チキン調教師の朝は早い。

  • こんにちは!

    こんにちは!
    FF7Rの発売が迫ってきましたね…!私はまだしばらくは出来なそうなんですが、7が完結すればその次は8の可能性が…!ということで大変期待しております。
    前にスク工ニの野島氏?(すいませんうろ覚えです)のインタビューで、会社の若い子達に8のリメイク作って欲しい的なの読んだことあるんで、企画というか、リメイクという考えはあるんだろうなと思います。
    とにもかくにも、まずは7R楽しみです!!



    以下新しい小話です。
    注意:名前付きのオリキャラががっつり出てきます。そしてオリキャラとサイファーのR18絡みがかなりあります。むしろそこメインです…。
    ただ必ず最後はサイゼルになります!これはサイゼルの話です!(大事)
    ので、ちょっとトライしてみるよという方はR18の所まで今回は入れていませんので、どうぞお試しくださいませ~!




    「君に任務を与えます」

    シドの声が静かな学園長室に響いた。
    部屋には、休めの体制のまま話を聞くサイファーの姿があった。
    呼び出されたときに他の学生の姿がないのを目にして、これが何か特別な指令であることをサイファーはすぐに察した。

    「君が復学してはや半年。私はそろそろSeeD試験に臨んでも良い頃だと考えています」

    シドはそういってサイファーの前まで歩いてくる。
    サイファーはSeeDという言葉にピクリと反応を示した。

    「しかし、あなたが更生した事を信じない人たちも居ます。また何かを起こすのではないかと疑っているのです」

    そう言葉を切ってため息をつくと、有無をいわさぬ強い口調で話を続けた。

    「通常はSeeD候補生に任務は与えません。しかし、君には信用が必要です。SeeD試験を受けるための予備試験として、ティンバーで護衛の任務を受けてもらいます」

    サイファーもシドに聞こえぬよう小さくため息を吐いた。
    恩赦の代わりにSeeDとなることを約束させられているだけに、断ることはできないからだ。

    「あなたを庇うラグナ大統領の信用を落としてはなりません。エスタ、ガルバディア共に一枚岩ではないのですから。わかりますね。詳細はシュウから伝えてもらいます。君の武運を祈ります」

    シドの敬礼を受けて、サイファーも同じように敬礼を返す。
    シドの不安そうな顔に不思議な予感が沸き上がるが、それを振り切って学園長室から踵を返した。


    ■■■


    ティンバーの片隅にある店の前で、サイファーは足を止めてその看板を見上げた。
    『パブ・アフローラ』
    そこには派手な文字でそう書いてあった。
    目的の店はここで間違いないだろう。

    『SeeD試験の日まで毎週末、店の護衛をすること』

    シュウは指導官の口調でそう言った。
    シュウによると、ここはティンバーのレジスタンス組織・森のカモの拠点なのだそうだ。
    ビンサー・デリングが死に魔女の支配を逃れてから、ガルバディアの政治は混乱し、既存の勢力と新規勢力が内部でぶつかる事態となった。
    その隙に乗じようと、レジスタンス活動は活気をとりもどしていた。
    ここもその一つで、ガルバディア軍から目を付けられているらしい。

    観音開きの入り口から入ると、すぐにマスターからいらっしゃいと声がかけられた。
    厳しい顔をしたマスターが、グラスを拭きながらこちらを伺っている。
    あれが森のカモの首領か。
    サイファーは所々をダウンライトが照らす暗い室内をゆっくり見回すフリをしながら、カウンターに腰掛けた。

    「ティンバーの森が戻るのももうすぐだな」

    事前に伝えられていた合言葉を、注文を取るために目の前に現れたマスターに伝える。

    「…いらっしゃい」

    目を細めたマスターから、改めて歓迎の言葉を受けた。

    まだ日も高いことから他に客が居ない店内に、マスターとサイファーのやりとりが静かに響く。

    「シドさんが引き受けてくれて助かったよ。最近ガルバディア軍の摘発が厳しくてね。特に週末は店で暴れる輩までいるんだよ」

    そう言って、改めてサイファーを見る。

    「君、名前は?」

    「サイファーだ」

    「そうか。短い間だと聞いてるが、よろしく頼むよ。私のことはマスターでいい。君は客のフリをして店にいてくれればいいから。奴らが暴れ出したら頼んだよ」

    マスターはそう言って、怖い顔を緩ませて笑った。

    その他いくらか打ち合わせをしたところで、日も暮れて本格的な営業の時間が始まった。
    サイファーは手筈どうり、店の一番隅のテーブル席へ腰掛けて、客の動向を観察する。
    ずいぶんと繁盛する店なのか、バーテンダーがひっきりなしに行き来していて、威勢のいい男たちが酒をあおっている。
    中には酔いつぶれかけている者までいる。
    やっかいな任務を充てられてしまったと、サイファーはうんざりしながら酔っぱらいを見ていた。
    その時、入り口を蹴破る勢いで入店する数人の男たちが現れた。
    意識を仕事モードに戻して、鋭い視線で男たちの様子を伺う。
    彼らは横柄な態度で席について、ウエイトレスにキツい口調で話しかけている。
    だが何が気に障ったのか、急にウエイトレスを突き飛ばして大声をあげ始めた。

