きもちがザワザワする。
頭の奥の奥に薄ぼんやりと残された記憶。
こちらを見つめる海のような澄んだ青に、光に透けた鮮やかな金色が風に揺れている。
それは自身の原風景。目を離せない。
ずっと探しているのに、いつまでたっても見つけられない。
スコールとの訓練は日ごろの鬱憤を晴らすのに打ってつけだ。
このスコールという男、何故だか分からないがやたらと気にかかった。
心の底にある何かに触るような気がする。
忘れていた何かを思い出せそうな気がする。
きもちがザワザワする。
俺と対等に戦えるのがこの男だけだからだ。だからやたらと気になるんだ。
そう思っていた。
どうしても苛めてやりたくなる。
だから俺は何度も何度もこいつに牙を振るった。
俺の拳はいつだって真正面から受け止められて、そして奴は対等に対抗してきた。
妙な違和感。
そうじゃなかったはずだ。俺の拳はそのまま打ち下ろされて、そのように対抗されるものじゃなかった筈だ。
ザワザワする。
そんなどうしようもない鬱憤を抱えているときに気付いた。
対峙する俺を睨む青灰の瞳。
俺の刃を交わすたびに揺れるブラウンの髪が光に透けて灰金に光る。
彼の瞳に、存在に、懐古した。
あのなつかしい光景が目に浮かぶ。
だからそこで結論をだしてしまった。
この瞳がそうなのだと。
でも何故だ、まだ穴が埋まらない気がする。隙間がある気がする。
イライラする。
そうする内、俺は誘われるまま、魔女の騎士になった。
燻った気持ちを持ったままに。
■■■
一連の魔女戦争後、サイファーは学園に戻ってきた。
多くはシド、ラグナの計らいであったが、未成年のサイファーに重い罪を問うことに対しての疑問の声が世間から挙がったのも事実だ。
サイファーは望まれるままにSeeDとなり、一時騒然としたガーデンも、次第に普段の平穏を取り戻していった。
そんな日々を忙しくすごすSeeDの一人であるゼルは、まったくもっていつもの通り…寝坊していた。
夜半まで掛かった昨日の仕事は困難を極め、帰宅したときには疲労困憊であったのはいくら高ランクのSeeDであったとしても仕方のないことだろう。
今日はそんな仕事明けの休日と来ている。寝坊もやむなしといえた。
すっかり日が昇り、カーテンを閉める気力もなく寝たせいで、ゼルへと暖かな日差しが降り注いでいる。ゼルはというとやはり少し眩しいのか、時折瞼がピクリとうごく。
そんなゼルの傍に一人の男が立っていた。
規定の時間になっても報告書を持ってこない昨日の班員に、もともと短い怒りの尾が切れた男、サイファーであった。
どうせ寝坊でもしているんだろうゼルを、扉を叩いて叩き起こしてやろうとしたところ、どうやらこのアホチキンは疲労のせいで扉に鍵を掛ける事すらせずに寝てしまったらしい。ロックボタンを操作してその事に気付いたサイファーは、遠慮などするはずもなく、ゼルの部屋へと侵入した。ゼルを直接叩き起こすためだ。
そうしてゼルに近づいたサイファーが、ゼルの傍に立っていたのだ。
とりあえずここまでにしますー!
取り急ぎ小話のみですが失礼しますー!