ご無沙汰しています。
サイファーの誕生日も新年もお祝いできませんですみません。
なかなかこちらは更新できませんでしたが、今回も参加させていただきますしろくまのひよこパンツの企画の漫画描いておりました~!
またその件につきましては漫画は完成しておりますので近日中にご連絡させていただきます。
さて、オペオムもすっかりログインしてなかったんですが、ゼルにLD来てちょっと復帰しました!
めっちゃつよくなりましたね~!俺式も地球?一周しないけどなかなかいいですね!!マッハキックもいいですね~。
この調子でドルフィンブロウも是非実装してほしいです!
しばらくはゼルを使いまくります!
サイファーとの相性も両方遅延組でなかなかいいのではないでしょうか!(アタッカー2人構成は難しいですがサイファーをデバッファーとして起用するならありかなと…)
さて、12月までに更新したいと言っていた小話ようやくできましたので更新いたします。
このお話は多分5年以上前から書きたいと思って温めていた話で、よーーーやく形にすることが出来ました。そういう貯まってる話いっぱいあるんですけど書く方が追い付かないです。
そういうわけで、普段はほんとにあんまり考えずに徒然なるままに書くんですが、きちんと書こうと意気込んでしまって、どうやって書いていいか分からなくなってしまい今に至るという具合です。こういうのをスランプと言うんでしょうかね…。
以下小話になります。中編くらいで、あと2回くらい更新になります。
シリアスです。よければご覧ください~!!
なんの問題もなかったはずなのに。
外は夏のはじまりのせいで日毎に日差しが強くなってきている。
バラムより東北、グアルグ山脈で同じ任務にあたっていたセルフィと俺は、徒歩でガーデンへと帰還していた。
「あ~もうつっかれた~!」
セルフィがうーんと伸びをする。
「徒歩はねえよなあ」
俺は隣を歩くセルフィに同調するように不満を口から漏らした。
今回のクライアントはシドの友人であり、また社会的に影響のある任務であったため格安で依頼を受けたとの説明を受けている。
そういった訳で、今回はいたるところで任務にかかるコストが削減されていた。
本来なら車の一台でもレンタルできたのであろうが、残念ながらそんな余裕もない。
「サイファーはんちょとはどうなん?」
セルフィが軽い口調で俺に問いかける。
じり…と照らす太陽に、じんわりと汗がにじんでくる。太陽のせいの筈…だ。
魔女との戦いから1年近くになる。
セルフィも俺もSeeDとして忙しい日々を送っている。
その間に、俺とサイファーの間にはちょっとした事が起きた。
冗談のようだが、サイファーと恋人になったのだ。
あの戦いの後、FHでフラフラしているところをシドに捕まったサイファーは、再びガーデンへ戻ることになった。
SeeD候補生として半年間謹慎した後、今年の春のSeeD試験で無事SeeDとして合格し、新たな生活を始めだした。
俺たちが『そういう関係』になったのは、まだサイファーが候補生だった頃の話だ。
一時すれ違う事もあったが、戻った記憶を辿って俺たちは共にいることを選んだ。
しばらくして、皆にもサイファーとの関係の事を告白した。
のだが、すでに随分と態度に出ていたようで、みんなは『知ってた!』と笑ってにこやかに受け入れてくれた。
それが俺たちのここまでの話だ。
俺たちは正直、上手くいってると思う。
頻繁にお互いの寮部屋に入り浸っているし、以前はひっきりなしだったアイツの女の噂も全然聞かない。
SeeDに就任してからのサイファーの仕事っぷりも上々で、言う事なしだ。
その上、きちんと俺との時間も作ってくれる。
そりゃあ喧嘩することもあるけど、結局あいつのところへ戻りたいと思っちまって仲直りだ。
そんな何の不満もない生活の中で、ふと湧いた疑問。
切っ掛けはキスティスのほんの一言。
「はぁ~…どうしようかしら」
先日セルフィと共にガーデンの食堂で食事をしているときに、入隊用のパンフレットを広げてため息をついたキスティスがそうボヤいた。
