そんなことをしている場合ではないと頭では分かっていても、体がいう事を聞かない。
サイファーはそんな俺の様子を見て、意地悪く焦らしてくる。
熱を持ったそこに、固いものがゆっくりと押し当てられる。
「はぁっ…ぁっ…」
その度に、身体に熱いものがこみ上げる。
普段のサイファーとは違う、その様子に俺は戸惑った。
サイファーは俺が慣れたと思ったのだろう、揺らしていた体を近づけて
俺に更に深く入り込もうとしている。
後孔にジワリと圧力が加わるのが分かる。
「まってくれ…奥はまだ…!」
初めての恐怖に俺は思わずサイファーを押し返した。
しかし俺の時代のサイファーより一回りガタイがよくなった彼を
押しのけることはできなかった。
「あ、あ…あ…っ」
ぬぷりぬぷりとサイファーのそれが俺の奥まで侵入してくる。
俺はその息苦しさに、はぁはぁと何度も浅く呼吸を繰り返して深い挿入に耐えた。
最奥までたどり着いたサイファーは、深く息を吐いて「きついな…」と零した。
その圧迫感と内臓が押し上げられるような感覚に身体が小刻みに震える。
俺は恐る恐るそのつながっている部分に目をやった。
「す…げ…」
あいつのモノを根元まで銜え込んでいる。
その時、頭上のサイファーから声が掛かった。
「おい、お前らほんとに普段からヤってんのか?食い千切られそうだ」
俺を見下ろしたサイファーは、不可解だと言いたげだ。
俺は一瞬恥ずかしさに逡巡したが、本人に嘘を言っても仕方がない。
「さ、最後までしたことないんだよ、まだ」
サイファーは静かに俺を見下ろしている。
「そ、その…痛くて…」
そこまで言うと、サイファーは何かを考えるように明後日を見つめた。
そうして何かに思い至ったのか
「そういやあ…そんな時もあったなぁ」と言葉を漏らした。
しかし次の瞬間、あの意地の悪い笑みが再びサイファーからこぼれた。
「なら俺で慣れてけ」
そう言うと、先ほどまで根元まで差し込んでいたそれをゆっくり引き抜いた。
「なっ…!」
「どっちも『俺』なんだ。問題ないだろ?」
そうして大きなストロークで再び挿入を始める。
「あ!あ!あっ…!」
今まで感じたことの無い快感が、腰から背骨に走り抜けた。
「こっちのお前はいつも善がってるぜ。」
サイファーが体を波打たせながら、何度も腸壁にソレを擦り付けてくる。
「…んっ!ぁん…!ああぁ!」
その急所をこする巧みな動きに、知らぬ間に俺の腰も揺れてしまう。
こんな恥ずかしい事俺は知らない。したくない。なのに体がいう事を聞かない。
「その調子だ…っ」
息を弾ませながら、サイファーがニヤリと笑った。
次第に竿を擦り付けるように動いていた動きが、奥まった一点を探すような
動きに変わる。
「この辺のはずだが…」
サイファーが動くたびに、すっかり立ち上がった俺のモノからぬるつくものが零れる。
気持ちが良くて仕方がない。
「ああああ!あああそこっ!!」
与えられるもどかしさと快感に身を任せているその時に、背が弓なりになるほどの
衝撃が襲った。
探る様に辺りを押し上げていた中に、飛び切りの場所があったのだ。
剥き出しの神経を無遠慮に突き上げるその刺激に、俺は声を抑えることが出来なかった。
「はぁ、はぁ…うそだ…そんなとこ…」
肩で呼吸をして一息ついた俺に、サイファーはようやく見つけたとばかりに
襲いかかった。
「ああ!ああっ…!きもちいっ…!あああ!」
何度も何度もそこを目がけて楔が撃ち込まれる。
少しのズレもなく突き上げられるそこは完全にサイファーに降参の姿勢を示して、
彼の杭が引っ込むたびに与えられる快楽を今か今かと待ちわびている。
「いいっ!ああっ…!」
俺の中にこんなところがあったなんて知らなかった。こんなに気持ちいいなんて。
衝撃に身を任せ、快感を何度も追った。
シーツを何度も掻き毟って、あいつの腕の中で何度も暴れた。
次第に納まった動きに、ぎゅっと閉じていた瞳を薄らと開けてサイファーを見上げると、
そこには肩で息をしたあいつがこちらを見下ろしていた。
「たまんねぇだろ。」
そう言うと息の切れた声が耳元でささやかれる。
「…お前らもじきにこうなる。」
そうして「もうちっと教えといてやる」と言うや否や、先ほどよりも更に奥へと
芯を押し込まれた。
「ううっ…」