    「ガルバディア軍兵士を舐めるなよ!」

    男達はそう言って、倒れ込んだウエイトレスに近づいていく。
    どうやらプライベートで飲みに来た駐留兵のようだ。
    サイファーがマスターへと視線を走らせると、マスターがこちらを見ながらそっと頷いた。

    「お客さん、困りますよ!」

    そうして、マスターがガルバディア兵達に駆け寄って止めに入った。
    だがガルバディア兵は、そのマスターをも突き飛ばして、更に殴ろうと拳を突き上げた。

    「おい、いい加減にしろよ。いい気分で飲んでたのによ」

    サイファーが、客を装ってそれを止めに入る。
    それに気付いた男達がサイファーをキツく睨みつけた。

    「なんだてめえ。やんのか?」

    そう言って、表へ出ろ!とサイファーへ怒鳴りつける。
    サイファーは計画通りだなとニヤリと笑うと、白いコートを翻しながら男達と共に店から出ていった。

    そうしてしばらくの後、何食わぬ顔で店へ戻ってきたサイファーに、マスターが駆け寄ってくる。

    「大丈夫だったか!?」

    「手筈通りだ。あんな雑魚、本気を出すまでもない」

    サイファーは両手を開きながら、怪我はないとアピールしてみせた。
    それは、正SeeD以上の戦闘力があるサイファーからすれば簡単な戦闘だった。
    実力を垣間見たマスターはほっと胸をなで下ろすと、この調子で頼むよとサイファーの肩を叩いた。

    0時をすっかりまわり、結局この日は、件のガルバディア兵を追い払っただけで店の閉店時間を迎えてしまった。
    サイファーは席から立ち上がると、マスターに指示を仰ぐ。

    「今日は助かったよ。もうあがって構わないからね。来週もまた頼むよ」

    サイファーを見たマスターは、カウンター内から片手を上げてそう挨拶した。

    サイファーはそれに肩をすくめて答えると、用意されたホテルへ帰ろうと足を踏み出した。

    その時、キィーっとドアの開く音がした。
    聞き慣れない音にそちらを見ると、暗い店の裏口から誰かが入ってくるのが見えた。

    「マスター、おはよ」

    そう言って裏口に立っていたのは。

    「ゼル…!」

    サイファーは居るはずのない人物を見つけて、驚きのあまりぽろりとその名前をこぼした。
    予想外の出来事に固まったように動けない。
    ゼルも自分と同じ任務を充てられたのだろうかと一瞬頭をよぎったが、こちらに気付いたゼルが放った一言でその考えは消え去った。

    「ん?アンタ、ガーデンの人間か?」

    そう言って入ってきたドアに背を預けて寄りかかる。
    そうして、甘い声でサイファーに問いかけた。

    「アンタも『ゼル』が目当てなのか?」

    そう言って目を細めて、そっと唇を舐めた。
    その官能的な顔に、ゼルらしさはまるでなかった。
    だが、こちらを見たことで丁度ライトに照らされた少年の様子を観察することができた。
    見た目はゼルそっくりで、背格好までよく似ている。
    ちょっとつり上がった目尻も、青い瞳も、話す度に口の端から覗く犬歯もゼルそのものだ。
    普段は立ち上げている金髪は下ろされていて、ショートヘアがその顔立ちをいつもより幼く見せている。
    だがよく見ると、トレードマークの頬のタトゥーが見あたらない。頬が少し紅潮しているが、それだけだ。
    ゼル…ではないのか?
    可とも不可とも判断できず、サイファーは眉間の皺を深くした。

    「エクセル、知り合いか?」

    その時、マスターが少年に声をかけた。
    エクセルだと?やはりゼルではないのか?
    サイファーは理解できずその場に立ったまま様子を伺う。

    「いや、お客だ。だろ?」

    エクセルと呼ばれた少年は、サイファーに
    視線を投げると、ニヤリと笑ってみせた。
    こちらの困惑を察したであろう少年が、もたれたドアから離れてサイファーの方へと歩いてきた。

    「俺のことが気になる?じゃあ、ついて来いよ」

    そう言って、店の入り口へ向かうと、サイファーに一瞬視線をやって、そのまま外へと出て行った。
    サイファーは真偽を確かめるべく、エクセルの後に続いた。



    つづく




    次回からR18になります。
    上にも書きましたが、エクセルとサイファーの情事となります。
    このお話は2回読んで面白いようにしようと思って書いておりまして、1回目と2回目で見方が変わるお話になります。そのためプロットに時間がかかりました…。
    長編の予定です。
    いけそう!という方は、どうぞおつきあいくださいませ!


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    拍手押して下さった方ありがとうございます!
    とても嬉しいです!更新がんばります~!





    3月9日にコメント下さった方ありがとうございます!
    キスティス先生は私も普段はなかなか書かないのですが、可愛らしくて素敵ですよね!
    皮肉屋のサイファーとキスティスを戦わせると会話が面白くて舌戦いいなあとしみじみ思いました。
    本文に入れませんでしたが、サイファーは無自覚のゼルに「スコールってあのCC団を倒したんだってよ!すげえよなぁ~!くーー!」とか言われてメラメラ燃えたという設定です。かわいい奴ですよね!
    普段は気を張ってるけど、キスティス相手で緊張がほぐれてる感じも受け取っていただけてとっても嬉しいです…!
    また色々書く予定ですので読みに来てやってくださいませ!
    コメントありがとうございました~!


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