もー,ぐんぐん寒くなってくるもんですから,
私の気分もぐんぐんウナギ下がりですよ.
寒い季節が来ちまう….
さて,題名通り,今回も音楽を紹介するわけですが!
たぶん今回ご紹介するのは,まだまだ無名の歌手だと思います.
Sami Tという女性歌手です(日本でも同名の男性歌手がいますが,そちらはレゲエなので全く無関係です)
初めて聴いたときには,「あ~,ハマりはしないかな」とか思ってたんですが,
数回聴いてたら気付けばクセになってました.
洋楽なので,英語の歌詞は検索すれば引っかかったんですが,
和訳の方は見つかりませんでした.
というわけで適当に歌詞を和訳してみましたんで,載っけてみようかなと思ったわけです.
今のところ彼女のオリジナル曲は2曲しかないんですが,曲調としては「Paradise lost」,歌詞の中身としては「Radiate」が個人的には好みです.
和訳ミスはご愛嬌ってことで,では,まずは「Radiate」.
Inertia dove in
気だるげに飛び込んだ
Like I was an open sea
まるで私は大海原の一部であったかのように
No room to breathe
呼吸する余地もない
Shadows swallowed me
暗闇は私を呑みこんだ
But the taste of colour on your lips
けれど あなたの唇の色 その感触
A sense of hallelujah
それは祝福
You poured the sun into the river Styx
あなたは太陽にステュクス川の水を注ぎこんだ
Till the dark left us alone
闇が二人だけを取り残すまで
And the dark left us alone
だから闇は二人だけを残したの
Breaking into the light
光に踏み込むのよ
We radiate
私たちは光を放つの
My eyes alive to see
私の目は 理解するためにある
Incite the scenery
美しい景色を導くためにある
Breaking into the light
光に飛び込むのよ
We radiate
私たちは光を放つの
I feel your soul kiss
あなたからのキスを感じる
Conceive your faith in me
私への信念が伝わってくる
You took me up
あなたは私を連れて行ってくれる
To where the stars ignite us
星々が 私たちに火をつけてくれる場所へ
We saw the world
私たちには世界が見える
As though it was smothered by the night
まるで世界は夜に覆い隠されているかのよう
Let the light
Let the light burn
光を 光を 燃やして
もう途中からよこしまな気持ちで和訳をしているのが何かありありと見て取れるのですが….
楽しかったです.
いきなり最初から「ん?」と思わんでもない訳ですが!
ハレルヤやステュクス川のくだりから,すでに宗教・神話的で,恋愛系の歌詞ではないことは明らかですが,
無理やりそういう内容は取っ払ってしまってます.
だって,歌詞が非常においしいので!
“hallelujah”は文字通りハレルーヤ!ですよね.
それからステュクス川はギリシャ神話に登場する川の名前で,日本語で言うところの三途の川のことです.
が,我々が認識する三途の川と,ステュクス川はきっと似て非なるものなんだと思います.
ちょっと調べてみると,ステュクス川の水には神さえも支配する特別な力があるんだとかで,
猛毒という説もあれば,逆に不死の水という説もあるのだそうです.
だから太陽に流れ込んだのがいったいどういう水であったのか(死をもたらす水なのか,不死をもたらす水なのか),本当は分かったもんじゃないんですよね.
というわけで,原文ままに訳してみたわけです.
それからもう一つ,“Soul kiss”という言葉がありますが,これは日本語で言うところのディープキスですね.
ディープキスのことを,向こうではSoul kissと言うんですって!なんかいいな.
なんかね,もう…私的にいい感じに萌えを刺激される歌詞でしてね.
どういう刺激を受けているかはね,もうね,言わなくてもお察しいただけるとは思いますので,深くは言いませんがね,ええ….
あなたは太陽の中に,死とも不死とも知れない水を流し込んだとか,
それは暗闇が二人だけを取り残すまで続いたんだとか,
でもあなたは私を、火を灯す場所まで連れて行ったんだとか,
世界中が夜に覆われたようになっている中、私たちは光を放っているんだとか.
うん,いいね.
しかし何だか、どうも二人ともが光になって燃え尽きそうな,
そういう,どうにも客観的には悲劇的な(あなたと私にとってはそれでもきっと最高に幸せなのだろう)終末が見える気がするんですよね.
Break intoにしても,Radiateにしても,Let the light burnにしても,
今ここに挙げているような生易しい意味ではなくて,もっと激しい情緒を意味する言葉だと思うので.
んでは,次に「Paradise lost」.
