各種人物紹介

  • 逆夜 雨彦

    名前:逆夜 雨彦(さかや あめひこ)
    異名等:水も滴るイイ男
    種族:人間
    性別:男性
    年齢:27歳
    身長:167cm
    体重:72kg
    スタイル:がっしり筋肉質

    台詞等:
    「今日も雨天でイイ男!逆夜雨彦、ここに参上!」
    「カッカッカ!そいつぁいいや、俺っちにも一枚噛ませてくんな!」
    「アヤカシ相手にゃァしたかないねい。なんせあんなに恐ろしい連中もありゃァしない」
    「おうおう、ちび達よう、さっさと起きねぃと朝餉がなくなっちまうぜ?」
    「ヨッ!天下一!水も滴るイイ男!これなるは雨に好かれた男、その名も逆夜雨彦の終幕でぃ!……ってか」


    髪:オールバックに撫でつけた黒髪
    体:がっちり筋肉質
    肌:ほぼ雨天なので日焼けしてない
    頭:アクセサリなし
    目:つぶらな黒目・気持ちツリ目
    首:アクセサリなし
    胴:翡翠色の襦袢+褐返色の長着
    背:墨色の羽織
    腕:アクセサリなし
    手:異界の釣り竿
    腰:(羽織姿の為袴なし)帯は紺青色
    足:履き古しの草履
    下着:白の褌
    他アクセ等:なし
    その他持ち物など:懐にコンペイトウの包み
    性格・特徴:自称イイ男・雨男・釣り好き・飼育好き・風邪引かない・終了済み

    日本出身、商家の次男坊。自称イイ男。顔自体は実際そこそこ良い。
    次男坊の為に家の跡取りとして扱われず、それどころか極端な雨男の為に「アヤカシ(=人ならざるもの)の子ではないか」などと
    言われ、兄以外からの扱いは非常に悪かった。故に子供時代は若干スレている。
    が、その一方で兄は雨彦を大切な弟として散々に可愛がり、雨彦も兄ィ兄ィとよく懐いた。
    「お前は顔のつくりが良いからきっと性根もよいだろう、身体を鍛え愛想よく笑え、そうすればきっと色男だぞ」と兄に言われ、
    その言葉を本気にしてその言葉に違わぬように過ごした結果、現在のイイ男を自称する2.8枚目くらいになった。
    なお兄の顔はあまり良くない。その似てなさもアヤカシの子扱いに繋がっていた。

    雨に恋されたと称されるほどの雨男で、産声より外で降る雨音が勝っていたと本人が語るほど(本当にそうだったかは不明)。
    生まれてこの方27年、晴れの空を見た事は両手で数えるに足りる程度しかない。
    基本的に外に出れば雨、笑えば雨、泣けば雨、怒れば雨、寝ても雨と何しても雨が降る。
    出先で誰かに傘を貸すのはしょっちゅう、時にずぶ濡れで歩いていたら助けられる事もあり、
    そういったところから縁を広げて気付けばそれなりに顔が広くなっていた。
    なお雨に慣れきった結果か、単に鍛え上げた肉体のおかげか、どれだけ濡れても風邪とは無縁の肉体を持つ。
    何とかは風邪引かないとも言う。高い所も割と好き。

    10代半ばになる頃には兄の影響ですっかり自信を持った自称イイ男になっており、
    その顔と明るい性格を元に大量の客を呼び寄せた為に家からの(現金な)信頼も得ていった。
    それからはむしろ跡取りになる必要がない事から、客寄せ以外では気ままに過ごせており、本人もそれで良いと考えていたようだ。
    雨彦が20代前半の頃に兄が店を継ぐ。兄が来るか?と聞けば応とも!と雨彦も喜んでその下についた。
    店では日用品の類を扱っていたが、雨彦のせいというかおかげというか一番売れていたのは傘だった模様。

    幼少の頃より兄と共に釣りに出かけ、それ以来釣りが好き。雨天のおかげか大物を釣り上げる事も多く、
    やがて一人で夜釣りに出かけるようになる頃には釣り名人な腕前になっていた。
    転じて焼き鮭、きすの天ぷら、そしてタコの刺身が好物になった。兄も同様。

    ある日の釣りの帰り道、兄の店を快く思わない商売敵からの襲撃を受ける。
    雨彦は傷を負いながらも、唯一持っていた道具……釣り糸で相手の首を絞めて殺した。
    当然簡単ではなかったが、残念な事にそれほど難しいわけでもなかった。
    以降、同じ事が三度あった。仕方のない事だったが、みんな殺した。そうしてすべて、海へ捨てた。
    する度に、慣れていった。なにせ、それは魚を誘うのと同じ事だったから。
    自分という餌をちらつかせ、誘き寄せ、釣り――否、『吊り』あげる。

