秘密のメモリーメモルノフ、ドゥワー♫

  • 「ぼく」のあやふやな記憶

    小学生のときバスの中で「ぼくは30歳以上は生きられない」と確信した記憶に比べれば、そのあと現在に到るまでの記憶、すなわち

    中学生の頃の記憶、
    中学3年生で転校して初めて都会に出てきたときの記憶、
    進学校といわれる高校に入学したときの記憶、
    大学時代の記憶、
    社会の前線で忙しく働き続けた記憶、
    アメリカでの2年半の記憶、
    大学で教鞭をとっていた頃の記憶、

    それらすべてがまるで霞がかかったようにあやふやだ。
    どうしてだろう。

    ひょっとするとあのとき、バスの中で「ぼくは30歳以上は生きられない」と確信したその瞬間に、ぼくは現在にタイムスリップしたのかもしれない。
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