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  • 宴会用マーダーミステリー風ゲーム制作のヒント

     マーダーミステリーをいくつかプレイし、自分でも作っている最中から「このシステムって、ゲームではなくコミュニケーションツールとして使えるのでは?」ということをずっと思っていた。具体的には、婚活パーティのような場面である(もちろんぼくは「婚活パーティ」には出たこともないし出る気も主催する気もないのだが、思ったのだから仕方がない)。
     さほど話したこともない、場合によっては初対面の人間が多いパーティにおいて、何かしらミッションを与えてやることで席移動とか自己紹介、あるいは相手の情報を引き出すといったことが少しはやりやすくなるのではないか。
     で、そんなことを思っている最中に、20名近い人数の忘年会をやることとなり、何か「究極にシンプルなマーダーミステリー」はできないかなあと考えていたところ、ふと閃いたのだった。
     大人数なのでキャラクターはすべて本人。名前だけでよい。で、各自が持っている情報はひらがな一文字。ミッションは用意してもしなくてもよい(一文字だけでも成立する)。
     まあ、みんな「???」と疑問符だらけですが、とにかく「すべての人と情報を交換してください」と言っておく。
     以下に仕組み(真相)を書きますので、やってみる、あるいは参考にしようと思う幹事の方、そんなことをするかもしれない各種宴会に出席予定のない方だけお読みください(まあ、仕組みを知っているからと言って参加できなくなるということもないと思いますが)。















    【解説】
     誰でもすぐ見当がつくと思いますが、要は全員が所持している文字を集めてうまく並べると文章になるわけです。ただし、犯人役を割り振られた人だけは嘘をつくよう指示されています。なので、そのままではきちんとした文章にならない。そこで、疑わしい文字を絞り込んでいけば犯人が分かる、という仕組み。
     難易度は、その文章、どの文字を犯人に持たせるかによって相当変わってくると思います。
     ぼくが作った文章は「はんにんだけがうそをついています。」というもの(人数が最後の方でちょっと増えたため「。」が入ってしまった)。この文章自体がヒントになっているわけですが、この文章はその会にふさわしいもの、しっくりくるものならなんでもよく(○○会最高!とか)、その場合「嘘をついているのが犯人」ということは別に言っておく必要があるかもしれません。犯人には「う」を渡し(この中では割とキーになる字だと思ったので)、「い」もしくは「ん」と嘘をつくよう指示しました。他にもある字なので、もし「ん」が多いのでは?と分かったとしても、容疑者が複数になるからです。
     このアイデアをあるゲーム・パズル作家に話したところ「十七文字のひらがなアナグラムはなかなか解けないですよ」と言われたのでヒントを用意することにしました。
     最初思ったのは席順で文字を配置する方法でしたが、こっちで指定して座らせるような会でもないのでこれは却下(そういう会ならありでしょう)。で、名前の五十音順にちゃんと並べれば文章になるようにしました。これは実のところ、並び順に気づいてしまうと直で犯人に辿り着くので痛し痒しなんですけどね。詰まっているようなら途中でヒントを出すとかの方がよかったかもしれません(ま、あんまりアナグラムが難しいとヒントを出すより前にやる気を失う可能性もあると思う)。

     今回は名札大のカードを使ったのですが、宴席での都合上、隣の人のデータ面がちらっと見えることは十分ありえます。で、犯人だけ文章が色々書いてあると(そしてそれを読んでいると)おかしく見えるので、できれば全員に何か適当な文章を書いておいた方がいいと思いました。全員をよく知っていれば、細かく一人一人に向けて別々の「ミッション」を用意するのも面白いと思うのですが、今回はシンプルに「○○の秘密を探り出せ」とだけ書いておきました(もちろん、正解の「秘密」などありません)。実のところこの「○○」は五十音順に次の人というだけなのですが、文字の並べ方をほのめかす意味と、とにかくその人だけでも話しかけないといけないなと思わせるためです。
     なーんだそれだけ、と思われた方も多いかもしれませんが、今回はあくまで宴会そのものがメインなので、それを邪魔しない程度のもの、興味がある人は考えるけれど考える気が起きない人はまあ別に考えなくても問題ない、そういうものを目指しました(賞品も罰ゲームもなし)。ただまあこれに近いシステムで、ゲームがメイン(あるいはある種の情報交換がメイン)となる作り方もできるように思います。
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