Public Notes

  • 量子化学

    「ものが壊れるわけ」という本を読み終えました.
    - http://booklog.jp/item/1/4309251846
    この本をタイトルのとおりに読んでも,どうして壊れるのか?,というのは全くわからないんですけど,量子化学の本として読んだ場合けっこう面白いなと思います.タイトル詐欺かもしれないですけど,十分面白いのは評価できますね.
    はじめの方にある歴史についての部分はとてもよく調べてあって,日本人なのに日本刀についてよく知らないなと痛感させられたり,人類の進歩について,よくわかりました.それから,繰り返し出てくるタイタニック号沈没の原因についても,本来ならしつこいと思ってしまうようなところを,視点を何度も変えてくれるおかげで,繰り返し見返すことができるのは,著者のセンスを感じます.
    「衝撃的,ただただ衝撃的」では,著者がポンプ会社の弁護士に協力して,ポンプ会社の無罪を勝ち取る話なんですけど,潔白の証明というのがどれほど,めんどうなことか想像するのを放棄するくらいにはわかりました.幸いこの時は,相手側が完全に間違っていただけで,証明ができたんですが,とりあえず金がないので訴えてみたっていうのを相手する場合ってこうも疲れるんだなと,やったことも無いのにパスが発動するのはまったくこわいことです.
    8章で,プルトニウムを使った原子力電池について,けっこう詳しく解説していたのは,とてもよかったです.宇宙関係でよくでてくる電池なんですけど,宇宙で使うのは当然らしくて詳しい解説はあんまりないので,これを機に多少マシな理解を得られました.要は,プルトニウムの核崩壊で生じるエネルギーを電力に変えて,この場合小型で長持ちな電池を実現できるということでしょう.で,本文では「そんな安全対策で大丈夫か?」と装備を聞いてきそうなノリで検証するわけですが,うまく咀嚼しきれていない部分なので結論は著者が見る限り,とある菌の嫌気呼吸によって生じる毒が原因の食中毒を気をつけた方がいいそうです.危険だと認識していると,危険だと認識されていないものよりも安全にできるいい例なのではないしょうか?
    それから,最後の方は著者自身の研究についてで,量子化学に憧れている者としてはとても参考になりました.たぶん,きょーみない人が読んでもあんまり面白くないかもです.ただ,計算◯◯学に携わる人を二分する方法とか,ちょろちょろ面白い話はいくつかあります.
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