秘密のメモリーメモルノフ、ドゥワー♫
ヨダレからかいまみる記憶
目が覚めて、寝ぼけたままベッドから這い出して歩き始めたら、だらしなく口をあけたままヨダレをたらしている自分に気づいた。
いいかえれば、ヨダレをたらしていると気づくまでのあいだ、ヨダレをたらしていることにさえ気づかずに、ぼくは歩いていたのである。
そのときぼくは、ヨダレをたらしながらヨダレをたらしていることに気づかないでいる自分こそが、本来の自分であるような気がした。
ほんとうのぼくは寝たきりの植物人間で、だらしなく口をあけたままヨダレを外に流し続けている。そうして現実と名付けられている夢を見ているのだ。きっとそうに違いない。その可能性を誰が否定してくれるというのか。