    五度目が起きた時、雨彦はため息を吐いて、釣り竿を手に、"釣り堀"へ歩いていった。
    夜の雨は風切る竿の音をかき消した。離れた所から釣り上げ、落とす。
    或いは締め上げ、或いは勢いと共に折り、或いは切断した。
    十と八。雨彦が『吊り』上げた魚の数だ。それきり、兄の店に厄介な客が来る事はなくなった。

    そして20代も半ばを超えた頃、兄は良い妻を家に迎えた。商売も軌道に乗って安定していた。
    雨彦は、自由気ままに過ごしていた。池の鯉に餌をやり。店前で客を呼び。兄の笑顔に同じように返し。
    兄とその妻の幸せを祝った。そのつもりだった。だが、そうではなかった。
    虚ろだった。雨に降られたからではない。兄を取られたからではない。
    もう、そこは自分の居場所ではなかったからだ。数にして二十二。両の手足の指でも足りない。
    真っ赤な魚達は雨彦を責めるのだ。毎日のように。時には空から雨と共に落ちてきて。
    時には布団の中を埋め尽くし。時には食卓の魚がわめき出すのだ。

    「ここらで少し休んだらどうだ。気分が晴れるまで店は俺がどうにかするから」
    兄は優しくそう言った。もう休んでもどうにもならないとわかっていたが、
    兄の言葉はいつだって正しかった。だから雨彦はそうあろうとした。
    「そうだねぃ、そしたらちっと諸国漫遊、釣りの旅にでも出てみるかい!」
    にっかり笑ってそう言って、幾らかの食料と金と、そして釣り竿を手に旅立った。
    ――6日後、雨彦が乗った漁船が嵐によって転覆し、海の底へ沈んだと兄に伝わった。

    その大嵐の果てに雨彦はフタハナの場に――「アヤカシ達の集会場」に招かれる事となる。
    もう誰にも死んで欲しくなかった。例え相手がアヤカシであっても。
    それでも、それは叶わなくて。ならばせめて、形だけでも弔いたくて。
    それすら出来ていなかった。後悔した。兄を、その言葉をまた裏切ってしまった気がした。
    雨彦は駆けだした。……そして全てを賭した弔いの為に、雨彦は森へと消えた。

    「ヨッ!天下一!水も滴るイイ男!これなるは雨に好かれた男、その名も逆夜雨彦の終幕でぃ!」
    雨彦は最期の最期まで、にっかりと笑っていた。それきり、その姿は翡翠に溶けてなくなってしまって。
    雨は、止んだ。今は、くもひとつない青い空が広がっている。
    雨が降っていたことすら、雨男が居た事すらも幻だったかのような――幻想的な『蒼い』空が。


    ――と、いうのが本来の終幕であった。
    あったのだが、一体の蜘蛛人形によって幕が再び上げられた事で「第一部の」終幕と相成った。

    フタハナという場において今まで達成される事がなかったモノ。
    それは、参加者達の頂点に立った二人の存在――即ち『フタハナ』の成った証。
    フタハナの二人、その片割れの蜘蛛人形が唱えた、
    綺麗な終わりを壊すような、生き汚さの象徴のような、
    誰も彼もが思っても口には出さなかったような、そしてなにより、
    多くの者が歓喜の声をあげた願い。

    『脱落した者達が望むなら、望んだように蘇る』という願い。

    その願いの一端を受けて、逆夜雨彦は望んだように目を覚ました。
    雨は最期のその時と同じく止んだまま、雲を呼び寄せる事もなく立ち上がる。
    『吊り』の記憶は失せ、それらはただの釣りの思い出となっていた。
    ああ、これくらいならば奇跡とも喜劇とも、或いは綺麗な結末が台無しとも言えるだろう。

    それから……あの森に関わった者達もまた、皆そこに立っていた。
    森となってその枝葉を広げていた坊主に、
    その傍で寄り添って眠ったちびすけに、
    その二人を自分より先に弔った勝気な女、
    雨彦が弔いの花を集める最中助けてくれた娘、
    最後まで立ち、願い、それから……まあ、坊主と色々あった、蜘蛛人形。
    そこにちゃっかり自分が加わって、6つの違った影が並んで歩く。
    ああ、ちびすけは何故か赤子になっていたから、5つの影か。
    兎にも角にも6人6色、なんだか妙な道になりそうで、
    こいつぁ中々面白い幕引きだと思うだろい?

    こうして逆夜雨彦は、鉄の船に乗り込んで、歓喜渦巻く島を後にしたんだと。
    それからはどこへ行って何をするかも決まっていない、6人の旅が始まったのさ。
    ん?その後?どうなるんだろうねい。
    なんせ後の事なんか誰にもわかりゃァしない、人生ってなそんなもんだろい?
    幕が開いたり閉まったりで忙しいが、退屈ぁしちゃいねいぜ。
    ま、今後どっかで見かける事があったなら!
    相も変わらず、雨が降るのを心待ち!
    雨が降ったら6人で一等、水も滴るイイ男!
    逆夜雨彦、一丁宜しくお願い致しやす!カカカッ!
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