだろうが!」
「言ってるって!顔が言ってる!」
「生まれてこの方、傷以外はこういう顔なんだよ!それよりどうしたのか早く言え!」
ゼルはサイファーの剣幕におびえながらも、続きを話し始めた。
「サイファーなんかのどこがいいのかって。ゼルはもう我慢しなくていいんだって引かなくて…」
ゼルがゴクリとつばを飲み込んだ。
「だから俺、『確かにアイツは自分勝手だし気に入らないと無視するし、すぐ力で解決しようとするし、ちょっとしたことで怒るけどな…でもそういう嫌なとこも含めてサイファーらしさであって、そういうとこも好きなんだって』言ったら、嫌いなとこまで好きなんて言われたらもう手の出しようがないって言われてさ」
早口でそう言い切ると、最後に諦めたみてえと付け加えた。
そうしてチラリと…サイファーを見ると見たことのない不思議な顔をしていた。
「サイファー…?」
不安になってそっと名前を呼ぶと、サイファーと目があった。
「貶されてんのか誉められてんのか分からなかったが…お前の気持ちは分かった。そんなに俺のことが好きだったって事もな。秘密、二つも貰っちまったな。」
そういうと、コーヒーを机に置いて突然立ち上がった。
「一つ返しとくぜ」
ゼルの目の前まで来ると、突然ゼルへと口付けた。
「決めたぜ。来年の誕生日もお前の秘密を貰う。これからもずっとだ」
いつものサイファーに戻ったような笑みと共に恐ろしい宣言が下される。
「最後には丸裸にしてやる。悪くない秘密だったぜ」
おわり
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