メモ

  • 『東京オアシス』は「そんな遠いところは想像つきません」の映画

    『かもめ食堂』シリーズは、
    「ちょうどいいところ探し」の映画。

    『マザーウォーター』の、
    「自分にとってちょうどいいところって
     なかなかわからなかったりするんですよね
     ちょうどいいところも変わっていたり」
    というセリフで気づいた。

    自分探しとは、一応、区別したい。
    結局は一緒かもしれないけれど。

    ここで作品の舞台を整理。
    ・2006年 『かもめ食堂』 ヘルシンキ
    ・2007年 『めがね』 与論島
    ・2009年 『プール』 チェンマイ(タイ)
    ・2010年 『マザーウォーター』 京都
    ・2011年 『東京オアシス』 東京

    『マザーウォーター』までは、
    都市の風景から逃れる映画だった。

    『東京オアシス』の3つあるエピソードのうち、
    1つ目のエピソードがその名残りだ。
    小林さんが加瀬くんの車に乗って海に行くエピソード。
    (↑ついつい俳優の名前で呼んでしまう。)

    ところが、エピソード3では、
    東京を出たことがない女の子が登場する。
    いろんな世界を知っている小林さんに、
    「そんな遠いところは想像つきません」
    「だってここは安全だから」
    という。

    『マザーウォーター』までの登場人物は、
    苦労しているふうは見せないけれど、
    それでも「探す」という能動性があった。
    銭湯で働いている男の子は、
    うじうじしているけれど、なにか探している。

    でも、「探す」「探さない」の前に、
    「皆目見当がつかない」状態がある。
    『東京オアシス』はその状態を、
    新たなモチーフとして取り込んだ、
    「そんな遠いところは想像つきません」の映画。
    というふうに、自分なりに整理しておく。
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