俺が意味が分からずフォークをかじっていると、セルフィがそっかぁと納得したようにキスティスと共にパンフレットを眺めだす。
「秋になったら誕生日だもんね~」
セルフィはそう言って、やっぱガ軍?と首をひねっている。
俺はそこまで言われて、ようやく意味を理解したんだ。
今19歳のキスティスは10月になったら誕生日を迎えることになる。
SeeDの満了は20歳になった時で、20歳になったらガーデンを卒業することになる。
だから新たな就職先を探さなければならない、という事なのだ。
ガーデン卒業生の多くは、軍隊関係の仕事に就くことが多い。
幸いにもキスティスは元教員だし、SeeDとしての実績も十分だから引く手数多だろう。問題ないは無いはずだ。
そうしてとある事実に気付く。
それからなのだ。
俺の心がざわめきだしたのは。
「ゼル?聞いてるん??サイファーはんちょとなんかあったん?」
なかなか返事をしない俺に、セルフィがぐいっと首を伸ばして俺を覗き込む。
「あ、おう。上手くいってる、ぜ。」
俺は誤魔化すように笑うと、これ以上アイツとの事を聞かれたくなくて、先を急ぐために歩く速度を上げた。
■■■
ガーデンに戻ってからシャワーを浴びて一息付くと、俺は勢い良くベッドへと乗り上げる。
そうして、帰りがけに学生課から貰ってきたいくつかのパンフレットを広げた。
ガーデンに募集が掛かっている、各国の入隊希望者用のものをありったけ貰ってきた。
そのうちの一つを広げて中を読んでみる。
ガーデンから入隊したときの待遇や、居住地区のこと、昇給の事まで中には事細かに記載があった。
途端に、漠然としていた未来が急に現実として目の前に現れたようだった。
自分もいつか、ガーデンを卒業してどこかへ所属しなければならないのだ。
俺はパンフレットを強く握りながら、ゴクリと唾を飲み込んだ。
今まで、考えなかったわけではない。
そもそもいつかは、祖父のような立派な軍人になりたいと思ってガーデンへやってきたのだ。
むしろ、その未来が近付いて来ているわけだからもっと喜ぶべきだ。
ずっと大人になりたかったし、強くなりたかった。
SeeDとしての実績もまぁまぁ残しているし、それなりのところへ入れるであろうという自信もある。
じゃあ、サイファーは?
俺の中のもう一人の俺が、そう問いかけた。
サイファーは悪い意味で有名人だ。今でも魔女との戦いの影響は各地に残っている。
サイファーの受け入れ先に選べる選択肢は少ない。
ガルバディア軍は多分ダメだ。あいつは魔女と共にガルバディア軍を指揮した経緯がある。
魔女の罪が確定され、軍部が政権を握る今のガルバディアは彼を迎え入れることはしないだろう。
ドールは?SeeD試験の時のサイファーの命令違反がどうなるか。当然、ドールにも報告はいってるだろうし、規律を乱す軍人を受け入れてもらえるのか未知数だ。
武装放棄してF.H.ってのもあるかもしれない。あそこは流れ者の集まりだから、技術の高い者を拒んだりはしない。
だが、サイファーから戦いを奪う事が本当に良い事なのかどうか、俺には分からない。
唯一エスタならラグナの計らいで入隊できるかもしれない。でもあそこはエスタの市民権のある者しか入隊許可が下りないから、サイファーはエスタへの引っ越しが必要になる。
バラムからエスタは、今でもラグナロクを使用するか、大陸を大きく迂回していかなければならない遠い土地だ。
遠距離かぁ。と俺は目の前の文字の羅列をぼおっと見つめながら、そう息を吐いた。
その時、ドンドン!とドアを拳でノックする音が部屋へと響いた。
俺はベッドの上でビクンと飛び跳ねて、急いでドアの方を向いた。
「おい!メールも電話もつながらねえ!なにやってやがる、飯行くぞ!」
居るのは分かってんだと声をあげたサイファーが苛立ったように扉をまだノックしている。
「わりい!直ぐ行く!」
俺は扉の向こうのサイファーに聞こえるように大声を出すと、ベッドの上に散乱していたパンフレットを急いで片づけるとドアの前で苛立っているサイファーと合流した。
