「おい、落ち着け」
まだ起こった事態を把握できない俺の頬を、サイファーは軽く数度打つ。
「ここは俺たちのマンションだ。お前はどこから来た」
一瞬言われた意味を理解できなかったが、目の前のサイファーは俺の反応を伺っている。
「あ…えと…バラムのホテルから…。」
混乱した頭では、聞かれたことを答えるのが精いっぱいだった。
だが、目の前のサイファーずいぶんと落ち着いていて、冷静に俺を観察しているようだ。
「ずいぶん若いな…お前いくつだ?」
「…18」
「ここのあいつは38だ。ずいぶんと可笑しなことになったぜ」
……
言っている意味がよく分からずじっとサイファーを凝視してしまった。
まだ状況が分かっていない俺にしびれを切らしたのか、サイファーが急に体を起こした。
先ほどまで彼に遮られていた光が飛び込んでくる。
それを目を細めてやり過ごして、辺りを見て驚く。
落ち着いた広めの部屋に大きなベッドが置かれ(俺が横になっている奴だ)、
俺たちを照らすベッドサイドランプ、デスクには本が積み上げられている。
枕元にはデジタル式の目覚まし時計が淡い光を放っている。
呆然と辺りを見回した後、目の前のサイファーへと目を向けると、
ようやく状況が分かったかと大きなため息をつかれてしまった。
「SeeDってのは想定外の事態にも対応できるように訓練されてるんだよなぁ?」
真上からグサリと刺さる一言が降り注ぐ。
「しょ、しょうがねーだろ!いきなりおかしなことに…」
とそこまで口に出して身体を起こそうとして気が付いた。
…入っている。何がって、アレだよ、アレ。サイファーのアレが
まだ俺にずっぷり入っていたんだ。
「おっ…!ちょ…抜いてくれ!」
更に混乱した俺が暴れるのが分かったのだろう、サイファーが再び近づいてきて
両肩を手で抑え込まれた。
「落ち着けって」
「お、落ち着いてられるかよ!な、なんで入ってんだよ!」
「そりゃさっきまでヤってたからに決まってんだろ」
「だ、だ、誰とだよ!」
「テメェに決まってんだろ。何聞いてやがる。いい加減落ち着け」
俺と言えばサイファーの衝撃の発言に、口をパクパクとさせるばかりだ。
だが彼の言うとおり、俺だって一端のSeeDだ。そろそろ落ち着かなければ。
「わ、分かった。そ、それで何があったんだ…?」
「俺たちはさっきまでここでヤってた。が、突然アイツが消えてテメェがここに来た」
俺が落ち着いてきたとわかったのか、サイファーが肩から腕を離した。
「テメェは18なんだろ?ってことは、テメェにとってここは20年後の世界だ」
「2、20年後…」
サイファーがちょっと老けたような気がしたのはそういう事だったのか。
自分の感覚と合致して納得しかけたところで気付く。
「ってことは20年後の俺は…」
「多分、20年前…つまりお前の世界に居るんだろうなぁ」
顎のあたりに手を当てながら、サイファーが思いを馳せるようにそう言い放った。
その時、未だ刺さったままだったサイファーのそれが、俺の内側を偶然押し上げた。
「あぁっ…!」
その気持ちよさに、思わず悩ましげな声をあげてしまった。
「……」
その様子をじっと見ていたサイファーが、突如ニヤリと口元をゆがめた。
意地の悪いことを考えているときのサイファーのその癖に、俺の中の嫌な予感が鳴り響く。
そのまま何も言わず、こちらを伺うようにしながらサイファーが腰を揺らしだした。
「あ…あ…あっ!」
その巧みな動きに、俺の中がジンジンと熱を持ち出す。
このままではまずい。
「も、戻る方法探さないと!」
俺はサイファーの気を反らすためにとっさに言葉を口にした。
「問題ない。」
サイファーはそれだけ言って、行為を再開しだした。
つづく
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