秘密のメモリーメモルノフ、ドゥワー♫
ぼくが何になったかのあやふやな記憶
小学生のときに30歳以上生きないと確信したのに、ぼくは自分が滅亡するはずの日からもう20年近く生きている。
でも、それでぼくが何になったのかは未だに分からない。未だに分からないということは、どうやらこの先、ぼくが何であるかを知る可能性はなさそうだということである。
動物は自分が何であるか知る必要もないが、やっかいなことに人間は、自分が何であるか悩み始めると社会という名のヤスリで磨り減らされていくものだ。
世の中には宗教こそ諸悪の根源という人も少なくないし、無神論者も多い。ぼくだって何の信者でもない。
だけど、自分が何であるかなど関係なく、そんなこと考えなくても生きていていいんだよと教えてくれた人たちがかつていたらしい。イエスだったろうか、親鸞だったろうか。
ぼくにはそれが誰でもいいんだけど、そういう人のそういう教えが知らず知らずのうちに人々に浸透し、直接的あるいは間接的に何らかの形で、ぼくのような何者でもないものを励まし続けているから、ぼくはまだ生きているのかもしれない。