学食でのひと時は、いつもどうりだった。
サイファーが肉を頼んで、俺がパンを頼む。
それを頬張りながらの、取りとめのない会話。
「聞いてくれよ、今日の任務がさ~徒歩だぜ徒歩!」
今日の任務の愚痴を言う俺に、それをへぇ、ほう、と短い言葉で返すサイファー。
このまま時間が止まってほしいくらいに、平和な日常。
まだ歩き出したくないんだと、俺の心がひっそり叫ぶ。
この時間が幸せなんだ。なんてことない時間だ。
俺とこいつがいて、ただ飯食ってるだけの時間。
それが、ようやく俺にも理解できたんだ。
俺は『いつも』と変わらないよう、細心の注意でいつもどうり笑った。
□□□
「ゼルせんせい!ありがとうございました!」
そう言って年少クラスの子供たちが教室を後にする。
それを笑顔で送った後、俺はひとつため息を付く。
心の隅っこに常にあるあの気持ち。
目の端に、備え付けられていたサンドバッグが見えた。
俺はその不安を忘れるよう、力いっぱい殴った。
SeeDの仕事に余裕のある時は、年少の子供達に格闘技を教えているのだ。
戦闘訓練を受ける学園生にとって基礎格闘は年少クラスからの必須単位だ。
全学生が受けるため、必然的に教える教官が多く必要になるのだが、魔女との戦いの際に多くの教員が辞めてしまい、今のバラムガーデンには格闘を専門に教えられる教員が少ない。
そういう事もあって、俺みたいな格闘主体のSeeDや上級生なんかが教員のサポートを頼まれる事がよくあるのだ。
SeeDランクに影響するからしぶしぶやってるって奴もいるけど、俺は心から楽しんでこの仕事を受け持っている。
殴るたびに雷が落ちるような音が響き渡り、サンドバッグがギシギシと揺れる。
どんどん力が入っていく。夢中になって殴るたびに、嫌なことを忘れられる気がした。
「ゼル!ちょっといいかな?」
無心で打ち込んでいた俺に後ろから叫ぶように大きな声がかけられる。
「あ、はい」
俺は弾む息を整えながらサンドバッグを抱きとめると、声の方へ振り返った。
そこには同じ格闘クラスを教えている正教員の男性が立っていた。
どこかアーヴァインに似た雰囲気のその男は、温和で笑顔が優しい元SeeD生だ。
正直、格闘家って感じじゃないんだけど、熱心に子供たちに教えてる姿を知ってるから、俺は結構尊敬していたりする。
「今日のみんなの成績をまとめてほしいんだけどいいかな。」
そう言って、クリップボードを渡してくる。
「了解っす」
生徒たちの名前の入った紙に、俺は今日のチビ達の様子を細かに記載していく。
リズムに乗って書き上げていると、ついつい余計なことまで書いちまう。
今日は転んだとき泣かなかったとか、バンテージの巻き方上手くなってる!とか、些細なことだ。でもいいよな?
教員が読むだけなんだし、キスティスだって時々、指示書に私信付けてくるし。
「ゼルはさ、結構楽しいんだ?こういうの」
「え?」
いきなり掛けられた言葉にペンを止めて、男を見上げる。
「すごい楽しそうに書いてたから」
そう言って、人懐こい笑みを浮かべた。
心当たりが無くて何と言っていいか分からず見つめていると、男は目を細めて俺を見た。
「ゼルはやっぱり戦いに行きたいの?」
「あ、いや、まあ闘うのは好きっすけど、戦争は嫌いですよ」
戦いがしたくて闘うんじゃない。
バラムが戦いに巻き込まれた時の不快さを思い出して俺はそう答えた。
守りたいから闘う。守る力が欲しい。俺は、そう決意したはずだ。
ああ、でもサイファーだったら戦いに行きたいと言うだろうな、とこんな時でもあいつの事が頭をかすめた。
「もう先の事は考えてるの?今18でしょ?」
ドクリと心臓が鳴る。
今、一番聞きたくない言葉だった。
「いや、全然…考えてないです」
俺は正直にそう答えた。
いや、ほんとは考えてないというのは間違っている。考えないようにしているというのが正解だ。
理由ははっきりしている。
あの男との関係が変わってしまうのを。
現実を受け入れる準備がまだ、できていない。
「ゼルは教員に向いてると思うよ」
その言葉に、俺は目を見開く。
俺が?
