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  • “鳥肌”が立つ

     以前、mixi日記に書いた文章。

     昨日「ジャポニカロゴス」のスペシャルで「鳥肌が立つ」という言葉の正しい使い方、というのがクイズになっていた。もちろん、「怖いときに使うのが正しくて、感動したときとかに使うのは間違い」というのが「正解」だ。以前佐野洋の「推理日記」でも、誰かの作品中の表現に対し同様の文句をつけ、違和感を表明していたのを覚えている。
     しかしそもそもこれは「コトバの間違い」なのだろうか。「鳥肌が立つ」というのは慣用句と言うよりはむしろ直接的表現であって、多少の誇張が含まれることはあるにせよ、実際に起きる現象だ。「足が棒になる」というのとは似てるようで違う。恐らくは、現代日本では大半の人が「感動して思わず鳥肌が立った」というような表現に対し、「実感として」納得すると思うのだが、「間違い」と指摘する人はそうではないのだろうか。
     もしそうだとすると、日本人の大半は昔は「感動して鳥肌が立つ」ことはなかったのだろうか。
     それともある時点で「すっごい感動すると鳥肌が立つよね」という発見がなされ(「あるある」みたいなもんか)たのか。
     あるいはまた、少数の人々におけるそういう「発見」(もしくは「比喩」)が広まった結果、コトバによる支配が起きて実際に鳥肌が立つ人が増えたという可能性も捨てきれない。
     うーん。どれでしょう?

     ――2006.4.16
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