同じ区内なのに,私の方の生活はいつも通り始まり,いつも通りに終わっています.
山一つ越えた向こうでは,たくさんの人が今でも土の下に埋まっているというのに.
私の住んでいる場所は停電以外大した被害はなかったんですが,以前関わりのあった子たちの何人かが,ちょうど土砂崩れのあった土地に住んでいて,テレビで被害者の方の名前が読み上げられる度に,胸がスッと寒くなります.
まだ成人にも達してない子たちなんです.
やんちゃくちゃな子もいれば,おとなしい物静かな子もいました.
無事でいてくれると良いのですが….
広島の地質の脆さは前から知ってはいましたが,まさかこんな災害が起こるとは思いませんでした.
台風や地震,津波も,四国地方や中国山脈に囲まれた場所でしたから,生まれてこの方,災害らしい災害を目の当たりにすることはありませんでしたが….
もうすでに多くの方が亡くなっていますね.
小さな兄弟や,高校球児,一度は救出されたはずの子どもさんに,それを助けたはずの消防隊員.
彼らのご両親や残された兄弟,友人,同僚の方たちのことを思うと,言葉にできない,遣る瀬無い気持ちばかりが膨張します.
紙一重のところで助かった方たち.
こうして助かる方たちがいるのに,どうして助からない方がいるんだろう,と考えてしまいます.
みんな助かればよかったのに,犠牲者は増えるばかりです.
これからもっと増えるのだろうと,覚悟しないといけないのかもしれません.
でも,まだまだ,できるはずもないんですよね.
実質被害のなかった私も冷静になれないんですから,その場にいた方たちは,きっともっと,そうなんですよね.
だから,今は,政府がどうとか,首相の休暇がどうとか,行政の対応がどうとか,そんなことを批判するために時間を割いていてほしくないのです.
政府も首相も行政も戦っている.
マスコミも,こんなときくらい政治批判なんか辞めて,ちゃんと自分らの仕事をして,真っ当に戦ってほしい.
助けられた命があって,助からなかった命があって,今でも助けられるかもしれないと戦っている人,帰ってくるかもしれないと待っている人がいる.
それが今の広島の事実なのだから,その事実を,一人でも多くの人に伝えてほしいと思うのです.
他意なく.
最後に,助かった方たちも,遺された方たちも,生き残った自分を責めずにいてほしいと思います.
亡くなってしまった方たちも,今,どうか少しでも安らかでいてくれたらと思います.
生きて帰ってきてほしかったに違いないけれど,帰ってこられなかったのならば,どうか最期の瞬間に,怖い思い,痛い思いをすることなく,誰かを憎むことなく,悲しむことなく,眠るようにゆけていたら,と.
でも,やっぱり,これからもっと,もっと,もっと,いろんなことが,彼らの人生にはあったはずなのに.
今もなお,土の中で怖い痛い思いをしている人がいるなら,どうか奇跡が起こってほしい.