長文倉庫

  • 自民党改憲案の怖さ

     以下の文章は、2年前の参院選の前にmixiに書いた日記だ。

    ---------------------------------------------------------------
     ぼくはもちろん、自民党や公明党を支持したことなんか一度もないけれど、21世紀になってからこっち、ほとほと彼らには愛想が尽きた。
     でもそれは、安倍、福田、麻生の三バカトリオのせいではない。みんなはおそらく三バカトリオのおかげで愛想を尽かしたんだと思うし、ぼくも「たいがいにせえよ」とは思ったけれど、問題は小泉だ。
     郵政民営化?
     もちろん、そんなことはどうでもいいのだ。
     民営化するのがいいのか悪いのか、それは簡単に答えが出る問題じゃないし、色んな意見があって当然だ。やってみなきゃ分からないこともあるだろう。
     年金問題?
     そんなの、小泉のせいでもなんでもない。(自民党のせい、とは言えるかもしれないが)

     みんな、誰一人そんなことは覚えてないのか、最初から気にもしてないのか知らないが、小泉は、戦後60年の日本の歴史の中で、最悪のことをやった。

     小泉は、ブッシュの戦争を支持した。真っ先に。

     アメリカは、(一応は)「ブッシュの戦争」が間違っていたことを認めた。
     自民党は? 小泉は?
     もちろん、知らんぷりだ。アメリカがやったことなんだから、ついていくのが当然で、アメリカが間違えたことは自分たちの間違いではないとでも思ってるのだろう。属国だと思ってる証拠だね。
     インド洋の給油を中止した民主党は、政権交代した際に、もうちょっとなにがしか戦争そのものについて糾弾してくれるかと思ったが、彼らにも同じ穴のむじながいっぱい紛れ込んでいるからだろうか、なーんにも言わなかったね。

     もう一度書くが、

     小泉内閣は、何の根拠もなかったブッシュの戦争を支持し、支援し、日本国民を大量殺戮の共犯者にした。
     そのことに何の反省もない議員連中には二度と日本の舵取りを任せるわけにはいかない。「人道に対する罪」で死刑にしてもいいと思う。

     景気? 消費税?
     もちろんそれらは、生活者にとって重要な議題ではあるだろう。
     しかしそんなことは、今もイラクで失われ続けている人命や収まらない混乱と比べたら、些細な問題としか思えないのだ。

     今、マイケル・サンデルというハーバードの教授が書いた「これからの『正義』の話をしよう」という本がベストセラーになっているらしい。本は読んでないが、この教授の講義を放送した「ハーバード白熱教室」は半分くらい見たので大体中身の想像はつく。
     ある種の状況における「正義」の追求のしかたについて考えさせられるものだ。
     こんな本や番組を、一体どんな人たちが読んだり観たりしているのか分からないが、真剣に「正義」について考えている人が少しでも増えているのなら喜ばしいことだ。しかし、果たしてそんな人たちは小泉のやったこと――小泉が日本にやらせたことについて、一体どう思っているんだろう?
    (2010.7.10)
    ---------------------------------------------------------------

     再び同じことを書こうと思ったのは、自民党の改憲案を読んで呆れかえったからだ。人権よりも「公の秩序」を重視していることについては多くの人が問題点を指摘しているが、「国防軍」「集団的自衛権」のことについては余り見かけないのでそちらについて。

     自民党の改憲Q&A4「安全保障」のQ7の答にはこうある。

     9 条1 項で禁止されるのは「戦争」及び侵略目的による武力行使(上記①)のみであり、自衛権の行使(上記②)や国際機関による制裁措置(上記③)は、禁止されていないものと考えます。

     ええっ、「制裁」のために自衛隊(国防軍?)を出せるようにするって?
     よく集団的自衛権の話で引き合いに出されるのが、共同演習しているときにアメリカの艦船が攻撃を受けた場合、一緒に応戦できないのか、などと言われる。これは確かに理不尽な話で、そこで応戦できないようなら共同演習もできないだろうとは思う(そもそもが極めて極端な仮定だが)。
     しかし「制裁」とは何なのだ。「国際機関」とは?
     アメリカが大きな力を持つ国連でさえ認めなかったイラク攻撃に、真っ先に賛同の意を表明したのが小泉だった。当時、この改憲憲法が施行されていたら? フセインに対する「制裁」として「国防軍」はイラク攻撃に参加したってことじゃないの?
     イラクでは今も市民の被害は続いていて、12万にも及ぶ死者を今も更新し続けている。その数を、「国防軍」がさらに増やしたことだろう。

     よく、「『日本は金だけ出して血を流さない』と言われる」などと言う。誰に言われるのか、本当に言われてるのか知らないが、「自衛隊を海外派遣したい人たち」はこのようなことを言う。タカ派の人たちの「血」というのは決まって自分たちの「血」で、「お国のために」「自己を犠牲にして」流す「血」のことだ。おめでたいロマンチストなのだろう。
    「制裁」に行くってことは、主にその国の人の血が流れるってことだ。自衛隊を殺戮集団にするってことだ。アメリカの爆撃手がゲームのように画面を覗きこんでミサイルを発射していたのと同じことを、日本人にもさせるってことだ。市民を誤爆したら「遺憾なことです」と言って安い賠償金を払うってことだ。
     安倍はああいう報道を観ていて、ぞっとしなかったのだろうか。「九条を直して自分たちもあれに参加したい」と思ったのだろうか。

    「武力を行使しない」というのは自分たちの血や汗を流さない、という意味ではない。「人を殺さない」ということだ。違うかね?
Copyright © Textt / GreenSpace