Public Notes

  • 「龍の起源」

    ちょっと前に衝動買いした本をやっと読み終わりました.タイトルの通り龍の起源をたどる本です.
    内容は大きく分けて,ユーラシア大陸の東西に存在する龍・日本の龍・その他,だったかと思います.外国の龍についての話は面白かったんですが,日本の龍については河童とか天狗とか,まあ脱線気味でちょっとつまんなかったです.読んでる時にはそんなに感じなかったんですが,けっこうな量の文章もさかれていました.現代の創作について考察されたらそれはそれでドン引きだったり量が凄まじいことになりそうなので,話半分で読むにはちょうどよかったかもしれません.
    この本では,龍の起源は基本的に2つで,メソポタミアと中国から発したようです.蛇を神様に祭りあげる文化は世界各地で生まれてて,それが龍に至るわけですけど,龍に至るまでの条件がなかなか厳しいので2つしかないのは驚きでした.で,その条件ですが,
    - 大河の近くの国家
    - コブラ(または,巨大な蛇)がいない
    だそうです.インダス文明とエジプト文明は,前者の条件は満たしているのですが後者はコブラがいるので,人々の想像力を閉口させてしまうので龍までには至らなかったとのことです.前者の条件についてですが,蛇は水と密接に結び付けれます(というのがセオリーだそうです)が,大河という規模になるとどうしても蛇だと小さくてイメージにそぐわないので,龍のような巨大な偶像が必要になったと書かれていました.人間の認識というのはまためんどくさいなと,再び思います.
    余談なんですが,日本の龍は中国の方からきたそうです.最も,文明開化やらゲームのてけとー設定で西側のも大分ごっちゃになっている感はあります.それと,縄文時代中期から農耕がはじまっていたかもしれないというのは興味深かったです.確実というわけではなかったのですが,いくつかの証拠は面白かったですし,学校で教えてもらったことの更に先を知ることができるのはとても有意義だと思います.
    日本の龍については,終始外国の文化だったそうです.理由はよくわからなかったんですが,皇室には龍はあまり入り込まず,中国の王様と差別化が図られているといった記述があります.そして,著者が龍は河童や天狗に変化したという仮説を提示しているわけですが,そこまでいくともはや別物なのではないかと思います.それから蛇を信仰する文化も日本にありますが,龍と無関係ではないのでが上の2つの条件を考えると今回は別物と考えるべきです.
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