チキン調教師の朝は早い。

  • このチキンは捕まえとかなきゃ逃げっちまう

    すっかり寒くなって冬仕様になってまいりましたね!
    職場の友人が12月にディズニーシーへ行く予約をしてるという話をしていて、クリスマスの時期にテーマパークはロマンチックだよなぁ~と浸ってしまいました。激混みが避けられないっていうのが残念なんですけどね…。
    でももしサイファーとゼルが遊びに行っていたら、激混みの中だったら人前でも手が繋げるんじゃないかとキュンキュンしました。

    夜のテーマパーク。辺りを見回すと、それぞれのアトラクションが様々な色でライトアップされていて、まるでデリングシティを彷彿とさせる。夜になって冷えた空気が、その光をより美しいものにしている。
    そんな中今から始まるのはパークの一番の見所、ナイトパレードだ。ゼルは今日の予定を組んでいるときから、パンフレットを指差して絶対にこれを見るんだ、すっげぇ綺麗だってリノアが言ってた!とはしゃいでいた。それは他の来客も同様のようで、パーク内の道路には出来るだけ前で見ようとする人だかりが出来ていた。まだ始まってもいないのに、クリスマスの時期ということもありその数は通常よりも遥かに多い。
    そして、そんな人混みの中にゼルはすっかり埋もれてしまっていた。
    「っくしょう…人多すぎだろっ…!前が全然見えね…うわっ!」
    同じ様に見えない者が、前へ前へと移動しようとしてゼルを押しのけたのだ。
    「おい!チキンっ!」
    サイファーはとっさにゼルのコートの腕を掴み、自分の隣に連れ戻した。
    「わ、ワリィ。助かったぜ」
    ゼルがサイファーを見上げてお礼を言ったとき、前方から美しい音楽が流れてきた。パレードが始まったのだ。
    途端に、サイファーの目に美しい光がとびこんでくる。
    ゼルも必死に背伸びをしながら見える位置をさがしていたようだが、ようやく動きが止まり、息をのむ声が聞こえてきた。
    だが、またしても前へ出ようとする者がいるらしい。
    「うわ!押すなよっ!」
    またもやゼルは人の中に紛れそうになったのだ。
    だがその時、弾かれそうになるゼルの手をサイファーが握りしめた。
    「サイファー!」
    「…」
    「あ、ありがとな。もう、いいぜ」
    ゼルは繋がれた手を離そうとするが、サイファーは前を向いたまま動かなかった。
    「な、なぁサイファー…」
    ゼルはサイファーを困ったように見上げて、周りを気にし始めた。
    「……嫌なのか?」
    「ちがっ…!ば、馬鹿!こんな大勢人が見てるから!」
    「こんだけ大勢いりゃあ、見えねぇよ」
    「えっ…!」
    「いいから俺の手に掴まってろ」
    サイファーは尚も堅くゼルの手を握り締めた。もう離す気は微塵もないらしい。
    ゼルはしばらくパレードを見ているサイファーの顔を呆けたように眺めていたが、何かを確認するように辺りを見まわしたのち、自分もパレードへと目を向ける。
    「…おう…」
    ゼルは、自分を逃がさまいとキツく握り締める暖かな手を、そっと握り替えした。

    っていう所まで妄想しました!
    寒いと人肌恋しくなって大変おいしいと思います!
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