In your shadow I feel pity
あなたの暗闇の中で、
For your lost soul
私はあなたの失われた魂を不憫に思ってる。
Your lost soul
なくしてしまった魂を。
No reflection, no redemption
思想もなく、救済もない。
We've lost our control
私たちは制御を失っている。
Snaky eyes, suit n' ties
本当に最悪よ、スーツとネクタイを纏って
I am vilified
私を馬鹿にしてる。
Praying lies, jumping fires
嘘を願ったり、苦難に飛び込んだり、
Got me petrified
私は呆然としちゃう。
Nine circles to conspire
地獄の9つの階層たち、
They will never tempt me
それは私を決して誘い込んだりしない。
They will never tempt me
それは私を決して誘い込んだりしない。
I rise up quench the flames
私は火を消そうと躍起になっている。(感情を鎮めようとしている)
In your fire, in your fire
あなたの炎(激情)の中で、あなたの炎(激情)の中で。
There's no strength in these chains
この鎖はちっとも強くないから、
You failed to shackle me
私を縛ることはできなかった。
You're a fallen soul
あなたは落ちた魂。
You keep trying to pull me in
あなたは私を引き込み続けようとしている。
Won't follow in your way
私はあなたのことを追いかけたりしない。
I'm not lost in your paradise
私は我を忘れてなんかいない。あなたのくれる幸福になんか。
All I see is your darkness
私に見えたのは、あなたの暗闇。
And your lonely apathy
そして、あなたの無感情の、その空しさも。
You're faded like a pharaoh
あなたはエジプトの王のように、褪せていく。
I seer through the fantasy
私は夢物語を透かして見てる。
Consume the silk road
シルクロードを焼き尽くして、
Prism eye overload
プリズム状の虹彩には負荷が強すぎて、
Curses of purse strings
お金のことで罵り合って、
Gaga with the bling bling
派手な宝石に夢中になって、
Feel like you're so tall
あなたはとても立派に見えて、
Baby feel the fall
落ちちゃいそうよ。(ねえ、まるで堕天よ。)
Feel the fall
散り散りになっちゃいそうよ。(まるで堕天よ。)
はい,まず題名ですが,“Paradise lost”とは“失楽園”のことですね.
失楽園と言えば,日本では故渡辺淳一氏の小説が有名すぎて,ともすれば官能的な印象すら与えてしまうものだと思うんですが,
失楽園とは本来,アダムとイブが蛇に唆されて知恵の実を食べ,それによってエデンを追放された,という話のことです.
そういう、聖書とかとの絡みもあるので、歌詞内にもそれを髣髴とさせるような言葉が結構あります.
その代表的なものが“Nine circles”ですね.
日本語では単純に“9つの円”になりますが,英語では“地獄の9階層”を指しているんだとか.
ダンテの神曲にて,地獄は9層によって構成されていて,そこをダンテが冒険をしていくということが描かれています.
その最下層,第9階層は弟殺しのカインだとか,キリストを裏切ったとされるユダ,堕天使ルシファーなどのような,
最も罪深い罪人たちがいる場所なんだそうです.
これを元にして"ninth circle of hell"という言葉もあるそうで,これは“最悪な状態”,“これ以上悪くなりようがない状態”を指す言葉なんだとか.
英語って面白いですね.
面白いと言えば,ついでにもう一つ.
“Snaky eyes”は直訳すれば“蛇の目”ですよね.
実はこの辺の訳は本当に悩んだんですが,これって“1のゾロ目(ピンゾロ)”を指す言葉でもあるんですよね.
賭け事の上では1のゾロ目は振り手の敗北を意味するものであるので,
(上述の地獄の階層の話とも関連しますが)これが転じて“もうダメだ”や“一巻の終わり”,“最悪だ”といった意味にもなるんだそうです.
歌詞の中では,“蛇の目をして”と訳しても問題はないかとも思うのですが,
まあこの言い回しも面白かったので,“本当に最悪よ”にしてみました.
曲調が好みだったもので,張り切って翻訳したわけですが,ちょっと思っていたのとは違うな,というのが正直なところでした.
隙あらば萌えに持っていこうと狙ってますからね,私は!(にこっ)
宗教的な意味合いも強い曲だとは思うんで,恐らく歌詞の中の“You”や“I”は単に彼氏彼女を指すものではないんでしょうね.
恐らく,これは堕天するに至ったルシファーへのメタファーなのかな,と.
地獄の第9階層も,失楽園という曲名もルシファーに関連する事柄ですもんね.
ルシファーの名前自体“炎を運ぶ者”って意味があるし,
アダムとイヴに知恵の実を与えたヘビもルシファーが変身した姿だって説もあるし,
天使の中で最も美しかったという大天使ルシファーは文字通り堕天して落下してるわけですから.
ばーっと最初に歌詞を見たときには,横柄な彼氏に辟易して別れを切り出そうとしている彼女の歌かとも思いましたが,
ちょっとばかし考えてみると,哲学的,神学的テーマだったわけですね.
とにも,曲調は結構リズミカルで面白いので,ぜひ興味を持たれた方は聴いてみてくださいな☆