最奥を押し上げるそれは、最初ほどまでとはいかないまでも圧迫感が襲う。
深いところまで入っているのはもちろんだが、絶対あいつのアレがデカいせいだ。
熱くなった体を持て余しながら、俺はひとりごちた。
「苦しい以外に何か感じねえか?」
横を向いて呼吸で必死に圧迫感を逃がす俺に、サイファーは伺うように問いかける。
そうして奥まで入れたまま、ぐいぐいと腰を押し付けてくる。
「何かって…」
快感に溶けてぼおっとした頭で後孔の感覚を追ってみる。
すると、苦しさの中にほのかに感じるとっかかりのようなものがあった。
「なんか、感じる…」
虚ろな声でそう訴えると、よし!という掛け声とともにゆったりとした抜き差しが始まった。
サイファーとは思えない優しさで体を撫で、その度に奥の小道を出入りする。
何度も繰り返されるそれに、次第にズンという感覚が俺を襲う。
「う…ぅうん…」
サイファーの先が俺の奥を掻き回すように攻めだすと、とたんにその感覚は強くなって
俺を支配していく。
奥を貫かれるたびに、腰に、体に衝撃が叩き込まれる。
そうして次の瞬間、再び背骨を弓なりにして足の先まで固まるような快感が体中を走った。
「んんんぅ!!!」
待ってましたとばかりに、サイファーの動きが加速する。
「はぁん!ああ!いい!ああん!」
鼻から抜ける声が自分でもいやらしいと思った。でもあまりの気持ちよさに止められない。
奥まで差し込まれ、何度も押し込まれるように押し上げられるそこは
じゅぷじゅぷと水音を響かせている。
サイファーのハァハァという声が耳元で聞こえる。時折それに噛みしめるような
声が混じるのはこいつも気持ちいいと思っていてくれているからだろうか。
サイファーの動きに合わせて腰を揺らすたびに、奥が吸い付く様にサイファーの
固い先端を包み込んで舐めまわすのが自分でもわかる。
目の前がチカチカしてもうなにがなんだかわからない。
イク。イキたい。気持ちいい。イキたい。今はそれしか考えられない。
絶頂を目指して駆け抜けていたその時、急にサイファーが俺から情熱を抜いて身体を
離した。
もう少しで頂点に登れそうだった俺は息も絶え絶えに、なんとか体を起こした彼を見遣る。
荒い息をついたサイファーは、雄芯の根元をきつく掴んでベットの上で息を整えていた。
先端が濡れそぼって真っ赤になっているのを見るに、彼も絶頂の手前だったようだ。
「な、んで…」
喉がカラカラで乾いた声しか出なかったが、意味は伝わるはずだ。
「お前の相手は俺じゃねぇだろ。俺が出来るのはここまでだ」
突然の事にほおけていると、サイファーが俺から目を離して何かに目を遣っている。
その視線の先を追うと、ベッドサイドのデジタル式の時計のようだ。
「そろそろ時間だな」
サイファーはそういうと、ベッドから降りて部屋から出て行ってしまった。
取り残された俺は、何が何だかわからない。
そうする間に、サイファーが両手にミネラルウォーターの入ったペットボトルを
もって部屋へと戻ってきた。3本もだ。
「じ、時間ってなんだよ」
とりあえず、疑問に思ったことを聞いてみる。
「時間になればわかる」
「それじゃ説明になってないだろ!」
サイファーは俺にペットボトルを1本渡すと、うち1本を自分で開けて飲み始めた。
俺も自分の体を鎮めるため、ペットボトルのキャップをひねった。
「覚えてんだよ。」
水の半分ほどを飲み干した頃、サイファーがそう口を開いた。
「昔テメェとヤってる時、未来のテメェに会った」
少し上方を見ているのは記憶を思い起こしているからだろうか。
「そんで未来のテメェとヤった。さっきの俺たちみたいにな」
「あんあん善がって腰振っててびっくりしたぜ。こんな喜ばせれるのかってな」
「そんで奴は帰って行った。そんだけだ」
そう言ってサイファーは自分の水を煽った。
「ど、どうやって帰ったんだよ」
そういった瞬間、目の前が真っ白になった。こちらに来た時と同じだ。
「そうやってだ」
そう聞こえた次の瞬間には、もう何も聞こえなくなっていた。何の感触もない。
俺はなされるがままに身を任せた。
もうちょっとだけ続きます
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