俺が教員に?
考えたこともなかった。
「良かったら考えてみて」
そう言って、成績表頼んだよ~と言い残してその場を去って行った。
あれから、俺の悩みは二つになった。
ゼルに悩みなんてあるのか?と失礼なことをスコールだったら言うだろうけど、俺は結構真剣に悩んでる。
一つは例のアレだ。
もう一つは俺の将来の事。
俺は自分はてっきり軍人になるとばかり思っていた。
でもそれ以外の道もあるのか。
そう、目からうろこが落ちた出来事だった。
あれから事務局に行って教職について聞いてみたところ、やはり格闘術の教員に空きがあるとのことだった。
教員は実技と講義の両方の専門を持たなくてはならない。メインとサブってやつだ。
俺の場合は格闘術の実技がメインで、一応講義できる科目もサブで持つって感じだな。
もちろん講義の方をメインで持ってて、実技がサブの奴もいる。
あとは全教科範囲を平均的に教えられる程度の学力が必要になる。
事務員のおばちゃんに、「教職目指してるの?倍率高いから頑張ってね~!」と声を掛けられてはたと気づく。
俺結構乗り気なんじゃん。
確かにガーデンは気に入ってるし、チビ達教えるのも性に合ってる。
ここにいればバトルも存分にできるしな。
軍人になるのも悪くないと思う。でもそうなったら確実にバラムからは離れなくてはならない。
バラムに軍はない。
でも俺はバラムの街が好きだし、バラムの近くに、母さんや街のみんなの近くに住みたいと思う。
そう思ったら、俺の中でなにかがストンと落ちてきた。
ああ、これだってすぐに分かった。
俺は教員になるよ、サイファー。
□□□
ドクンドクンと心臓が高鳴る。
しん…としたサイファーの部屋の中に、その音が漏れ出てしまうんじゃないかってくらいだ。
サイファーはまだ任務から戻って来ない。
帰還予定の時間からは30分くらい遅れている。
その連絡を受けたメールには、先に俺の部屋に行ってろ、とそう書いてあった。
俺が決心したことを、サイファーに話したい。
デスクチェアに座りながら、取りとめもなく部屋を眺めていると、ハンガーに掛かっているSeeD服に目が行って、胸が締め付けられる。
もう一つの悩みは、まだ解決していない。
その時、廊下の方から、ドスドスと重い足音が聞こえてくる。
サイファーのものだ。
俺は緊張してるのを見せないように、椅子にゆったりと座りなおした。
「よう、邪魔してるぜ」
俺は扉をくぐったサイファーに片手をあげてそうあいさつした。
「ああ、シャワー浴びてくる。ちょっとまってろ」
そういうと、さっさといつものコートをベッドにほおり投げるとシャワー室へと消えて行った。
いつもと変わらないサイファーにホッとすると同時に、緊張も沸き起こってくる。
俺は椅子の座面を握りしめた。
すぐにシャワーから出てきたサイファーは、飯を食ってないとかで食堂で買った軽食をベッドの上で齧っている。
いつもどうり、いつもどうりだと俺は自分を鼓舞すると、きわめて明るく声を掛けた。
「遅かったじゃん」
「ニーダがドジりやがったんだ。クソ」
ああ、そういえば今回ニーダがとサイファーと同じ班だったって言ってたな。
泣きそうな顔で緊張すると零していたのが先日の事だ。
「ニーダは実戦久しぶりとか言ってたからなあ。その分の戦力がアンタだったんじゃね」
「知るかよ。SeeDならきちんとやりやがれってんだ。あれでも未来の操舵手か?」
その言葉に、ぎくりとする。
出来るだけ声が振るわないように気を付けて、俺は「あのさ」と静かに口を開いた。
「俺、教員目指そうと思うんだわ」
「そうか」
サイファーはただそれだけを言うと、近くに置いてあったコーヒーに口を付けた。
まるでなんてことは無い、今日の夕飯の献立を聞いたようなそんな態度だ。
俺たちの事、気にならないのか?
俺は、現実を直視することが怖いんだ。
あんたと離れちまうのが、嫌なんだ。
「なあ、SeeDやめたらどうすんの?」
その一言が、どうしても口から出なかった。
つづく