シーボルト「こんにちはー。シーボルトでーす」
シーベルト「シーベルトでーす」
『二人合わせて、シー兄弟でーす』
シーボルト「ほんまは兄弟ちゃうんやけどね」
シーベルト「皆さん知ってはるって」
シーボルト「……君はええよ。最近すっかり有名になって。君の名前を聞かん日はないくらいやからな」
シーベルト「そんな! ええ話で有名になるんやったらともかく、あれはちょっと……それに、ボルト兄さんかて充分有名ですやんか」
シーボルト「そうかなあ」
シーベルト「そらそうでっせ」
シーボルト「ほな君、ぼくの業績知ってるんか?」
シーベルト「そら知ってますがな。ほら、あれでしょ……」
シーボルト「なに」
シーベルト「あのほれ、『少年よ、大志を抱け』って言うたとか……」
シーボルト「それはクラークやがな! 北海道! 全然違う!」
シーベルト「ちゃいましたっけ。……ほな、あれですわな、『海のボルト』っていうて、同じくらい電力を持ってるっていう……」
シーボルト「何やそれ! 『海のミルク』みたいに言うな! むしろあいつが『山のシーボルト』やろが! ……いや違うわ。とにかくそんなんとちゃうねん」
シーベルト「いややな兄さん。からこうただけですやん。ちゃあんと知ってますって。えーと……フィリップ・フランツ・バルタザール・フォン・シーボルト(Philipp Franz Balthasar von Siebold, 1796年2月17日 - 1866年10月18日)は、ドイツの医師・博物学者。、と。そうそうお医者さんでしたな。年上やろなーとは思てましたけど100も上でしたか。それにしてはお若う見える。どう見ても90そこそこ上くらい」
シーボルト「突然落語にすな。……ところで君何見てるんや」
シーベルト「なにって……スマホですがな。スマホでウィキペディア見てまんねん」
シーボルト「ウィキペディア……ほら見てみい! やっぱ君はぼくのことなんも知らんのやないか!」
シーベルト「何を言うてますのん。ウィキペディアはみんなが作った、誰でも見られる『外部記憶』でっせ。ここに書いてある、いうことは、『みんなが知ってる』のと同じですやん。ぼくは今、『思い出してる』だけですがな」
シーボルト「そんな屁理屈があるかい! 君とはやっとれんわ!」
シーベルト「わあわあ言うております」
シーボルト「だから落語にすなって!」