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  • 『玄洋社・封じられた実像』抄録電子版へのツイートレビューまとめ

    2010/11/18
    今夕(18時頃)、ボイジャー社理想書店のリニューアルOPENに合わせて発売される石瀧豊美著『玄洋社・封じられた実像』抄録電子版は、九州電書会として初の電書刊行でもあり @grokmasazo さんがツイートレビューを行ってくれた。

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    @grokmasazo

    今日は@mao3mao3 が九州電書会から初めて電子書籍化した「玄洋社・封印された実像」(石瀧豊美著)を書評する。明治から昭和の大戦期にかけて活動した福岡の玄洋社について検証した『玄洋社発掘―もうひとつの自由民権』(1981年初版、97年増補版)の再刊、増補版。

    電子抄録版という位置づけで、海鳥社から紙の本として出版されているものへの興味関心を抱いてもらうのが狙い。本紙のうち、「まえがき、Ⅰ今なお、虚像がまかり通る玄洋社、Ⅲ−1頭山満と玄洋社 その封印された実像、Ⅲ-5孫文と福岡 生誕一三〇年に寄せて」を抄録。

    電子書籍化にあたり、玄洋社についてちょっとだけ感想を。まず、玄洋社って知っている人は多いと思うのですが、日本の極右団体だという認識からこの本を読むと、目から鱗が百枚は落ちること必定です。戦後に貼られたレッテルへの抗議がそこにはある。

    wikipediaによると、玄洋社は当時の在野の多くの政治結社と同じく、欧米諸国の植民地主義に席捲された世界の中で、人民の権利を守るためには、まず国権の強化こそが必要であると主張。対外的にはアジア各国の独立を支援し、それらの国々との同盟によって西洋列国と対抗する大アジア主義

    明治から敗戦までの間、政財界に多大な影響力を持っていたとされる。日本の敗戦に伴い1946年(昭和21年)、GHQは「日本の国家主義と帝国主義のうちで最も気違いじみた一派」として解散させた。しかし、本書を読むと、その評価が正当性に欠けていることに気づかされる。

    戦後日本社会を特定方向へ導こうとしたGHQの狙いが透けて見える工作の跡が、大アジア主義を掲げていた玄洋社への過剰な反応とともに、戦後史の無定見な読まれ方に暗澹たる思いにも陥る。戦後の教科書的理解では読み解けぬ戦時中の歴史としての玄洋社の実相を多方面の資料で検証した。

    本書の書き下ろし「まえがき」を読むだけでも、実態としての玄洋社が過剰に「過大評価」されてきたことの真相が透けて見えるのだ。手垢のついたGHQによる規定「超国家主義団体」への烙印は最新の評伝をもってしても大きく変化したとは思えない状況がある。

    「必要なのは玄洋社を日本帝国主義の手先などと呼ぶことをやめて、主体としての玄洋社がその時々、時代の課題にいかに向き合ったのかを、まずは虚心にながめることではないだろうか」と提唱する石瀧豊美さんの言葉にまずは、向き合ってみようという気になった。

    来年2011年は玄洋社が深くかかわった辛亥革命からちょうど100年。この時期に、再刊された「玄洋社・封印された実像」(石瀧豊美著)は、同時に電子書籍化も果たし、広くその意義を世に問うている。これは、中国との関係が尖閣問題で揺れる今の時節にタイムリーでもある。

    米国発の金融恐慌下において世界中が大激動する昨今、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)による米国からの再ブロック化を要求される日本。まるで大戦前夜の様相を呈する昨今、玄洋社が掲げた大アジア主義の検証にも意義深い本書は、現代人必読の書とも言える。

    頭山満ら右翼の巨魁とされた人物が実は人間性豊かな人物として浮かび上がり、東京裁判でただ一人文民としてA級戦犯として処刑された首相・広田弘毅などの玄洋社とのかかわりなどの検証も鋭く、読み物としてぐいぐい引き込まれる。

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